東大巓
1.山域大分類 :東北南部
2.山域小分類 :東大巓(吾妻)
3.(山域コード):5.25
4.コース概要 :天元台--人形石--東大巓--明月荘--大沢駅
5.日程 :2000/02/13(日)曇り/小雪
6.報告者 :渡辺(単独)
道具 :山スキー(バンディット+ディアミール2+TR9)
昨夜遅く東京から戻り、帰る途中に考えてこの山行となったが、吾妻を甘く見過ぎ
てた。絶対晴れると読んでいただけに、今日はかなりうちひしがれた。こういっては
なんだが、しばらく東京の気候の中にいて、カンが狂ったみたいだ。
今シーズンは寡雪だという頭で、このところの降雪がけっこうすごかったのを見逃
していた。やはりまだ2月、そう甘くはない。
さて、本題。
9:40 天元台スキ−場リフト上部(1820m) 予想外にガスっている。縦走に
は適さない。足でこの高さまで登れば、その上は諦めてもいいのだが、ここがスター
トだと、無理かなと思いながらも行ってしまう。この時点での体力的時間的優位が、
あとあと問題をひきおこすことになる。
10:08 中大巓(1955m地点) 少し期待の持てそうな空だ。稜線は風のため
新雪は少なく、快調に進む所だが、先が見えずいやな感じだ。
10:30 人形石(1935m) ここでシールを外したものの、斜面感覚がつかめ
ず、新雪滑降が気持ち悪い。風もやや強く、動いてんだか止まってんだか判らなくな
る。ここからとらえどころのない稜線なので、見えないとかなりつらい。忘れた頃に
現われる指導票が結構ありがたい。もっとたくさん立てて欲しいものです。
弥兵衛平からどうするか迷ったが、東大巓登ってもこの視界じゃどうしようもない
ので、というより、明月荘にたどりつくのも不安大だったので、斜面をトラバースし
て行く。なだらかな斜面が急に切れた所で、東大巓の肩の下に着いたことを知る。こ
の頃、時折雲が切れ、遠くもみえるようになり、山頂が近そうだったので、登頂する
ことにした。
12:40 東大巓(1928m) かなり晴れる気配がある。強い風で流された雲の
切れ間から陽が差し込み、冷たい新鮮な樹氷に陰影をつけて、ほんの一瞬だけの芸術
的な光景がみられた。その一瞬一瞬をとらえたくて長居をしてしまった。
シールを外して滑り出したが、視界の激しい変化に翻弄されて、せっかくの深雪な
のに、気持ち悪い滑りになった。しかも、明月荘まで滑れずシールを着けることにな
る。
13:20 明月荘(1830m) 小屋には人形石でほぼ同時だった3人組みが到着
していた。スキーの置き方から泊まりではなさそうで、ルートについて話すべきだっ
たが、入り口が鉄ハシゴ登って二階からなので、めんどうでやめた。
ここが今日最大のポイントになってしまった。(話するべきだった)
栂森あたりまでは、下から来ていて地形も頭に入っていたので、そちらを目指して
コンパスをあててスタ−トした。シールをはずすと進まない感じだったので着けたま
まだ。初めは調子よく行くように見えたが、予想外の急斜面に出くわしてしまった。
久蔵森の方に寄り過ぎてしまったと判断し、ほぼ水平に西に移動した。しかし、栂森
へ向かう尾根状の滑り出しを特定できず、彷徨ってしまった。晴れそうだったのに、
逆に雪も降り始めた。このままじゃやばいという気配になり、とりあえず明月荘に戻
ることにする。しかし、自分のトレースはすでに跡形なく、増して、動き回ったので
コンパスで逆に戻るわけにも行かない。できるだけ東に回り込み、傾斜のある方から
目指した。
15:03 明月荘。いざとなればここで一晩とも思ったが、5時までに林道にで
ればなんとかなるだろうと思い、北北西向きの指導票をたよって下りはじめた。とこ
ろどころにトレースが見え、ちょっと安心したが、全然甘かった。
深雪過ぎて進まなかった。部分的には下りのラッセルが必要だった。そのうち、登
りのものと見えるしっかりしたトレースを発見し、かなり頼ってしまったが、これが
信頼すべきものではなかったようだ。こんな状況だけど、しっかりパウダーを楽しみ、
あとはトレースにまかせようと考えたのが甘かった。沢を行くのはまずいだろうと思
いながらも結構滑りが楽しいので進んでしまい、明らかに滝に入っていくというとこ
ろでトレ−スは止まった。そうだよ。ここはまずいんだ。で、シールを着けて、東の
針葉樹林帯に登り返す。
晴れてないからこんなにすごいパウダーなんだろうけど、この状況では固い雪が欲
しかった。心拍は目一杯でもう随分動いている。横になったらそのまま死ぬかなって
感じだ。この登り返しからそろそろ薄闇という感じになり、落ち着けと言い聞かせな
がらも気は焦る。樹林帯のなかのギャップはすでに見えず、カンを頼りにふわふわの
雪に飛び込む。こんな状況でなければ、間違いなく脳内モルヒネの世界なんだろうが、
反対に胃が痛む。
カンバ類の林を滑り込み、なんとか林道に降りた。16:30くらいだったと思う。
ところが、この林道が意に反して進まなかった。トレースがあるのだが、そのうえに
降雪があり、スピードが出ない。しかも予想していた砂盛よりも上に出てしまったの
で、先が長い。とりあえずはずれず進めば終わると思いながらも、体が不調気味だ。
せめて月でもでれば元気もでるが、薄暮と小雪は深くなるばかりだ。
牧場に出た所で殆ど見えなくなった。ライトを出そうとして、電池交換してくるの
を忘れたことに気付いた。寄りによってこんな時に。とりあえず付けてみるが、低温
ということもあり、光りが茶色だ。手で握り、電池をあたためながら使ってみたが、
2分ともたずに消えた。足さぐりで滑って行ったが、そのうち気持ち悪くなって吐い
てしまった。
橋を渡り、大きなカーブを曲ったところで、強い光を目にした。やったぜ。緩い登
りを開脚でぜーぜー言って登り、山荘に辿り着いた。(18:33/460M)そこで電車の
時刻を訪ねるべく立ち寄らしてもらった。新しい電池を譲ってもらい、お茶をいただ
き元気が戻ってきた。電車の時間まで間があったので、コースについて話を始めると
さすがにいろいろ教えていただいた。結構8時くらいに降りてくる人もいるらしかっ
た。
そこから明るいライトを付け駅まで滑る。なんと半月に近い月も出てきた。ああ、生
き返る。月夜の雪景色はほんとに美しい。そんな山道をスキーで無人の駅を目指す俺。
立ち直れば、この失敗も成長の糧だ。慣れることで驕ってしまうと手痛いしっぺ返し
を受ける。甘く見ちゃいかん。
自分の未熟さゆえにこんな情けないツアーになってしまい、かなりうちひしがれた
が、sさん御夫妻と話していて、癒された気がした。ありがとうございます。ってこ
こでいってもしょうがないけど。
誰もいない山の中の駅で、寒風にあたりながら、自分の行動を振り返ること20分。
20:21の最終福島行きに乗り、庭坂に置いたクルマで家を目指した。
パットメセニー「DREAM OF THE RETURN」を何度も流しながら。