白馬周遊

写真

【日 程】  1999年5月12日(水)〜14日(金)
【山 名】  白馬岳、雪倉岳、朝日岳、小蓮華近く
【メンバ】  単独(TUA,TR9)
【天 候】  ずっと晴れ
【コースタイム】  5/12 猿倉 4:50  白馬山荘 9:23
       白馬岳 9:47  雪倉岳非難小屋 12:34
       5/13 小屋 6:05  雪倉岳 6:40〜7:05
       白高地沢(1640)7:34〜8:20 朝日岳 10:39〜11:00
       デポ地 11:32〜50  瀬戸川鉄橋 14:10
       蓮華温泉小屋 16:00
       5/14 小屋 7:30  大池山荘上2439m 10:47
       2560m 12:24   猿倉 14:02

5/11 (本行程前日)
10日の夜中に猿倉着。5時に目覚めるが、なんと雨。そのまま7時まで寝る。
どうせ時間に余裕があるので、この日は中止にする。ガスって視界も悪い。
大町の塩原書店に行き、長い立ちよみの後、2冊と地形図購入。ここは山岳関係
書と郷土出版物が充実している。かねてから興味を持っていた安曇節に関する新
刊を見つけ喜ぶ。さらに長野オリンピック問題の本がここにあることに感心し
(店頭平積み)買う。
昼寝して倉下の湯へ出向いたが、汗をかかずに温泉はジジくさいので、持参した
MTBで岩岳に駆けあがる。くらしたのペンション地からのぼるコースは最高
だ。白馬の山が雲の中だったのが残念。岩岳のゲレンデにでるとMTBダウンヒ
ルコースがあるではないか。
ゴンドラであがってきた完全武装・サス付MTBのおにいさんに、「この自転車
で下っても大丈夫か」と尋ねると、「ゆっくりいけば大丈夫」という返事であ
る。吹っ飛んでった彼らのあとをかかんに挑戦。サス無しではさすがにきつい。
しかし、これは病みつきになりそうな快感だ。山スキーに近い。
倉下の湯で汗を流し、MTBを栂池にデポしに行く。万が一、栂池に下山した場
合、猿倉までの足として使う算段である。ゴンドラの解体作業中で、役目を終え
たゴンドラがブルでつぶされていた。もっときれいに解体できないの?金かかる
もんね。

5/12 猿倉〜白馬岳〜柳又源頭〜鉢の鞍部〜雪倉岳非難小屋
一日置いて正解の晴天である。なんとか5時前に出発。林道はかなり雪が切れて
いたが、それでも繋ぎながらスキーの跡があった。白馬尻小屋を発見できないう
ちに雪渓を登りだしていた。3日前に行った飯豊の石転びより登りやすい。なる
ほどアプローチシューズでも登れそうだ。雪渓の真ん中に赤いマーキングが伸び
ていて、滑り止めと思われるワラがまいてあった。(それは辺りから飛んできた
というより人為的に捲いた感じだった)
小屋からの直下部分でツボ足下山の2人とすれちがった。
白馬山荘でちょうど外にいたおじさんと話しをした。「雪倉非難小屋埋ってんじ
ゃねえか」と言われてあせる。場合によっては今日じゅうに雪倉北面を滑ること
になる。
風が強くてじっとしてられない山頂を足早に降り、山荘のかなり下からいよいよ
滑降だ。
ところが、柳又の広い所に来ると、鉢ヶ岳への登り返しが気にかかり、殆ど滑り
を楽しめずトラバースとなった。それでも好斜面の広がる景色に一人で声を出し
ていた。それにしても、旭岳の北面はすごい。あんなとこ滑るわけ?それってエ
クストリーム!!
トレースを追う感じで、長池の南から鉢の鞍部のもう一つ上のコルに登った。尾
根はかなり雪が消えていて、夏の気配だった。鉢ヶ岳の東面がまたすばらしかっ
た。かなりそそられて、1本行きたい気分だったが、寝床を確保しないうちは心
配で先を急いだ。
非難小屋はちゃんとあった。しかも改装間もない。風当たりのいい場所で、そも
そも雪は少ないとみた。3月10日だったかの書き込みがあった。小屋に入って
新しい板の間に横になると極楽だった。低空飛行のジェット機みたいな風の音、
外に出る気もなくなった。静かに闇の訪れを楽しんだ。

