2001年3月3日
輪行峠行。
武蔵溝ノ口駅(5:38)=軍畑駅(7:30)−伏木峠−松ノ木峠−夕倉山−稲詰峠−久方峠−権次入峠−黒山−名坂峠−川井駅(15:30〜15:57)=津田山駅。
走行距離22km。
結果的に、ほとんど自転車に乗らない山歩きとなった。自転車を担いでの、鍛錬みたいなものだった。
昨日の低気圧の影響で山では雪が降ったとの記事を新聞で読み、ゴアテックスの登山靴で出かける。ハイキング車のペダルはBMX用のフラットペダルになっているから、問題ないのである。しかし、家を出ていきなり、「これは駄目かも」と言う思いが頭をよぎった。ゴアテックスとはいえ登山靴は登山靴、ペダルを漕ぐようには出来ていないのである。
いつもの電車で輪行。立川では奥多摩行きがなかったので、なんとなく青梅行きに乗り、青梅で20分待った。電車は単線を進むが、雪が積もっているようにはない。ますます選択を誤ったかと言う思いが募る。午前中くらいで済ませて帰ろうかとすら思った。
軍畑駅で下車。ここは無人駅である。自転車を組み立てて伏木峠へ向かう。その前に榎峠を越えなければならないが、ああ、やはり登山靴は駄目だ。ビンディングに慣れた体にはいまさらフラットペダルはきつい。おまけに、体が温まる前にいきなりの坂道だから息ばかり激しくなって筋肉がついてこない。
先に出ていた登山者を抜かして、インナーローで榎峠をどうにか越えた。すぐに道を左に入る。高水山の標識が出ている。ここもまだ坂道。インナーローで進む。鶏の鳴き声がする辺りで舗装路が終わり、山道になる。早速担ぎモード。
高水山の指導標に従い、尾根に上る。植林地である。高水山へはさらに登って行かなければならないが、伏木峠へは別の尾根へのトラバース道を進む。伏木峠の辺りはここから確認できる。昨日のものか、今日初めて雪が残っている場所に出た。だがそれもすぐになくなり、石がゴロゴロした道になる。乗って行くのも面倒なので担いで行く。ずっと緩い下り道である。
小さな沢に丸太を並べた橋が掛かっているが、苔むした丸太は滑りやすい。登山靴だから躊躇せず沢の水に足を入れる。
たどり着いた鞍部が伏木峠。山ノ神が祭ってあり、成木へ道が降りている。
高水三山への分岐。伏木峠へはここを直進する。
伏木峠。
伏木峠の山ノ神。
尾根には踏み跡があるので、ここから縦走する事にする。自転車を担いでいきなりの上り坂。小さな枝が自転車に引っかかる。小さなピークを越える。道は木の葉や枝に阻まれ勝ち。途中、「本指山」という手作りの標識のあるピークがある。ここから急坂を下って行けば、石仏の立つ松ノ木峠。
松ノ木峠。送電線巡視路として現在を生きる。
峠には馬頭観音が立っていた。左から2番目、浮き彫りのものは一面六臂。あたりは伐採された木が転がっていて木の匂いがする。松ノ木峠の標識があるほか、送電線巡視路の標識にも松ノ木峠とマジックで書き足してあった。
さらに縦走を続ける。尾根を南東に折れて、小さなピークを越える。踏み跡は明瞭だが、良い道とも言えない。尾根の両側から、採石所の音が聞こえる。たまに派手に崩れるような音も。
尾根が派生しているたびにそこに踏み跡がある。地形図を見てそのたびに判断する。やがて鉄索の残骸のあるピークを越えて、次のピークにくればそこは三等三角点のある夕倉山。手彫りの標識が木に括られている。かつては眺めが良かったのだろうか、今は森の中の山頂だ。
さらに東へ進む。少し踏み跡が心細くなったように感じられる。小さなピークを二つほど過ごすと、成木へ道が降りている。ここが稲詰峠らしい。しかし、山ノ神のある伏木峠や馬頭観音の並ぶ松ノ木峠の後では、単なる下降点にしか見えない。
稲詰峠。何もない。
稲詰峠へは、この橋を渡って左に曲がり、山道へ進む。
成木へ下る。畑のようなところに出る。この辺りでは、鳥の餌付けをしているのでハンティングは遠慮してとの看板が立っている。道を下り小さな橋を渡ると成木街道に出る。2万5千分の1の地形図「武蔵御岳」の右上「成木川」の文字の「成」の辺りに出た。
ロードレーサー野郎が二人ほど、通りすぎていった。一人はシートチューブのないソフトライドのようなタイプ。このあたりはトライアストロン野郎の練習場らしい。
結局、伏木峠から稲詰峠まで、まったく自転車に乗らなかった。
久方峠へ向かう。先週の水口峠下降点から百メートルほど、U字カーブの頂点にある山神橋から伸びる林道に入る。ちなみにこの橋は山神橋というだけあって、沢のところに山ノ神らしい祠が立っている。かつての作業道の向かい岸に舗装林道を作ったようだ。鎖でゲートはしてあるが、歩行者や自転車は横から入ることが出切る。
沢沿いの林道をゆるゆると登る。やがて車の降り返し地点のようなところに出る。この先、カーブしてひと登りしたところが林道終点である。久方峠へは、降り返し地点の右にある小さな石橋を渡る。ここも沢沿いに作業道が伸びている。再び担ぎモードである。
時々倒木がある。沢が消えるころ、作業道も消えて尾根への薄い踏み跡がある。この先が、久方峠。例の指導標がここにもある。
さて、ここからどこへ行くか。小沢峠へ縦走するという手もあるが、それもつまらない。とりあえず、埼玉側へ下ることにする。
久方峠。
このあたり一帯にある指導標。誰が作ったのだろう?
