2001年2月18日(日曜日)
 輪行峠行。
 武蔵溝ノ口駅(5:21)=川崎駅(6:05)=二宮駅(7:05)−七国峠−天神峠−日向山−七曲峠−山ノ神峠−順礼峠−物見峠−狢坂峠−やなみ峠−自宅(17:20)。

平塚市某所から、富士山を見る。



 武蔵溝ノ口のセブンイレブンで朝食を買って電車に乗る。川崎6:05は静岡行きだが、8両編成と短い。
 二宮駅で下車し、出発。七国峠を目指して県道71号線を北上、富士見平を目指す。いきなりの急坂。でも名前の通り富士山の名前が良い。このあたりはみかん畑である。富士見平には「愛の地蔵」というものが建っている。江戸時代、お伊勢参りの帰り道、若妻を持った男が川止め
の川を渡ろうとして濁流に飲みこまれた。一緒にいた村人は、男の死を告げるに告げられず男の妻に彼は船で帰ったと嘘をついた。若妻は海辺へ男の帰りを待っていたが、やがて発狂してしまった。この話を聞いた地元の人が建てた地蔵である。
 西久保へ曲がる。真新しい馬頭観音、地蔵尊が建っている。馬頭観音は三面六臂を浮き掘りにしたタイプ。ただ、憤怒の相ではなく、どちらかというと顔はやさしい感じ。
 で、道を進むとゴルフ場に突き当たってしまった。なぜ?辺りをうろうろしたがわからないので、思い切って来た道を引き返すことにした。県道71号線にまで引き返し、秦野市方面へ北上。県道77号線から入る事にする。
 77号線に入り坂を登ると「七国コース」と言う看板がある。つい引きこまれて、簡易舗装の道を登る。登ったところは畑が広がっていて、適当に進んで峠のほうへ南下すると、県道77号線に出る。ここにはバス停が「七国峠」。このあたりは一応、ハイキングコースとして整備されていて指導標もある。だが、七国峠を指すほうはゴルフ場。
 ゴルフ場への道をしばらく行けば、そこに七国峠の休憩所があった。かつて七つの国が見えたと言う峠も、今や眼下は芝生になっている。かつての旅人はゴルフ場客になっている。


七国峠を偲ぶ休憩所。実際はゴルフ場に囲まれている。


 県道77号線に戻り、伊勢原方面へ下る。県道62号線、63号線と進んで、小田急線を越えて国道246号線へ。伊勢原の交差点で来たに曲がり、しばらく進んで県道63号線に合流する。
 東名高速をくぐって、セブンイレブンで補給する。このセブンイレブンの手前にもうひとつコンビニがあるが、セブンイレブンのほうが駐車場が大きく、裏手から大山も見えて気持ち良い。
 総合運動公園を右手に見て、分かれ道から県道64号線に。薬師入口の手前では、道端に地蔵損や馬頭観音が建っている。しばらく行くと、2週間前、順礼峠へ行くとき来た道になる。
 七沢病院、七沢温泉と過ぎて林道に入る。割と車が多く、人も歩いている。とはいえ、それも温泉の近くだけ。天神峠の登り口を探して進む。途中、道標の無い作業道のような急な斜面の道があるが、ここは登り口ではない。日向山はもっとイージーな山である。
 日向薬師の裏手、梅林の駐車場が登り口である。注射場は9割埋まっている。自転車を担いで登る。最初は木で土を留めた階段なので、嫌でも担がなければならない。
 日向山への道を分けると、静かな雰囲気になる。時々乗って行けるが、無理はしないほうが良い。山腹を緩やかに登りつづけ、稜線の鞍部出る。木々が覆い被さるようなその場所が、天神峠。だが、指導標にはこの場所を示す名前は無く、「大黒」と鉛筆で書き足してある。峠の名前は無い。


