
5月12日
会社をそそくさと出て、茨木駅前のイズミヤで買いだし。晩飯食って、慌ただしく嫁さん運転のカリブで駅まで送ってもらい、21:30時間通りに全員JR大阪駅に集合した。アオのサーフに代わり、LCMのオフィシャルカーの地位を固めつつあるヤスのオペルに乗り込み、名神を北上。京都南ICより国道1号、堀川通りを通って鞍馬街道に入った。京都北山は何度も来ているが、こんな時間にここを通るのは初めて。さすがにすれ違う車もまばらである。鞍馬から道は本格的な山道になる。花背峠、花背の集落、広河原、そして佐々里峠を越えていく。ふだんの激務もあり非常に眠く、みなうつらうつらする。日が替わって、0:30頃須後の演習林事務所に着いた。ぽつぽつ雨が降っている。一番奥まで車を入れて、そそくさとテントを張り、眠りにつく。明日はどうなることやらと皆不安げであるが、「なあに、晴れますよ!」と私は自信満々。
5月13日
5:15起床。狭かった割には、皆熟睡できたようだ。外はガスっているが、雨は降っていない。テントを畳み、湯を沸かして、朝ご飯。おにぎりとみそ汁。この朝早くからも、釣客らしい男性と、壮年夫婦が入林していく。トイレは簡易トイレながら換気扇が回っていて、朝から大変快適である。7:00発。すぐ橋を渡り、森林軌道跡の枕木をふみながら進む。最奥の民家の横にはトロッコが置いてあった。雨上がりであるが、川の水に濁りはない。7:20廃村灰野を通過して、7:47小ヨモギ作業所で休憩。いいペースである。ここにはなんの木だったか忘れたが涵養林となっていて、新緑があふれんばかりである。8:00発。道はほとんど平坦、さくさく進む。
森林軌道跡を行く
途中、シホが「ぎゃあー」と声をあげるので何かと思ったら、鹿の死骸が転がっていた。今年は雪が多かったらしく、あちらこちらに残雪があった。鹿にとっても大変な冬であったのだろう。線路が土の中にうずもれて消えたところが七瀬谷出合。ここで1回目の徒渉を行う。めいめい靴下を脱いで、裸足で渡る。ひざ下くらいの水量である。9:15、渡り終えたところで休憩。ここにはいくつかテントが張れる。ガスも晴れ、薄日が差してきた。「はっハッハッ!」、ヨネ、勝利の高笑いである。さらさらとおだやかに流れる由良川、木々の淡い緑、そして時折のぞく青い空、うーん!いい気持ちである。9:38出発。ここよりこれまでの平和な道が一変し、沢沿いのへつりと高巻きを繰り返す細く険しい道になる。しかも道は荒れ放題、倒木が多く、足下も雨上がりとあって滑りやすく、あちらでズルリ、こちらでツルリ。細い高巻き道では危ないところも多く、徐々に女性陣の腰が引けてくる。ヤスが丁寧にルートの指示をする。ショウコは、「うあ、マジで怖いわー」とかなり必死である。そんな中でもシホは、川の中を泳ぐ魚をみて、「ちょっと食べるのには小さいかなア・・・。」などと、いやしいことを言っている。10:28休憩。食パンとキュウリとハムをとりだすが、肝心のマヨを忘れてきたことに気づく。それでも食べるが、むせそうである。のどが渇く。10:42出発。11:30頃アヒノ谷出合を通過。アヒノ谷は美しいなめ滝となって本流に注いでいる。大きな淵のほとりに咲き乱れるシャクナゲも見事。他にも、道端に様々な野草が咲き乱れている(ヤスの「花記録」を参照あれ)。
川沿いの急斜面にシャクナゲが咲き誇る
あふれんばかりの新緑を眺めながら川沿いをさかのぼっていく。
まもなく大谷出合の巻き道に入る。入り口は見逃しやすいので注意が必要だ。幕営可能な広場を右下に見ながら高度をあげる。12:45稜線を乗り越して、下りに入る。下りきったところは川はナメとなり清々しい。記念撮影。上流からちりんちりんと熊よけの鈴を鳴らしながらやって来た釣り師とすれ違った。今日すれ違ったのはこの人だけ。そして、第二の徒渉点、ホソ谷出合。対岸に道が斜めに上がっていくのが見えるところで渡る。またみんな裸足になって慎重に渡る。すでに偵察がてら少し手前で靴のまま対岸に渡って、そのままひとり淵をへつって来た私がひとりひとり記念撮影をする。
いざ、徒渉!