久林への道。これはまだ道跡がはっきりしているほうなのである。
久林への道は、尾根近くには踏み跡があるが、それもすぐに消えてしまう。うろうろしたがどうもルートが見つからない。結局、沢沿いに下ることにした。基本的に沢の中を歩き、倒木などでどうしようもないときは左右の斜面へ巻く。自転車は完全にお荷物で、はっきり言って「何で俺はこんなところへ自転車担いで来ているの?」と思わざるを得ない。しかし登山靴をはいてきたのは正解で、水の中に足を入れてもまったく浸水しない。さすがゴアテックスブーティ。ICIスポーツに赴いた甲斐があるというもの。
それでも沢の中の石は滑る。何度か足を滑らせて、軍手や足元を泥泥にしてしまった。自転車を担ぐ肩当て代わりのゴムスポンジも、気がつくとどこかへ落してしまっていた。
ある程度下ると、左岸に道らしき跡が見えるがかなり荒れている。だが各段に歩きやすいことは確かだ。倒木をくぐったりして、水神の祭られている水道施設が見えるとゴールは近い。
川に掛けられた木の橋を渡り、誰かの家の横を通ればそこは県道70号線。川には釣り人が二人ほどいた。
県道70号線を西へ進む。名栗村に入り、小沢峠への道をすぎて、名栗川橋で道を曲がる。林道に入り、温泉宿を過ぎ、インナーローでゆっくりと林道を進む。沢をU字に回ってすぐに道は未舗装路になる。押したり、乗ったりして進む。1kmほど来たところで山道に入る。また担ぎである。
右肩で担いだり、左肩で担いだり、前三角に頭を入れて担いだり、時々体勢を変えながら登る。林道を横切り、また登り道。この辺りから雪が現れた。また、空は曇り模様になっていた。
階段状の道を一歩一歩登る。汗が額を流れるが、軍手は泥だらけなので山シャツで汗をぬぐう。雪は確実に増えて、岩茸石の稜線に来るころには積雪の上を歩く状態になっていた。
夫婦ハイカーが前を行く。下山してくる人もいる。自転車を担いで上る私を見て「自転車の雑誌の方かなにかですか?」とたずねてきた人がいた。聞けば、上でMTBで下っていった人がいたそうだ。仮にも雪の積もる山に自転車野郎が二人もいて、偶然ではないと思ったらしい。
雪はどんどん増える。登るのは良いが、自転車を担いでこの道を下るのは大変だろうなァと思う。ハイカーも靴に簡易アイゼンをつけている人が多い。私も登山靴で良かった。
数人、やはり上でMTBを見たという人が話し掛けて来た。
ようやくたどり着いた権次入峠。ここも乗り越す峠なのだろうか?ここでカロリーメイトとクリームパンで補給する。奥武蔵の山々は雪をかぶって白い。見下ろせば、ダム湖が小さい。
奥武蔵側の眺望のある権次入峠。
小沢峠のほうへ下る。MTBのタイヤの跡がある。この雪の道を、だいたい乗車していったようだ。私は担いだり乗ったりの安全運転。
黒山では、夫婦がベンチに荷物を思いっきり広げてお昼にしていた。ラジオまでつけている。MTBのタイヤ跡は小沢峠へと伸びている。私は名坂峠目指して南下する。
この辺りから雪は現れたり消えたり。しかし、雪のおかげで乗車率は多いに下がった。黒山から名坂峠まで、小さなピークが多く尾根道も狭い部分があったりして、とても自転車向けとは言えない。さらに雪のおかげで、ふだんなら登れる勾配もスリップして立ち行かなくなる。結局、担いだほうが早い。
途中、何人かハイカーとすれ違い、又抜かした。自転車を担いでいても、私の歩きは中高年登山者よりずっと早いのだ。
名坂峠北側のピークへの登りで倒木が交差して登山道を塞いでおり、自転車を担いで通過するのに苦労した。まったく、今日は自転車は単なるお荷物だ。
高水三山の光景をカメラに収めて、急坂を下れば薄暗い名坂峠。尾根への取りつき地点というところか。
高水三山、および棒ノ嶺への入口、名坂峠。
川井駅へ向けて道を下る。しばらくは雷光型のつづら折れだが、やがて乗車可能な道になる。しかし、ブレーキの効きがエラク悪いことに気が付いた。ブレーキレバーがハンドルに触れてしまう、でも自転車は止まらないのである。シューを見てみると、消しゴムか何かのようにカスを出して磨り減っていた。雪で濡れて、砥石状態と言うことか。こういうときはやはりディスクブレーキが良いのかな。
やむを得ず、前三角に頭を入れて天秤担ぎでもくもくと下る。担ぐのはいいかげん嫌になっていたが、仕方ないのである。軽い自転車が欲しいが、金もないのである。
ようやく住宅が見えて、道に出た。スピードが出すぎないよう効かないブレーキを効かせながら道を下る。ビンディングシューズに調子の良いブレーキがあればこのまま青梅街道を下って自走で来たくするのだが、もうそんな元気はなかった。
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