歩く人も少ない天神峠。


 北の道に進むと、キャンプ場である。こちらの道もしばらく山腹に沿っている。しばらく走ってみたが、自転車で乗車可能な道がずっと続いていて、自転車で5分ほどでキャンプ場へ下る道が分岐している。
 キャンプ場分岐から戻り、日向山へ登る。また階段である。単独行の老年ハイカーとすれ違う。山頂手前では、中年夫婦とすれ違った。

日向山山頂の弁財天の祠。


 日向山山頂は平塚方面が開けている。かつて弁才天を祭ってあったと言う祠がぽつんと立っている。ベンチもあるが、他に誰もいない。
 稜線を東へ進む。こちらのほうが道は急だ。単独行の中年ハイカーとすれ違う。道の右側には、鹿除けの柵が続いている。一気に高度を下げて、七曲峠。


草の刈られた七曲峠。


 峠には山神が祭ってある。鹿除けの柵の扉が右手にあり「必ず閉めて」と小さな看板があるが、柵も扉も壊れてしまっている。
 峠から北側へ下る。途中、中年夫婦とすれ違って、私が自転車を担いでいるので話し掛けて来た。物珍しく思ったらしい。山も自転車も好きなので、こうやって山に自転車で来ることもあるのだと答えると、男性はそのうち自転車を担いで山を走るようになるんじゃないの?奥さんも連れてさ、と言った。俺は独身だけどね、ははは。内心の言葉である。
 すぐに林道になる。しばらく下って、Y字路を山ノ神峠のほうへ北上する。ここからまた上り坂。しばらく乗車して走るが、さすがに疲れてしまった。こういうときは躊躇せず下車して押して歩く。
 下山してくる人が多い。鐘が岳に登ってきたのであろう。山ノ神峠手前、道が雷光型に曲がるところに涌き水の出るところがあり、車にポリタンクを積んで汲みに来ている人がいた。マイナーなところのようで、その人しかいない。
 山神隧道には駐車場のように広場があり、そこから山道につながっている。自転車に鍵を掛けて丸太の柵につなげて、峠へは歩いて行く。ハイカーが大勢降りてくる道を、自転車を担いで邪魔するのは無粋だと思う。
 それは正解だった。急な斜面に無理やりつけたような道で、自転車を担いでいると邪魔でしょうがなかっただろう。道も広くは無い。登り返しながら、稜線が近づくと傾斜も緩くなって、そこが山ノ神峠。だが、山ノ神自体は峠から東へひと登りしたところに祭られている。ハイキングコースからも外れているから、ハイカーたちは気が付かずに素通りする。

