今日は4月18日、土曜日である。ほんとは、今日はわたくしヨネの幹事にて京都北山・天ケ岳に行っているはずだったのだが、そとでは今雷混じりの雨である。去年の夏の練習、私が企画した多紀アルプスも雨で流れた。どうやら私は“本番に晴れる男”のようである。今回の上高地散策もおおかたの予想どおり、当然のごとく快晴に恵まれたのであった。
4月2日(木) はれ
夕刻、杭瀬よりシゲタ車にて出発、園田で大量の食料を買い込んだタマ、神崎で今日も仕事に励んで疲れきったヨネを拾い、18時30分頃豊中ICより名神にはいった。ドライバーはシゲタ、助手席にシンジが座り、なにやらずっとしゃべっている。2列目には第二ドライバー、アオ、リザーブドライバー、ヨネが控え、最後列を女性陣がかためた。特に渋滞もなく大津SAに到着、夕食をとる。ヨネはコッテリラーメンセットである。今回ヨネはやむをえず「てんしっちのたまごっち」をもちこんだ。心優しいヨネとしては放っておくに忍びないのでしょうがない。メシを食ってる間も気になってたまらないようである。その後も順調に名神、中央道を東進、途中アオにドライバーを交代して、松本ICに到着した。
国道158号線にはいると、辺りにはうっすら雪が積もっている。この数日冷え込んだので、こちらでは雪になったようである。車の温度計は氷点下を指していた。飲み屋のネオンも華やかで、「ビール飲みたい」との声もあったが、まもなく外は漆黒の世界となり、みんなこっくりこっくり(シゲタはぐうぐう)し始めた。0時40分中の湯に到着、道端にさっさとテントを張って寝た。
4月3日(金) はれ!
7時起床。空は雲一つない快晴である。山の上の方には樹氷が光っている。タマ、「車通るごとに、アタマひかれるか思た!」 朝飯はおにぎり、みそ汁とシホ手作りのパンである。前日遅くまでかかって焼いてくれたそうで、皆感謝の涙をおさえながらいただく。女性陣がトイレに坂巻温泉に少しだけ行ってきたあと、9時出発。さっそく釜トンネルにはいる。入り口には大きなつららがさがっている。結構傾斜が急で、足元は所々凍っていた。2泊にしてはいやに荷物が重い。大食いの人ばかりなので、かなり食料が多いようである。途中1回休憩し、てくてく歩いて右カーブを曲がっていくと、いよいよ穂高連峰が見えてきた。まだ真っ白の雪に抱かれ、ヨネが持ってきた晴天のもと眩しく光っていた。ほどなく10時05分大正池に到着。池のそばに降りてみるとまだ一部氷が張っていた。
そしてどこからともなくつがいのカモが数組現れた。えさを欲しがってるようなので、早速給食のおば、いやおねえさん達がパンをとりに走る。たべる、たべる。特にある一組のつがいが強く、他を押しのけるようにしてえさをあさった。全員口をそろえ曰く、「カモ、うまそう!」そしてタマ、「今日カモ鍋にしょっか!」10時25分出発、池沿いの自然探求路沿いに雪の上を歩き、11時40分小梨平に到着した。積雪は20センチぐらいだろうか、去年より少し多いぐらいだそうである。私はこれが4回目の上高地であったが、こんなに人のいない上高地はもちろん初めてである。いつも人ごみを嫌って通り過ぎるだけだったが、テントを張ってあらためて見回してみると、なかなかどうして静かな落ち着きのある場所である。目の前には穂高、明神の連峰が逼り、みかえすと焼岳がどっしりと構えている。そして梓川にはいつの季節にもまして澄んだ雪解けの水が流れている。昼飯は、チーズフォンデュである。山で食べるのは私は初めて。この昼飯については、事前に焼きそばにするかチーズフォンデュにするかアンケートがとられたのであるが、この期に及んで庶民アオは「焼きそばがいい」とまだ主張していた。が、上品な料理を好むヨネは大満足であった。たまらず、ヨネの持ってきた角瓶とリザーブがさっそく登場、皆紅茶に混ぜたりしてうまいうまいとどんどん飲む。とくにとみに最近酒に強くなったと評されるシゲタ、昼間から「あー、よっぱらった!!」
一休みしたのち、ウエストン碑のところまで雪道の上を散策に出かける。ここからの霞沢岳、六百山の眺めがよい。
帰りは河原沿いに歩いていく。河辺のケショウヤナギのオレンジ色の芽がまた美しい。途中雪原の上で一人ひとり記念撮影をした。芸術センスあふれる私の一枚は、名づけて「雪原に横たわる少年」。女性陣の絶賛の声を受けたことはいうまでもない。河童橋の手前にはまたつがいのカモがいた。あいにく適当な食べ物を持っていなかったので、試しにシーシーレモンをやってみたらよっぽどひもじいのかほんとに食べた。
テントにもどり、ヨネはひるね。ロマンチスト・シンジはどこへともなく出ていって、河原で物思いにふけっていた(かどうか知らないが)。気が付くと、放浪者・シゲタの姿も消えていた。林の向こうの方で二人でなにか話しているようだ。女性陣は晩飯の支度に余念が無い。晩飯は、寄せなべである。大量である。ビールとうどんもついて大満足である。外は月夜。となりにもテントが張られていて、そちらも盛り上がっている。そして木々の向こうには、雪の穂高連峰が月明かりに照らされて闇夜に白く浮き上がっている。オツなもんである。
4月4日(土) はれ!!
