暮らしの歳時記  


∞∽∽∽10月のこと ∞∽∽∽

 
 10月の異称は、神無月、神去月、雷無月、や鎮祭月、鏡祭月と神様に縁のあるものが多くあります。また、陽月、良月、拾月、大月、吉月、と縁起の良い名、小春、上冬、小陽春、極陽、立冬、早冬、孟冬、始氷と季感のある名もあります。
旧暦思想では十月から冬が始まることから、冬の初めの月ということになります。神無月は神がすべて出雲に集まるので、郷里では神不在となる月。出雲だけは神在月となるといわれています。
旧暦では冬でも、今の暦では秋。柿、ぶどう、ぎんなん、かや、栗、あけび、りんご、くるみと山の恵みが豊かになり、稲刈りもほとんど終わるころ。いよいよ紅葉が始まります。
 
海のものでは、さんまに脂がのり、たちうお、まいわし、さば、あじも旨くなります。秋晴れの日が多くなり、昔はマツタケ、しめじ、なめこ、しいたけと茸狩りが楽しめました。

 
<もみじ前線>  
●カエデ類の木の葉が紅葉する時期と場所とを結んだ線のこと。
 紅葉が始まるのは、明け方の最低気温が八度か九度以下になった頃で、冬服を着たくなる気温である。紅葉を見ると、いよいよ秋が深まったと感じられるものであるが、特にカエデを中心としての全山紅葉といった景色の見事さは、たとえようもない。そのため、春の桜と同様、もみじの鑑賞は、「もみじ狩り」と名づけられて古来から、日本人の美意識になくてはならないものであった。
<紅葉の目立つ樹> 
 
●イロハカエデ モミジといえばこれを指すほど代表的なもの。京都の高雄山に多くタカオモミジともいわれ、真赤に紅葉する。
●ヤマモミジ  青森県から福井県までの日本海側に自生し、イロハカエデよりひとまわり大きい。オレンジ色になり最後は真赤。
●イタヤカエデ カエデの中で最も大きく25メートルにもなる。黄色に色づく。
●メグスリノキ サーモンピンクをさらに濃くしたような独特の色に変わり美しい。
●ヤマハゼ  関東以南の太平洋側の山に生える。葉に綿毛がある。真赤に紅葉する。
●トチノキ  大形の掌状複葉が褐色に色づく。栗に似た種子をさらして食べる。
●イチョウ  紅葉の後、あわただしく落葉する。実は銀杏として食べる。
●ナナカマド 山地で長楕円形の小葉5〜7対からなる奇数羽状複葉が真赤に色づく。
●ハナミズキ 落葉小高木。庭などに植えられ、広楕円形の葉は秋早めに紅葉を始める。
<秋の味>

●松茸 秋の味覚の王者は、少なくとも値段の高さからいえば、だれが見ても松茸ということになるだろう。松茸は主として、赤松林の落葉の堆積した湿った土地に自生する。主産地は近畿,中国、信州、中でも京都が有名。同じ松茸でも京都の丹波に産するそれは、軸が太く、香りも一段といいようだ。いちど心ゆくまで味わいたいものだ。

「香り松茸味湿地茸」 で、松茸は香りがいのち。ありったけの松茸を全部焼いてしまい、セロハン紙に包んだのをさらにアルミフォイルで密封し、これをポリ袋に入れて冷凍すれば充分に翌年まで香りが保つというが、・・・なかなかこれが出きるほどお目にかかれない。

●秋刀魚 秋刀魚は七輪で盛大に煙を上げて焼きたい。焼き立てに青い蜜柑をしたたらせ、大根おろしたっぷりで、醤油だけは本醸造のいいものを使って食べる。なんといってもこれが一番。太平洋の秋刀魚は北の海から南下して、房州沿岸にかかる頃が一番脂がのって旨い。秋刀魚の群れはやがて師走に入ると大島沖を回り、伊豆半島を南下し、3月から4月には紀州沖に姿をあらわす。しかし暖流圏に入ってからの秋刀魚は脂肪がなく、焼いてもジュウともいわない。それゆえ古来、関西ではまずい魚の代表のごとく蔑視されてきた。

<茸の百科>  

キノコは菌の仲間であり、カビと縁が近い。くもの巣のように細い「菌糸」とよばれるものが本体で、胞子を作って繁殖しますが、この胞子を作る器官である子実体が大きいものをキノコ、小さいものをカビといっている。植物にたとえるなら、菌糸は根、茎、葉に相当し、子実体は花、胞子は種子のようなものです。

●キノコの採取 

・ 針葉樹では、マツ、カラマツ、モミ、トウヒ、ツガなどが菌根性キノコと共同生活をする木なので、これらの木の下にはキノコが多く、しかも大形ですぐれたキノコが生える。

・ 広葉樹でキノコと菌根を作る木は、ナラ、クヌギ、クリ、ブナ、ハンノキ、シラカバ、シナノキなどの仲間です。平地ではいわゆる雑木林、山ではブナ林やシラカバ林などがキノコが多いと言えます。

・ 毒キノコの見分け方 日本で一番恐ろしい毒キノコは、「ドクツルタケ」です。ひだがあるキノコの中では形が最も複雑で、かさ、茎、ひだのほかに、茎の中ほどに鍔が、茎の根元に袋状の壷があります。壷があるのは、猛毒キノコが多いテングタケ属の特徴ですから、キノコを採る時は茎を根元から採り、壷があるキノコは絶対に食べないことです。

 

 



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参考文献 暮らしの歳時記 講談社