裸足になるこの日のためなのか、ショウコはわざわざ足のツメにマニキュアを塗っていた。少し休んで、13:32出発。ここからしばらくは道は沢沿いとなり、少し河原も広くなって歩きやすくなり、平和な雰囲気が漂う。しかしそれもつかの間、ツボ谷出合は鎖場。みなロープを頼りに慎重に登る。対岸のツボ谷には由良川源流きっての見事な滝がかかる。そしてここより、再び道は高巻きを繰り返すようになる。天気もすっかり回復、14:20に休憩するが、だいぶ暑くなり女性陣はへとへとのようだ。14:37発、なおも倒木をさけながらあがったり下りたりを繰り返すが、ようやく対岸に今日の泊まり場、岩谷出合の河原が見えてきた。この目前で3回目の徒渉。今までは濡れずに済みそうでやっぱり濡れてしまったここの徒渉であるが、今回はうまく石を伝って濡れずに渡ることが出来た。15:42着。去年のヤブコギでテントをはった場所だ。冬枯れのうら寂しい雰囲気が漂っていたあの時と違い、今日は瑞々しい新緑にかこまれてとてもいい雰囲気である。コーヒーなど入れて一服していると、さっきの釣り師が再び鈴を鳴らしながら戻ってきた。もう少し上流のスケン谷の出合辺りに仲間とテントを張るそうな。「遊びに来てもらったらいいんだが、夜道は危ないからなあ・・」などと言いながら、名残惜しそうに立ち去っていった。今日の晩飯は水炊き。ヨネ持参のビールで乾杯!ヤスが辺りから「ウワバミソウ」を採ってきた。「いやー井原さん、共食いですなあ!」と言いながら鍋に入れる。ヤス持参の図鑑を見ると、マヨネーズ和えにするとうまいとある。シホ、「ヨネー、何でマヨもってこんかったんよー!!」と非難轟々、いやしい彼女は帰るまで「あー食べたかったなあー」と残念がった。最後のうどんを食べ終わった後、明日の雑炊用の米を炊き始めるが、途端に雨が降りだした。、他の3人はテントに避難し、私一人外に傘をさして炊き上がるのを待って、テントに入った。ランタンの明かりが煌々とともる中、梅酒とウイスキーで酒盛り。ショウコは、「う゛ぁー、なんか楽しいわあ」と御機嫌である。外は雷まじりの豪雨。ヤス、「これで、明日晴れたら濡れた新緑が最高なんですけどね!」ヨネ、自信満々に、「私には神が見える!だーーい丈夫!私を信じなさい!」そのうち眠くなり、自然に就寝。このうるさい雷のなかでも、私とヤスは横になるとすぐに寝ていたそうだ。
5月14日
朝、起床時間前に目が覚めて、ふと横を見ると、ショウコが大口を開けて眠りこけていた。おお、朝からとんでもないものを見ちまったと、外を見てみると、おお!!The sun shines!! 太陽が出ている!我は、天気を司る神なり!5:00起床。ヤスが今度はワサビを採取してきた。雑炊に入れていただく。もちろんぴりっとするほどではないが、ほのかにいい香りがする。7:10出発。ここからは俄然道は良くなる。シホが、「ヨネ、これは?」と昨日学習した花々の名前を厳しく復習させる。地蔵峠からと思われる人たちと何人かすれ違った。ゆっくり歩いて、林道に出て、朝日の中さわやかな広い道を歩くと、まもなくカーブの向こうに長治谷作業所が見えてくる。と、お、なんと作業所の屋根が落ちて半壊している!今年の大雪のツメ跡がこんなところにも。8:53着。バスが何台か来ていて賑やかである。ツアーが組まれているようだ。なんか、急に人臭くなってしまった。ここに荷物を置いて9:08発、三国峠へ向かう。枕谷の箱庭のような佇まいは、昨日の厳しかった道の事を忘れさせてくれる。最後に少し登って、9:48三国峠に着いた。眺めのいいのは去年同様、薄緑の中に、ところどころヤマザクラやシャクナゲの桃色をちりばめてうねうねと深山が連なり、遠く武奈が岳が春霞の中に浮かぶ。ここでやおらシホが、「みかんヨーグルト」を取り出す。「だって、おなかすいたんだもーっっん!」記念撮影後、10:18出発。来た道を戻り、10:58長治谷着。また新しいバスが来ていて、がやがやうるさい。それを避けるように作業所正面の芝生を下りていくと、その先の湿原にミズバショウがまだ咲き残っていた。荷物をしょって、11:20発。林道をてくてく、去年たどった同じ道を歩く。12:35ケヤキ坂着。神となった私は、あのいまいましい看板を踏みつけて、去年に続いて記念撮影。12:38発。山腹をずんずん下っていく。同じような道が続き眠くなる。そして下りきった辺りで、ぽつぽつ雨が降りだした。14:30事務所につくと、どど降りに。雷も鳴りだす。ショウコ、「モー、ヨネ何とかしてよー!」、ヨネ、「いやーここはもう下界ですから!」下界までは神の力は及ばないのだ。屋根のあるところで着替えてヤス車に乗り込み、昨日来た道を戻る。後ろで女性陣は熟睡。さほど混雑もなく京都市街に入ると、すっかりいい天気に。ヤスの提案で京大近くにある進々堂という喫茶店へ。私とヤスには懐かしい北部キャンパスの中に車を止め、コーヒーとサンドを頂いた。帰り道、ピンク色の看板を掲げたピンサロの様な焼き肉屋を眺めて、「よし、今日の晩飯は焼き肉だ!」と嫁さんを説得する決意をしながら、帰阪した。