コピーコントロールCDについて考える
 MP3が登場した当時、といってもそんな昔ではないが、僕はあまりMP3というものに興味がなかった。音がそんなに良くない上、パソコンでわざわざ音楽を聞かなくても…という思いがあった。ましてやぼちぼち登場しはじめた携帯MP3プレーヤーはCD一枚と対して変わらない曲数しか持ち歩けない。高いメモリーを何枚も持ち歩かなければいけない上、その都度パソコンからわざわざ曲をダウンロードするなんて面倒きわまりない。
 しかし、そんな僕の思いを一変させたのが、Appleから登場したMP3プレーヤー、iPod。5Gのハードディスク(10Gモデルもある)を搭載して、なんと1000曲、10Gモデルでは2000曲持ち歩けるのである。バッテリーの持続時間は10時間。重さ185g、ポケットにすっぽり納まり、デザインも秀逸。現在、僕は5Gモデルに300曲ほど入れて持ち歩いている。音質はCDには及ばないが、カセットよりはぜんぜんいい。携帯プレーヤーとしては我慢できる範囲である。一度パソコンのiTunes(Appleの純正MP3ソフト)に音楽を取り込んでしまえば、iPodへの転送は簡単。FW経由で1曲1秒程度。全て自動で行ってくれる。しかし何が一番か?といえばやはりその持ち歩ける曲数である。例えば、僕は現在300曲ほどいれている。一概に300曲といっても、アルバムおよそ25枚である。CDを25枚持ち歩く事を考えて欲しい。これがどんなに凄いことか!さらにCDなどのメディアを入れ替える、という作業がない。親指一本で好きな曲に簡単にアクセスする事ができるのである。もうCDやMDを持ち歩く、なんて事はしたくない。長々とiPodの利点を書いてしまったが、将来このiPodが使えなくなる可能性が出てきたのだ。これは僕にとって、とても無視できない大問題だ。

 

 3月13日、エイベックス(株)から、「このCDはコピーコントロールCDです」と貼り紙された CDが発売された。「コピーコント−ルCD」つまりコピープロテクトがかかったCDである。コピープロテクトといっても通常のカセットテープ、MDへはコピーが可能。パソコンのHDへのコピーが出来ないのだ。しかも再生できるのはWindowsのみ。パソコンへのコピーが出来ないと言う事はどういうことか?つまり、iTunesへの取込み、iPodへの転送が不可能と言う事である。
 確かにCDは、著作権のかかったデジタルメディアの中で、なんらかのコピーガードが施されていない唯一のメディアである。しかし、音楽は「コピー」という著作権保護とは反対の行為によって盛り上がっていることも事実ではないだろうか?Sonyが「ウォークマン」を発表してからというもの、それまで部屋の中だけで楽しんできた音楽を外へ持ち出す事が可能となった。「カーオーディオ」しかりである。つまり、映画やその他のビデオ、DVDとは明らかに楽しみ方が違うのである。
 エイベックスや(社)日本レコード協会がCCCDを採用する理由として、「近年におけるデジタルコピーの氾濫、特にCD-Rへ短時間で大量に高音質のコピーが可能、これによって売り上げの減少が起きている」としている。
 この著作権問題、レンタルレコード店がメジャーになった時も起こった。「レンタルによって売り上げが減少する」と業界が騒ぎ出した。確かこのときは新譜に著作権料を上乗せして貸し出す、という方法で解決したと思う。
 しかし、本当にレンタルやデジタルコピー(この場合HDやCD-Rへのコピー)による売り上げの影響はあるのだろうか?皆さんはどういう時に「CDを買おう」と思うだろうか?僕の場合、本当に好きな曲か、本当に好きなアーティストしか買わない。勿論、聞きたい曲は購入するCD以外にもある。しかし他の曲はレンタルか、「誰かに借りてコピーすればいいや」ぐらいにしか考えない。なぜか、一つはCDの値段が高い事。CD1枚3000円。その昔LPレコードも2500円〜2800円だったので、それほど値段は変わってはいないのだが、例えば、一か月に聞きたいアルバムが10枚あったとして、全部購入すると、CD代だけで30000円である。今の時代誰が一か月に30000円もCDに注ぎ込むのか!この事だけを考えても、コピープロテクトをかけただけで、売り上げが、減少しない、ましてや上がるなんて思えない。
 CD-Rの登場で「新譜をコピーしてすぐに売ってしまった」という今までにない事例もあるようだが、そんな人がどれだけいるのだろうか?「本当に自分の好きなアーティストはオリジナルを持っていたい」と思うはずである。少なくとも僕はそうである。曲を聞くという楽しみの他に「オリジナルを所有している」という喜びもあるのではないだろうか?例えば僕は、海外のアーティストで輸入盤と国内盤のジャケットが違う、という事だけで同じものを購入する。それは極端にせよ、好きなアーティストに関していえば、どんな高音質だろうとコピーしか持ってないというのは、とても満足できるものではない。
 勿論、著作権は保護されるべきで、違法コピーは許されるものではない。しかし、一方的に売り上げ減少が「デジタルメディアへのコピーのせいだ」とする、音楽業界の動きというものはいかがなものだろうか?レコード会社はもう少し「売る努力」というものをした方がいいのではないか!世の中守ってばかりでは上昇しない。値段を下げたら…「買いたい」と思わせるようなアーティストがもっと登場すれば…もっと売れるはずである。今の、特に国内の音楽業界は「使い捨てアーティスト」みたいな人が多いような気がする。ようは、「売れる人」は何をしても「売れる」し、「売れない人」は何をしても「売れない」のである。

 エイベックス(株)は9月までに、登場する全ての新譜にCCCDを採用するとしている。他のレーベルも順次採用する方向にあるようだ。
 例えば聞きたいアルバムを10枚全て購入したとしても、それをiPodに入れて聞く事ができないのだ。音楽業界は著作権法で守られた「個人の範囲の楽しみ」まで奪おうとしている。2000曲をポケットに入れて持ち歩ける事が可能になった時代に、またCDやMDを何枚も持ち歩くなんてナンセンスである。皆さんはこの問題どうお考えだろうか?

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