10月#日 流れ星を獲れ!!

拙者、甲府市立白兎小学校5年生の頃から天文の虜になった。
入門書を買い、星座早見版を買い、それでは飽き足らず「天文年鑑」を毎年買ってきた。
小学生の脳にはちとムツカシイと思われるか?
いやいや、却ってそれくらいの年齢の方が吸収も早く、
あっという間に表の読み方などを会得したものである。
さて、当時の甲府はまだ空も暗く、5等星くらいまでは見えたものだった。
夜になると父にねだって近所まで一緒に出かけて観るか
ベランダにゴザを敷いて仰向けになって観た。
まあその場合たいていは途中で眠ってしまって、気付くと夏の朝陽にちりちりやられていたが。
その後、いつだったか口径5cmの屈折望遠鏡を誰かから頂いた。
5cmとはいえ、土星の輪も米粒のようにだがきちんと見える。
木星の惑星の様子も見えた。あれを観た時には感動した。
月も観たが、あれは眩しい。確かにわが同胞が餅を懸命についておった。
ところで、ひとくちに天体観測といっても、何を観るかを日によって決める必要がある。
漠然と恒星を辿り、星座の形をつかむのもそれはそれは楽しいものだ。
また、変わり種を狙うという手もある。
例えば彗星。これは最低でも口径12、3cmの望遠鏡がほしいものだが
ごく稀に肉眼で見られるものもないことはない。
それから星雲・星団。
肉眼で見える星団は多い。有名どころでは「スバル」ですな。
肉眼で観測したあと、ぜひ双眼鏡でご覧あれ。星の数が断然に増えて圧巻である。
残念ながら星雲は写真に撮らないと観られないものが多い。
単体では光が薄いので、露出時間を長くして光を蓄積しなくてはならないのだ。
とはいえ、かの有名な「アンドロメダ星雲」は望遠鏡で見られる。
先程から望遠鏡、望遠鏡と連発してきたが、同じ口径では実は双眼鏡の方が見やすい。
なんといっても両目で見るので視野が約2倍になる(ような気がする)。
お勧めは口径5cm・倍率7倍のもの。壱萬円ちょっとで買える。
そんなに低い倍率・・・?と思われるかもしれないが
倍率が高くなれば視野が狭くなる(=星が見つけにくい)、星が暗く見えてしまう
などという弊害が起こるのである。
さて薀蓄はこれくらいにして。年寄りの話は長くての。
もうひとつお勧めなのは流星の観測。
いつ出るかわからない楽しさと、あの儚さにロマンを感じるのは拙者だけではなかろう。
一般流星の発生時刻は日付が変わる頃から。
その頃を狙って地面にゴザを敷き、仰向けになる。
その際、眼の焦点はぼかす。拙者にはその原理はわからないが、
焦点をぼかした状態で視野に流星が入る方がよく見えるのだ。
ぼかすといってもあまり寄り眼になさらんように。
一般流星は毎晩観られるが、時期によっては流星群というものも観られる。
拙者はまだ雨のような流星群に遭遇したことはないが、各国の歴史書には様々な記録が残されている。
拙者も1998年だったか99年だったかに「しし座流星群」を狙って
先輩兎たちと3人で甲斐大泉の天文台に出かけた。
その天文台は、先輩が友人と数百万円ずつ出しあって建てた手作りのものだが
立派なシェルターに大きな望遠鏡(口径25cmはあっただろうか)が付いていた。
しかもそれにはコンピュータが繋がっており、そこに星の名前や位置を入力するだけで
望遠鏡が自ら動いてその星を捕らえてくれる。
素晴らしい出来であった。
その望遠鏡にて月や星雲を観つつ、流星群の大発生を待つ。
「しし座流星群」は11月中旬頃から見られ、18日前後にピークを迎える。
11月とはいえ、山中なので非常に寒い。東京の冬より気温も低く、また冴え渡った寒さだ。
スキーウェアに帽子・手袋・マフラー・マスクで完全防備しても
少したつと震えが止まらなくなってくる。
時々近くの小屋で暖をとりつつ、ひたすら副射点付近を見つめる。
少し大きなものが流れると、横浜にいる当時懇意だった副部長に電話をかけ
お互いに報告し合う。眠気防止にもなる。
兎に角寒いので、眠ったが最後、凍死してしまうことだろう。
そして観測を始めて約8時間経った午前4時20分頃。
拙者がふと下を向いて靴紐を結びなおしていたその時、
空と地面全体がぱあっと白く光った。
慌てて空を見上げると、大きな大きな雲のような痕が漂っている。
そう、今回最大の火球が発生したのだった。
・・・・・・・見逃してしまった・・・・・・。
拙者の8時間は一体・・・・・・・・・・・・。
意気消沈したところで本日閉店・・・、の前に。
最近星を観る機会に恵まれていないが、今年沖縄に行ったときに少し観ることが出来た。
見慣れない位置に見慣れない星が瞬いている。
今度機会があったら、南鳥島・・・とまでは言わないが南端の島へ行き
地平線すれすれの星を観に行きたいと思っている。
それでは今度こそ閉店也。

兎耳堂