峠に祭られた山ノ神。気づくハイカーは少ない。
山ノ神峠。ちょっと小広くなっている。


 峠の北側に下りてみる事にする。脇から小木が枝を伸ばしてきているが、道はしっかりしている。ただ、歩く人が少ないことは確かだ。針葉樹の葉や枝で道が埋まっている。地形は南側の道よりもやさしい。沢沿いを緩やかに降りる。
 林道に出た。山神隧道から100mほど、沢に掛かっている橋(ガードレールがあるから分かる)を渡ったところで、目印の為だろうか、枝にスナック菓子の袋が結び付けられていた。
 山神隧道を通って自転車のところへ戻る。隧道は真っ暗で、靴の裏のビンディングのクリートが奇妙に音を反響させた。
 道を下って県道64号線に出る。フレンドマートというコンビニになりきれないコンビニの店で菓子パンやジュースを購入。順礼峠あたりで食べようと思う。しばらく道を下って、以前来た順礼峠への道に入る。ハイキングコースの階段を自転車を担いで登り、ちょっと自転車で走れば順礼峠。だが、カップルが煙草を吸いながらだべっている。これはたまらんということで先を急ぐことにした。
 担いでちょっと登る。四等三角点のあるピークに出ると、乗車可能な場所が増える。小さなアップダウンを繰り返し、途中にある階段は担いでこなす。物見峠手前のピークにあるベンチで補給しようと自転車を標識に立てかけた。東側が開けているが、見えるのはなんと山腹を切り開いて作られた巨大な墓地である。墓地の中を、墓参りであろう、自動車が何台か移動している。なんじゃありゃと心の中で呟いて、あまり眺めは良くない西側を向いて、ジュースと菓子パンの補給をする。
 単独行の老人がやってきた。挨拶を交わす。自転車を見て、「自転車で来たの?こういう人は少ないねぇ」と話し掛けて来た。
 聞けば、今年で72歳(とてもそうは見えん)、63歳で定年退職してから山を歩き始めたと言う。胆嚢を切る手術をして、医者から「歩くとか運動しないと死ぬぞ」みたいに言われて歩き出したそうだ。一昨年は塔の岳に登ったという。今のところ日帰り専門らしい。
 彼は、私が自転車で山に来ると言うあまりないスタイルを実行している事に、感心したらしい。確かにマイナーだが、高尾山や奥多摩に通っておれば一度くらい目にしますよ、とは私も言わなかった。
 本当に山が好きな人は、どちらかと言えば、ハイキングコースで自転車に乗っていることを快く思わないと思うのだ。自然に対する負荷は人が歩くよりも大きいし、事故の危険性もあるからである。ただ、大半のハイカーはそんなことは考えない。ああ自転車で来る人もいるんだね、と思うくらいだろう。
 中年男性がやってきて、彼は私より先に出発した。老人も順礼峠の方へ歩いていった。
 私も荷物を片付けて、先へ進む事にする。乗車するには傾斜がきついので、担いで歩く。物見峠の階段で、先に出た中年男性を追い越す。彼は階段の手すりにつかまってはぁはぁ言っている。普段運動していない証拠だ。
 私が来たのを見て、私と同じくらいの年齢のカップルが出発していった。
 物見峠も、南東が開けている。もう墓場は見えない。鞍部の峠ではなく頂きをあらわす「トッケ」の転化した「峠」らしいが、そのとおりピークになっている。


いかにもハイキングコースな物見峠。
峠の役目を終えた狢坂峠。


 男性がやってきた。私は写真を撮るために残り、彼は先に出ていった。私はしばらく時間をつぶす。
 しばらく乗車して、登り返したところが狢坂峠の標識のあるピークである。これは津古久峠のそれと同じく真新しいものだ。ここから一段下がったところが狢坂峠。東西の道は、それらしい形はあるものの薮っぽそう。西側はトラロープが結ばれている。
 ここからしばらく担いで歩き、階段を上る。白山手前で下へ下る道がある。飯山観音に自転車で乗りこむのも無粋なので、ここから県道へ降りる事にする。やはり階段で、一気に下って行く。民家の裏手に出てちょっと行けば県道60号線のローソン前に出る。
 ここから東へ進む。下り坂なので楽チン。宮の里経由で国道412号線に出る。このあたりは4車線の大きな道路だ。北上し、いつしか2車線の田舎国道になって、「泉」バス停手前の交差点で右に曲がる。まつかげ台の住宅街のなかを坂道を上って東の林道を行く。
 登り返したところがやなみ峠である。書籍によっては鳶尾山峠とも紹介されている。辺りのハイキングコースを紹介した大きな看板がある。
 鳶尾山へ行ってみる。ここは車両進入禁止と言うことで、自転車は押して行く。住宅街いのすぐ裏手にこのような小さな山があるというのはうらやましい。子供達の格好の遊び場になるだろう。
 日本で最初に一統三角点が立てられたと言うだけあって、低い山にもかかわらず特に東側が良く開けている。その三角点もいまは石柱が無くなってしまっている。
 また、あたりにはやたらと桜を植樹したという標識が立っている。名所化計画があって、桜を一万本植えようと言うことらしい。


鳶尾山山頂。中年夫婦が散歩に来ていた。
ハイキングコース標識のあるやなみ峠。


 峠に戻る。あとは自宅に帰るだけ。一本松方面へ降りて、上溝から町田市根岸を経由し小田急線沿いに出て帰宅した。



峠一覧へ