5/13 雪倉非難小屋〜雪倉岳〜白高地沢(1650)〜朝日岳〜蓮華温泉
雪倉山頂へは夏道も見えていたが、アイゼンをきかせて雪上を登る。山頂から北
東に大斜面が広がる。とりあえず朝日に登り返すのにどうするかを考える。やは
り限りなく北を目指したい。五輪尾根の西に朝日へ登る雪面が見える。
尾根気味を少し滑り、左のカール状の谷に飛び込んだ。あっという間に高度をさ
げ、その後、左の尾根をトラバースする感じで1705のポイントめざして疲れない
ように流した。
五輪尾根からストンと落ちた白高地沢を見てスキーを止める。ちょうど赤男山北
東尾根の切れ目で、デポするには最高のポイントだった。そこで昨日の残りのα
米と卵スープで雑炊を作る。ポカポカかつ雪倉朝日乗鞍の眺めよく、幸せな食事
となった。デポ品はシートにくるんで細引きでしばったが、食料のにおいをクマ
などがかぎつけはしないかと本気で心配した。
そこから少し登ると、平原に出た。そこで、朝日を正面に見て、左右どちらから
攻めるか迷った。赤男山北西のコルがかなり近くに見えたため、南から登ること
にした。この赤男山の北面がまた良かった。安定した純白が長く広がっている。
登って見ると、コル手前の斜面が結構厳しく、やはり北から安定したルートをと
るべきだったと後悔した。朝日の南面の登りも結構厳しかった。
荷が軽いせいもあって、朝日からのダウンヒルは軽快に飛ばせた。文句なしの大
斜面だった。目標がみえるので、デポ地にドンピシャリだった。
ここでほっとしたのがいけなかったのか、このあと大いなる苦痛が待っていた。
瀬戸川までは地図で見るより起伏に富み、池も3ヵ所以上あり、どれがヒョウタ
ン池なのか特定できなかった。やはり無雪期の偵察は重要だ。これでガスってた
らどうなっていたことか。もっともビバーク可能な装備ではあったが。時計の高
度計を信用して下りすぎてしまい、右斜め下に取水口の赤い手すりを見たとき
は、真っ青になった。やはりずっと上にあったデポ旗の残骸が降りるポイントだ
ったのだ。そこを少し下ったのに、きっちりルートを発見できなかったのが痛
い。もはやあちこちに群生する水芭蕉などどうでもよかった。沢の轟音、これが
やたらと不安を増幅する。必死にデポ旗まで登り、右に回る感じで降りていくと
夏道が現われ、頑丈な鉄橋があった。
橋で気を入れ直し、見るからにきつい斜面を直登する。登りつめると、いきなり
原に出るわけではなく、狭く緩い沢をほんの少しスキーで下る。すると、あちこ
ちで水芭蕉の咲き始めそうな兵馬平に出る。険しい瀬戸川の空気とうってかわり
平和だ。私はこういう風景の方が好きだ。と、ほっとするのも束の間、どこから
森にはいればよいのか不明。とりあえず赤いプレートを2枚発見したが、目標に
向かって突き進む状態ではなく右往左往してしまう。夏道の階段を発見し、これ
で大丈夫と思ったのに、その後、北に寄ってしまい、直登気味に南に向かう。キ
ャンプ場のトイレを発見、ほっとした。それから、谷を回りこんだ先にある蓮華
温泉ロッジを見ながら、無理やりスキーを滑らせた。
ロッジについて、とにかく温泉だ。10分はきつそうだったが、せっかくなので仙
気の湯に入りにいった。その後の1本のビールが効きすぎた。飯も食えずに1時
間寝込んだ。その間、たぶん7時ぐらいに1パーティ到着したようだった。女性
を含む3人のようだ。
食事を頂いて再び温泉。内湯もまた極楽極楽。これなら毎年来たい。ほんとに極
楽。
体じゅう硫黄臭くして、ふとんにゴロンとなった。

