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心に残ったあの1冊・・・ 本については、僕は本屋で何気なく眺めつつ、「面白そうだな」と思うものを買う方ですが、そんな中で感銘を受けた本、面白かった本について紹介するコーナーです。


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『風の男 白州次郎』

青柳恵介 著
新潮文庫


●歴史・ノンフィクション

【キーワード】
「男らしさ」 「痛快」 「勇気百倍」







【解説・感想】

吉田茂の戦後政治を陰で支えたキーマン・白州次郎の伝記。彼は神戸の裕福な家に育ち、優秀な祖父・破天荒な父の両方の遺伝子を持つ。高校を平凡な成績で卒業後、イギリス・ケンブリッジ大で才能が開花、後貿易関係のサラリーマンを経て結婚を通じ吉田と出会う。しかし戦争が始まると直になんと町田・鶴川に「疎開」し百姓を始める!

戦後、憲法制定・貿易相での通商交渉・講和条約・電気事業再編と、彼は決して政治家ではないのだがその英語力と男気で、吉田の指名を受け特使として常に米国と渡り合った。そして東北電力会長・日本テレビ社外取締役等歴任し、晩年は軽井沢ゴルフ倶楽部会長としてその運営に情熱をそそぎ没。

年輩にも決して媚びらず、自分の考えをズケズケという態度、それ故にあふれるオーラ。英語はペラペラでマッカーサー・ダレスをも唸らせ、育ちの良さから来るお洒落・センスの良さ。彼の「敵を作ることを恐れていては仕事は出来ない」との信念には大いに感銘を受けた。確かに彼の敵は多くも、付き合いのある知人は盛田昭夫・堤清二をはじめ各界の著名人ばかりであった。またケンブリッジやサラリーマン時代から外国人とも親交を深め、生涯の親友であったそうだ。

また晩年は会員制ゴルフ倶楽部の気品を守る為、首相の米国国賓とのゴルフ飛び込み予約依頼にも「日曜はビジターはプレー出来ん」と断り、駐車場に運転手を呼び出す為拡声器を設置してくれとの依頼には「運転手待たせてゴルフなどするな!」、運転手に靴紐を結ばせる男には「てめぇは手がないのか!」と切れまくった。反面、裏方さんを愛し、筆者がキャディーさん達を取材した時は皆「良い人でした」と言ったきり下を向き鳴咽し始め、言葉にならなかったそうである。

鶴川での農業は生涯続け、軒先にはポルシェを停め、戦中戦後の貧しい時代にはその収穫物で多くの人々を助けたらしい。車好きでも有名で、中学生で(戦前なのに!)すでに車を与えられ、ポルシェからスバルまで、何台も車を所有していた。

とにかく読めば読むほど痛快な人物伝である。大いに元気を注入してもらった。その頑なさは中田英寿・イチローにも通じる。ゴルフのエピソードは、本当勘違いしている日本の中流意識丸出しオヤジ共に読ませてやりたい位でまた痛快。

歴史ものの好きな人、最近元気がなく落ち込んでいる人には、是非!!


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