遠き青森からジッと台風の様子を伺っていた。
見る見るドスライスして北上を続ける気配にシメシメと思いつつも
「嗚呼、これでまた話のネタかな?」と少しばかりの心配をしていた。
携帯の着信音がなった。
「もしも〜〜しDENで〜〜す。航希さん何処にいるのぁ〜? えっ
青森?そりゃダメだよ。ボクねぇ〜 今日から秋田に行くのぉ〜
早く愛媛に帰ってくれなきゃ〜 釣り出来ないよぉ〜」
青森から愛媛に釣りに行ってる者もいりゃ 静岡から秋田に釣りの行く
APTもいるのだ。
渋滞をすり抜けすり抜け何とか愛媛に向かう。
途中 クラゲさんから
「明日は予定どおり出発だぁ〜 今、シマアジも釣れてるよぉ」
と期待の電話も入る。
「よっしゃ〜〜〜!!!やったるでぇぇぇ〜」
翌朝4時半 伊豫組の面々が八幡浜の名店「オババ釣り具」に集合だ。
早くも毛利さん SHUさん クラゲさんも準備万端。
例年より早めに出発し、三瓶湾に向かう。
空は薄曇りで微風の絶好の釣り日和だ。
途中、昨年の爆釣の記憶を思い起こしアドレナリンも沸々とわき上がる。
弾む話も終わらぬうちに、三瓶湾に到着。
渡船屋のオヤジもご機嫌麗しく、早速船の準備をしてくれた。
迷船頭のクラゲさんのエンジン捌きで程なくポイント到着。

頭上では海カモメがこのアホアホメンバーを心配そうに見下ろしている。
近くにはもう数隻の釣り船が集まっていた。
私は上籠の船メバル仕掛けと 下籠のサビキ擬き仕掛けをセットした。
するとどうだろう・・リールが一つ余っている。
こりゃもったいない。釣果は仕掛けを海のおろしてナンボのもんじゃ。
これは「買わなきゃ当たらない 宝くじ」の法則だ。
私は迷わず、リールにロケット天秤を付けブッ込んだ。
竿無しで魚は釣れるのか?と言うより釣れたら捲けるのか?
そんな心配は釣れてから考えよう。
私が息子の仕掛けを作っている間に 一投目の様子を見ていた
毛利さんが
「やっぱ 20号の重りは重いわ。仕掛けをかえよ〜とっ」
と言いながら巻き上げている。
すると・・どうだ!赤い魚が付いている。
「おおおっ マダイっすか?」
「アタリはあったんですかぁ?」
と興味津々。
上がって来たのは25CMオーバーのカサゴだ!
毛利さんは頭をカキカキ
「何時 当たったのか解りましぇぇ〜〜ん。」
恐るべし!ゲドラー。しかしこれでやる気は出てきた。
間もなく 私の竿にもコツコツとアタリ。
しかし餌取りなのか 締め込みがない。
こりゃ餌を取られたなと巻き上げるとなんと手のひらサイズならぬ
指先サイズの立派なマダイ!体調は6CMくらいか?
まあこれで今のところ竿ガシラは私だ!!!
最大のライバルはSHUさんと読んでプレッシャーをかける。
SHUさんはまだ小さめのガシラしか釣ってない
「SHUさ〜〜ん 本命ゲットですよぉ〜」
ここから気の遠くなるような 釣れない時間が・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
過ぎていく。
毛利さんはビールを飲み干し、クラゲさんは仕掛けを幾つも造り
SHUさんは「つれん!!腹立つ!!つれん!!腹立つ!!」とお経を唱える。
我が二男息子は早くも爆睡。
しかしこのピンチを救ってくれたのが我が伊豫組神戸出張所長の北忠オヤビン
だった。
「もしもし 航希さん? 神戸の北忠です。○憲さんと船で釣りの予定ですが、
今だエンジン不調でシュッセン出来ず。」
との第一報が入った。
早速、その気の毒な話を船内放送で伝える。
人の不幸は笑ってあげるのが伊豫組のマナーなので 全員でマナーを貫く。
一騒ぎしたあとで、「おっそうだ!ブッ込んでおいたあのリールはどうだ?」
リールを巻くがやはり竿がなければ巻きにくい。(^^)
そこで船のヘリを竿先に見立てて リールを巻くがなんだか重い。
こりゃロープにでも引っかけたかな?と巻きながら海中を覗くと
なんとそこには、アナゴ?かウナギ?かトウヘイ?か何か解らないが
あのてのニュルニュルした長い生き物が付いていた。しかもしっかりハリスに
絡んでいる。

