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毛勝山      写真へ


2001年6月3日(日) 快晴  毛勝谷〜毛勝山頂往復   単独



 山スキーメーリングリストの早川氏のレポートに触発されて「ちょっと行ってみっか」という気になった。昨シーズンは5月の頭に仕事でひざを痛めて、それ以後山スキーができる状態ではなかったのだが、今年はなんとか6月まで来た。6月に入ってもスキーをやってるのは今年が初めてのことである。

 土曜の夜に二本松を出発した。遠いのでずっと高速を利用した。魚津ICを下りて、その道をどんどん山の方に走っていったところに毛勝山はある。
 最後の集落を越してからは道も細くなり、毛勝谷がせまってくるとかなり怪しい感じの道になる。夜中に走るのはあまり心地よいものではない。片貝山荘とおぼしき場所の前の路肩にはクルマが4.5台停めてあった。
 MLの記録によるとまだ先まで入れるということなので、徐行しながら先へ入る。スケールの大きな谷が月明かりでぼやーっとうかびあがり、いきなり深山へ入ったような緊張感を感じる。

 林道をそろそろ上がり、雪の山で通行止めになっているところまでたどりついた。すでに6台程駐車してある。なんやかや1時半だ。エンジンを止めると。耳に入るのはゴーゴーという水の音。谷の先の方に見える雪渓が月明かりに浮かび上がって美しい。家からちょうど400キロだった。

 5時過ぎに起床。すでに十分明るく、ぼちぼち出発している人の足音が聞こえる。

5:35 (870m)出発。まだアプローチがあるものと考えて、アプローチシューズをはいてTR9はザックに入れて歩く。林道はところどころ雪に隠れている。

6:06 (930m) 最終堰堤。この先から雪渓にあがれる。飯豊の石転びと違ってアプローチが短い。これなら最初からTR9をはいてきても我慢できる距離だった。ここですぐ前を歩いていたほぼ女性ばかり15人くらいのパーティが、岩崎元郎さんの御一行だと知った。
 雪渓が固い。朝早いということもあるが、やわらかいソールだとけっこう厳しい。雪渓の表面はかなり荒れている。こんなとこ滑るんかいなという感じ。岩崎さんチームの跡を追って歩いていたが、後ろから来た単独山スキーヤーがさっさと横を抜いていったので、私もそれを追う形で団体を離れた。ところが、この方はとんでもなくハイペースのため、あっという間に見えなくなってしまった。

6:33(1240m) 大明神沢出合。4人ほど休憩していたが、さっきの山スキーヤーは先に行ってしまった。もうしばらく緩斜面だろうということで、靴はそのまま。それにしても雪面は固く、ザラメには程遠い。昨日寒気が入り込んで北陸は一部にわか雨とか天気予報で言っていたが、けっこう冷えたに違いない。そこから登りだして、1500mあたりでついにふんばりきれなくなり、靴を履き替える事にした。軽い一突きではストックが刺さらない固さだ。TR9にアイゼンをつけると。ちょうどよい感じになった。早川さんのレポートにあったシュルンドのまわりには、なにやら残置物が。よく見るとプラスチック製のぺぐ。どうしたんだろう。

 1900mを超えたあたりから傾斜はかなりきつくなる。かなり危なっかしく歩いている登山者がいる。4本爪の軽アイゼンらしい。傾斜がきつくなると落石も多くなる。上の方が日にあたって溶けてきたせいもあってか、かなりひんぱんに落ちてくる。雪面が固いので止まらない。さっきのおじさんを抜いてからしばらくして、下のほうで「ラーク」という叫び。1M近い岩がどんどん加速して転がっていく。さっきの危なっかしいおじさんが、雪面を避けて雪のないガレ場にたっていて、どうやら浮石を落としてしまったようだ。初心者みたいな人が指導者にもつかずにこの雪渓を登るのは危険が多すぎる。

 8:57(2380m) 稜線到着。ほんの少し雪が切れたブッシュを抜けて、稜線の雪面にでる。剣から白馬の眺めが最高だ。そのまま山頂へゆく。
 9:08(2414m)〜10:20 山頂。山頂は結構広くてゆっくり休める。三角点のあるあたりは雪がなく土がでている。ここも本来なら草に覆われているのかもしれないが、たぶん山頂を踏む人の増加とともに土の部分がふえていくのだろう。植生の保護を考えると、弱そうな植生には注意して入りたい。できれば入らないようにしたいかな。平な雪の上にシートをひろげて靴を脱いでのんびりしてしまった。ちょっとザラメになってくれないと最初の急斜面が怖い。

 岩崎さんの一行が到着してからいそいそと出発準備。雪もゆるんでいい感じ。思ったより登山者が多く、73歳とかいう方も元気に登頂した。なんといっても眺望の良い山である。北アのスケールの大きな山々が手にとるように見えるし、反対側には日本海の青い海が見える。
 スキーをはいて滑り出す。コルまでちょっと狭い片斜面だが、様子みるにはちょうどよい。で、コルからが本番。まだ登っている人がいる。小石を落とすのが怖いが滑り出す。緩みぐあいがちょうどよくて、ジャンプターンも楽にできる。最初の狭い部分から下の見える谷に入ると、まだまだ続々登ってくる人がいるではないか。こりゃあ、へたな滑りはできない。幸い、登りのステップは上から見て右よりだが、滑りやすい斜面は左よりなので、雪を流してもあまり迷惑はかからない。だいたい滑った跡に自分の崩した雪が流れてくるので、その中に石がないことを確認できる。

 かなり止まり止りながらなんとか急斜面をこなす。あとはなんてことない斜面だが雪面が荒れている上に石やら枯れ木やらが多くてこれをかわしながら滑るので気を抜けない。それでもがりがりいって深い傷をつけたようだ。大明神沢出合から下になるとさすがに登っている人もなく。ひっそりとした谷になった。雪はさらに土砂まじりのデブリになってしまうが、歩くわけもなく、堰堤まで滑った。

 11:20 最終堰堤。暑い。下はもう夏の気配の風だ。ここからクルマを停めた場所までの間はまだまだ山菜があって、地元のおばさんたちが斜面にならんではりついていた。林道を歩いていくと、花の匂いがしたり、新緑のにおいがしたり、まるで犬のように鼻を上にむけてくんくんしながら歩いた。
 11:53 下山。クルマは20台以上ある。山菜取りの人もかなり多い様子だ。いてもしょうがないので着替えもせずにクルマを出した。

 深夜に通ってきた道を下ってみると、こんなところだったのかとあらためて新鮮な印象。

 魚津市にある金太郎温泉という有名らしい温泉に行った。一昔前のつくりといった印象をいなめない建物で、ちょっと引き気味だったが、正直言って雪渓登ってる頃からかなりもよおしつつあった便意の限界に達しそうだったので、とりあえず1000円はらって中に入り、さっさとトイレに向かった。

 ところがこの温泉、なかなかよかった。美川憲一オンステージとかいう催しのあるようなところなのだが、温泉のほうは「奇跡の温泉」とかいって、ここで病気が良くなった人の名前が1000人分くらい書いてあった。日曜ということもあってそこそこ混んでいる。年寄りばかりだが。

 温泉でかなり気分良くなって、そのまま8号線をはしりだした。風が心地よかったので、しばらく海沿いの道を窓を全開にして走りたいと思い、あえて高速には乗らずに上越まで行った。高速を走るスピードで全開にすると、快感というよりかなり耐える状況になるのでなかなかできないが、下の道だと全開にして、カーブごとに感じる風が海からの冷えた新鮮なものだとはっきり違って、そんなのを楽しみながら走った。