船明神山(安達太良連峰)    写真へ


2002年3月16日
7:05 母成峠(972m)  10:15 船明神山ピーク近く(1660m)  
11:25 母成峠
山スキー    単独



 そもそも、安達太良山域の山スキールートに注目しだしたのは今年のことである。この山が山スキーのフィールドであるという認識は昨年まで全くといっていいほどなくて、クラシックルートといえるようなルートも滑ったことはなかったのだ。

 そのうえ、母成グリーンラインが通年除雪されているということも今年初めて知った具合で、今までこのルートにスキーで入ろうなどと考えたことはなかったのだ。

 しかも、無雪期にもこのルートで登ったことはなかったのだ。今回生まれて初めてこのルートで登ったのだが、ここはすばらしいブナの森が広がる斜面であった。

 二本松は一応晴れていて、安達太良もそこそこに見えていたのだが、その背景には薄黒いいやな感じの雲があった。土湯峠のトンネルを抜けると、案の定こちらの山は雲の中だった。それよりも、ずいぶんと雪解けが早く、まるで4月下旬の山のような黒い山々が多いことにあっけにとられてしまった。

 母成峠の入り口にクルマを置いて登りだす。猛烈な風の音で、木々の揺れ方も尋常ではなかった。昨日も風の強い1日であったが、そのままの勢いで今日も吹きまくっていた。
 森の中を登ろうとしたが、すでに雪は途切れ途切れしかなくて、しょうがないので登山道なりの切り開きを登りはじめる。
 ところが、最初の急斜面が凍結していてスキーで登れず、早くもアイゼン登行になる。急斜面を登り終えて、やっとスキー登山開始である。古いトレースがついていて、けっこう登ってる人がいることに感心した。

 切り開きの勾配もスキーで登るにはほどよく、雪もクラストして硬いのでどんどん進む。コナラミズナラ主体の林にポツポツとブナが混じる若そうな林が続く。やがて台地状の平坦地になると、カラマツの植林地になる。右手は、木の育ちが悪くその後ろに和尚山の中腹の林が見える。
 暖かいと思っていたが、山は冷たそうに真っ白な霧氷に覆われていた。

 切り開きの道がいつしか消える頃には、あたりはブナばかりの森になる。ここのブナは1月に登った鉄山西尾根よりもはるかに豊かですばらしい広がりがある。しかし、なぜか赤ペンキがやたらに塗りつけてある。登山用のマーキングなら、もっと離れてもいいようなものが、とにかく並んだ木々に一本ももれなく赤いペンキが塗ってあり、気持ち悪くなるくらいだ。伐採木の選木のマークにしてはあまりに変だが、だれがやったのかといつめたいほどのものである。

 霧氷に覆われたブナ林を登りはじめる。美しくていいのだが、もう少し風が緩くなってくれないものか。途中で何度も後ろを振り返るが、森の広がり具合が非常にすばらしい。これは新緑の時期に絶対に来て見たい。新緑の頃は遠出の山スキーにばかり頭が行ってしまうが、この森の新緑を知らずして安達太良のブナを語るなかれという感じであろうか。

 ブナ林に徐々にオオシラビソが混じりだす。ここのシラビソは形がよくて、とても美しい針葉樹林を形成している。しかも、その森は風を防いでくれるのでブナ林よりも暖かい。

 その森の林縁から先を見ると、西風が荒れまくってる無立木の白い斜面が見える。上で休むことがないように林の中でゆっくり休む。できれば風が収まって青空が広がってくれないかと願っていたが、風上の西側を見ると、真っ黒い雲があって、しばらくは好転しそうになかった。

 とりあえず登れるところまでと思い、風の中を歩き出す。
 沢沿いに上り、ほぼ稜線というところまであがると、シャクナゲやハイマツがけっこう顔を出していて、スキーのできる斜面ではなくなった。とりあえずアイゼンをつけてピークらしきをめざす。
 稜線にでたところ、ストックで体を支えていないと立っていられない突風の中に入ってしまった。右手の奥の方が若干高くなっていてピークらしかったが、とてもそこまで歩ける状況ではなく、マジで体温が急激に奪われ撤退を余儀なくされた。
 帰るのもまた大変である。突風を避けれるばしょまでわずか20mという場所だが、長い20mであった。

 シールをはがし滑りに入る。クラストでガチガチの斜面で、表面は荒れてるので、調子にのってターンしてるとエッジをひっかけやすい。
 それでも、滑りやすいのでついスピードがでる。

 アオモリトドマツ(オオシラビソ)の森まで降りて一息つく。
 森のの雪もまだ硬かった。斜度がないので腐ってると滑らないところだが、快適に滑れた。切り開きに入ってからは、さすがに重い雪になり、おまけにいやなはまり方をするのでずらしが効かずにてこずる斜面もあった。

 お昼前に下山してしまい、なんとなく物足りなかったが、ここは新雪の時に来て見たいと感じた。それより、5月の新緑の時に来てみよう。


自然礼讃