「うっきゃ〜〜〜」と騒ぎながら気持ち悪いのでハリスを切って海にお帰り願った。
私の独断と偏見で あの謎の魚?は マダイ科の学識名「ドウナガマダイ」とした。
この魚が幸運の女神なのか?すぐに毛利さんが合わせを入れる。
「おおおおっ コレハツイテイマス! キテマスキテマス」
と巻き上げたのが22〜3CMのマダイだ。

数分後 (今日のメーンイベントとこの時点では思われた)
私の竿がギウググッとしなった。
「おりゃやややっ〜」と合わせと入れると、確かな締め込み!!
周りの羨望の眼差しを、片手で遮り慎重に巻き上げる。
2号の竿に10号の重りを付けているのでそれだけで重いのだが、
結構な締め込みがあるのでなかなか面白い。

グググッ ギウググッ と上がってきたのは28のマダイだった。

「サイズは今一かぁ〜」と周りには言いつつ心の中で
「ふふふっ 今日の様子ではこれで竿ガシラだな」と思っていた。
そこからがまたまた 釣れない時間が過ぎる。
30分・・・ 1時間・・・ 1時間半・・・・・・・・
これに比べりゃ雪印の牛乳なんて無菌状態だぁ〜
と思えるジャミがこびり付いた手でおにぎりを頬張り、ジュースを飲み、
歌を歌う。
「おひまな〜らぁ〜 きてよねぇぇ〜 わたしぃ〜 さみしいぃのぉぉ〜」
度重なる場所替えも、効果無し!
こうなりゃ 振り出しに戻る釣法だ!と最初の場所に帰って来た。
すると・・どうだ!
先ほどまで「つれん!!腹立つ!!つれん!!腹立つ!!」とお経を唱えて
いたSHUさんの竿がガツンとしなった。
「きたぁ〜」と満面の笑みで巻き上げる。
締め込みは少ないが上がってきたのは30CMもあろう大きな丸鰺だ。

美味しそうだ!!
ニワカに活気が船内を走る。
クラゲさんも時間を置かずに竿を撓らせる。
「釣り歴ウン十年のオッサンをなめたらあかんぜよぉ〜」
と叫びながら上がって来たのも大きな丸鰺だ。
12時に完納予定も30分 また30分と延長していく。
これからが地合かと思われるが、我々にはもう実弾のオキアミやジャミが
少なくなっていた。
心残りで残念ではあるが、幸いに今日の本命の最長記録と最大枚数の2冠の
私は余裕でタバコを吸いながら今日のヒーローインタビューの台詞を考えていた。
心なしか、透明の静寂が周りを包んだ時、その災難は起こった。
ガタン!とみんなが向いている方向と違った場所で音がした。
振り向くと置きっぱなしにしていると思っていたクラゲさんの竿が
海の引き込まれそうになっている。
あわてて竿を持ち合わせを入れた。
ググググィィィ〜〜ン 根がかりと思えるほどに竿は大きく曲がった。
このクラゲおじさん 知らない間に 籠フカセ仕掛けを造り流していたのだ。
まさかぁ〜 ねぇ〜 そんなぁ〜 竿ガシラの座が・・
そのファイトを見るだけでかなりの型だと確信した。
えええええぃ もうこうなりゃ 助太刀いたすぞ。
タモを持って近くに寄って励ました。
「逃げてもええでぇ〜」(^^)
ユラリッと姿を見せたのは紛れもなくマダイ!
慎重なやり取りをし、無事タモ入れに成功!
早速計寸すると 46CMだ。

揺れる船内。
弾けるクラゲさん笑顔。2時間でガックリの落城航希。
体制は決した。
反撃体制のファイティングポーズもとれず、試合終了のノックアウト。
こういう時は北忠オヤビンに慰めて貰おう。
電話をかけると
「今、海上エンジントラブルで漂流中」との美味しい返答。
早速、船内に通報!
「波高し!瀬戸内海に謎の海坊主漂流中、航行の船舶は注意させたし!」
そう冗談を言いながら、私は
「こりゃ ○憲船長さんの小指はすでに体からは離れているであろうな」
とマジに心配したのでありました。