10月@日 東向島ねこ小路

拙者、ねこ殿が大好きである。
肉食と草食なので食の好みは合わないが、これが却って良い。
ひとつのメニューでメインをねこ殿が食べる。そして拙者が付け合せの野菜を頂くのだ。
また、酒の趣味は合う。ねこ殿も兎もブランデーなどの芳香があるものを好む。
ねこ殿はマタタビを少々加えて飲むのがお好きだ。
さて、拙者が現在住んでいる東京墨田区の中に「東向島ねこ小路」と
拙者が勝手に名づけた一角がある。
そこはねこ殿の集合住宅ともいえる場所で、そこに行けばたいてい誰かに会うことができる。
年齢層も幅広い。この間などは生後間もない赤ちゃんを拝することができた。
また模様も皆様多種多様で、黒・三毛・トラ・ブチ・キジ・・・と枚挙に暇ない。
ただのまっちろけヌリカベのような拙者としては羨ましい限りである。
ところで拙者、あまり大きな声では言えぬが
少しばかり憧れている淑女がいる。
小さめの体にエメラルドグリーンの目。長い尻尾で毛色は真っ黒。
毛並みもよさそうで、なによりお美しい。
ばったり遭うと、年甲斐もなく緊張してしまう。
拙者も少しは齢をわきまえて、まだ話しかけたことはない。
遠くからそっと見ているだけである。
それを友人兎に打ち明けたら「かえってこわいよ」とあっさり言われた。
嗚呼、どうしたものか。
いかんいかん、拙者には連れ合いが。
いやしかし、疚しいことをしているわけでもなし・・・。
拙者の心は揺れ動くのであった。
悩ましき「東向島ねこ小路」。
拙者はこれからしばし想いに更ける故、本日閉店。

兎耳堂