5/14 蓮華温泉〜白馬大池山荘〜小蓮華山西2612付近〜金山沢〜猿倉
5時過ぎに快適な目覚め。じつにいい。ツエルトになんか寝てられない。
6:30朝食。昨日遅く来た3人組と会う。今日は同じコースだ。食堂にあった小
蓮華へのルートを書き込んだ写真と窓の外の山を見比べ、今日のルートを予習す
る。とにかく初めてのコースなので、できれば3人についていきたかったが、私
の方が先に出発した。
源泉地の少し上まで雪渓をスキーで登り、尾根まで見える手頃な白い沢を見つけ
て、アイゼンで直登した。
尾根にでてしばらくシール歩行したが、栂の森から少し急になったのでツボ足に
する。今までアイゼン付けたほうが絶対楽だと思っていたが無くても変わらな
い。天狗の庭の下、夏道が大きくトラバースしている部分の最後を発見し、ジグ
ザグの夏道を登って天狗の庭を通過する。その上は大池山荘までほぼ一直線に進
める。大池山荘近くの岩峰?を目標にスキーを進める。大池山荘は大分出てきた
がまだまだ入れない感じ。さっさと先を急ぐ。小蓮華への尾根は殆ど夏道が現わ
れている。
2439の少し上までスキーであがり、夏道に乗り換える部分で大休止。
風もなくトカゲ状態。エネルゲンの粉末ジュースとウィダーゼリーをきれいなザ
ラメ雪で冷やして飲む。雪倉朝日の絶景も手伝ってたまらなくウマイ。カメラの
フィルムがあと2枚というのが悔やまれた。金山沢の上と下で撮りたい。写真に
撮れない分、脳裏に焼き付ける。
日本海から標高1600メートルあたりまで雲の海が流れ込んでいる。白馬から栂海
新道が浮かぶ感じになっている。瀬戸川や兵馬平は雲の中だ。
最後の登りはルンルンのはずだったが、わずかに残る雪が下まで腐り難儀した。
はじめは冷たく気持ちよかったが、さすがに我慢できなくなりスパッツを着け
た。
2612と思われるピークに立つが、滑りだしが良くわからない。雪の切れている南
面をのぞくとひとつ戻ったあたりからシュプールが降りている。それでそこまで
戻ってザックを降ろした。金山沢の上部は広い斜面で、どこでもいい感じ。小蓮
華尾根からこちらの斜面もいい感じで、コンパスで角度をみると平均36度ぐら
いで、けっこういけそう。でもシュプールは無い。もう一度そちらに行く気はな
く、自分の真下に見える平坦分までどのように滑るかを考える。
シュプールははじめの部分を長いトラバースにしているが、直下することにす
る。重めのザックが気になる。幸いなことに下に誰もいない。平坦分はかなり広
く、絶対止まる。そう自分で決め込み、ザックを転がした。ものすごい勢いで吹
っ飛んでったが、小さな点になってからはスピードも緩み、なんとか止まった。
ちょっとビビった。
ザックめがけて大滑降。会心の滑り。 ザックを背にしてからも大斜面は続い
た。調子に乗りすぎ平坦部下の斜面で一回転の大転倒をした。かなりの高度を転
がった。もったいない。下の方は雪面が大荒れの上に重い。
それから狭くなる沢を行くと、右からの黒い崩落が沢を覆い、おまけに水も現わ
れて、スキーをかついだ。その下は石が多く、だいぶスキーを痛めた。春スキー
は古い板で、といいたいが、しょうがない。この辺りの感じを見ると金山沢はク
ローズ近しといったところだ。とにかくスキーが痛む。脱げばいいんだけれど。
大雪渓の砂防ダムの上にでて、対岸の林道に上がる。しばらくスキーで滑った
が、あまりにひどい音なのであきらめてかついだ。
猿倉のクルマに到着、体についてる物及びザックの中を全て広げて乾かす。それ
からディレクターチェアにふんぞりかえりジュースを飲みながら双眼鏡で小蓮華
を見る。ぎりぎり見える右の斜面に自分が飛び込んだシュプールが見える。「お
お、すげえ」と声にだす。と、視野に点が動いた。なんと後続の3人が上部の大
斜面を左にトラバースし、小蓮華尾根の方から斜め右に滑る所だった。これには
感動した。最後の一人はもったいなさそうにかなり長いこと斜面を覗き込んだ
後、ジャンプターンで雪を蹴散らして行った。その後は手前の山陰になってしま
ったが、すばらしい滑りを見せてもらった。
今あそこにいるということは、あと1時間半は来ない。それまで待っている気も
なく、腹も減ったので、MTBを回収しに行き、倉下の湯にひたった。そこの体
重計が正確ならば、このツアーで5キロ減量したことになる。久々に60キロ代
となり多いに喜んだが、大町のモランボンで一人焼き肉をやってしまい、家に帰
ったら3キロ戻っていた。(戻ったのは殆ど水分だと思う。ビールではありませ
ん)白馬のそば神があいていれば、ヘルシーにざる2枚で満足していただけに、
さっさと蕎麦屋に行かなかったことを反省した。焼き肉で元気になり、真夜中の
海沿いの国道を福島へ走らせた。
以上。