「堂の浦」完全制覇秘密組織準備委員会の命を承け

眼鏡軍団5人組が淡路から徳島にまさに入ろうとしたその時、

南の山裾がビカビカッと光った。

平成9年5月24日午前3時55分。

雨はますます酷くなり車のワイパーは「これでもか〜」

と言いながら右に左に首を振っている。

「本当にこれで釣りになるんだろうか?」

「風速11Mって出てるで〜〜〜」

と直さんとネコまたぎさんが心配そうに囁いている。

北忠さんは幹事の立場から気をヤキモキさせている。

落雷はますます凄みを増し・・・・・・

「うぎゃ〜〜 ごぎゃ〜〜〜」??っと思ったら天王さんのイビキだった。

  「嵐を呼ぶ男」と人は呼ぶが、嵐を呼んでも釣りだけはして帰るのがポリシーであり

裏を返せば何とか釣りが出来るまでに押さえているのが私の実力でる(筆者談)

名幹事北忠さんの5分単位の計画書通り 4時15分渡船屋に到着。

早朝だというのに渡船屋の通りは祭りなみの賑わいである。

雨も幾らか小降りになり、各々道具を持って船に乗り込む。

期待と不安と可能性とを積んで船はしぶきを上げて走る走る。

北忠さんが右に左にあるイカダ&カセを指しながら説明をしてくれる。

我らのイカダに着いた途端

「でけ〜〜〜 名古屋なら12人は乗れるで〜〜」と直さん。

「ええ潮や」と天王さん 「自動販売機ないで〜〜〜〜」と航希

イカダに搭乗後思い思いに仕掛けを準備と実践。

直さんと天王さんは短竿の団子。

ネコまたぎさんはインナーロッドの高価そうな竿で浮き仕掛けを早速流し、

北忠さんはサッとさりげなく一番不利な潮上に陣取り撒き餌を撒き始めた。

言葉数の少なさが、今日に賭けてる男達の意気込みを物語る。

オキアミ生をチヌ針2号にするりんと付け、やわらかい潮に流して当たりを待つ。

周りの風景が浮かびあがり、4方が山であることに感動し、

見えるだけでも100個も有りそうなイカダとカセの多さに驚く。

突然視線の先の浮きが消えた。

今の浮き沈んだよな? 

確かに沈んだよな? 自己自問し自己確認し自己了解をし、

不安ながら竿を立てる。

ゴツッ。 ゴンゴン。 

 手応え・・・

「おる〜〜〜〜〜〜 なんかおる〜〜〜〜」

余りの突然の出来事で素っ頓狂の声を上げる。

「うんうん 来た来た。黒鯛かな?」

北忠さんが声を掛けてくれる。

少しのやり取りをして、浮かんで来たのは赤いマダイ。

「タモ入れるから竿立てて」とネコまたぎさんにアドバイスをいただきゲット。

小振りながら航希にしては満足 満足。

(家で計ったら28CMでした。)

「見たか 天王 爆睡釣法やぶれたり〜〜」

全くのビギナーズラックのくせに、脳天気に気勢をあげた。

「ぐじょ〜〜 航希さんに先を越されるとは思っても見なかった」

天王さんの嘆きが心地よい。

その数分後・・・・

北忠さんが、まさにビシィっとした合わせを入れる。

キュイ〜〜〜〜ンと竿は三日月の如くしなる。

明らかに先ほどとは 雰囲気が違う。

2度3度なおもグググッ グググッと竿先が曲がり、膝で耐える。

急いでタモを用意。

ゆら〜〜〜〜っとした感じで浮かんで来たのはまさしく「銀色の貴公子」

しかも40CMは超えているだろう。タモから尻尾が出そうになりながらゲット。

心なしか北忠さんの顔が赤い。

(後から考えたらこの時点でパックの酒2合開けていた)

やった。やった。

航希も自分が釣ったように興奮した。

この出来事は早速堂の浦完全制覇黒鯛倶楽部秘密組織準備委員会を通じ

倉敷・仙台・東京・ロス・香港・ジンバブエに報告された。

この後、ネコまたぎさんが型のいいメバルやアイナメをゲット。

天王さんは「地合までちょっと・・」 と言い残した瞬間爆死・・・帰らぬ人に。

(この人「今日は寝間へんで〜」と3回くらい言ってたのに)

直さんは根気強く団子を丸めては落とし込む。

航希は北忠さんに 短竿での団子釣りを習う。

この釣りは忙しく団子を作っては落とし、手を中吊りで穂先に注意して当たりを取るという

 大変神経を使う釣りで、天王さんが爆睡したくなるのがちょっと解った。

団子が底まで着いて団子が割れた瞬間、竿先が軽くなり、

その次の瞬間に当たりがあることが多いと教わる。

幾度も幾度も繰り返し、やっと当たりみたいなのが解るが

餌取りみたいでのってこない。

もう時間もないし諦めようかと思い始めたその時

竿先がピョンの次にビヨンとお辞儀をした。

おおおっっ〜合わせて浮いてきたのは、手の平サイズの平目。

サイズよりも 始めての釣法でのヒットに大満足。

航希は午後1時で完納。

渡船に迎えに来て貰った。

ほかの人はまだまだ・・・と言う顔で手を振って送り出してくれた。

イカダから船が離れて冷たい飛沫が気持ち良い。

  Good-by 堂の浦・・・・・・・・

   また来るよ・・・・・・・・・・

ちょっとカッコ付けたくなるような景色がそこにはあった。