6時起床。当然のようにいい天気である。朝飯は昨日の残り汁で雑炊、さらに女性陣が昼飯のおにぎりをなれた手付きで三角に握る。8時20分出発。いよいよヨネの「ピンクセパ」が登場である。さらに今回は、手袋とロングスパッツ、サブザックも赤色と、カラーコーディネートのセンスは群を抜いていた。おまけに、靴下もピンク色と隠れたところにまで気を使う憎らしさである。これなら、梅田の町でギャルのまなざしをくぎ付けにすること請け合いである。その素晴らしさはここでは紙面の都合上書ききれないので、また見ていただくこととして、本線に戻ることにしよう。一行は静かな樹林帯をさくさく進む。雪道を歩くアオの出立ちは、いうなれば「波荒れ狂う冬の日本海に立ち向かう、アマガッパを着た漁師」といったところであろうか。雪はよくしまっていて歩きやすい。この辺り、夏ともなると行列をなして人が歩いているものだが、ほとんど誰と会うこともない。9時、徳本峠入口に到着、休憩。橋の上からの明神岳の岩壁の眺めが見事である。9時10分出発。沢筋を登っていくが、どんどん傾斜は急になっていく。雪は固くクラストしており、新雪が降ればすぐ雪崩れそうである。去年は雪が深く柔らかく、かなりラッセルしたそうであるが、今年は全くそんなことはなく、すいすいと登っていく。上部はアイゼンがあったほうがよさそうである。最後はこの時唯一アイゼンを装着していたアオが先頭となってステップを切っていく。皆好調なペースで登り、11時15分には徳本峠に到着した。
明神岳、穂高岳の眺めはもちろん、大天井方面や南の方角の山々も望まれ、メンバーみな、ヨネに感謝の嵐であった。お湯を沸かし、昼食とする。アオはなんと5個のおにぎりをたいらげた。しかし、やはり稜線にまでくると風が非常に強く、とても寒い。みそ汁をいただくが、どんどん体が冷えてきた。12時10分出発。上部の急なルンゼはアイゼンをつけて慎重に降りる。そして、傾斜が緩くなってきたところで、今度はシリゼードに興じる。はやい、はやい。あっというまに下りてしまう。接地面積の広い女性陣は、その大きな加速度をフルにいかして、太いシュプールを描いた。下部は雪がだいぶ緩んで、からだの重い人たちはズボズボ足をとられていた。13時30分には明神に到着。河原でおやつのぜんざいを作った。男どもはそろって昼寝している。平和な午後である。何人か散策にきている。できあがったとたんにまだ寝ていた男どもはむくりと起き上がり、男性陣は2個、女性陣は遠慮して1個の餅を頂いたあと、明神池に向かう。私の幼いころの記憶では小さな汚い池のはずだったのだが、今日こうしてきてみると、割に広々として、きれいなところである。数匹のカモがいるが、大正池のカモとは違いいっこうに近づいてくる様子はない。みると、イワナが何匹も泳いでいる。ここのカモは恵まれた食生活を送っているようだ。そこでシホがぽつり、「イワナおいしそう・・」いまぜんざいを食べたところだというのにまだ足りないのだろうか・・。15時出発。帰りは対岸の道を歩く。途中カモシカを見た。16時15分小梨平に帰着。晩飯のカレーうどんの準備をはじめる。シンジとヨネも、野菜洗いと皮剥き、野菜切りを手伝う。カレーを煮込みながら早くも酒が入る。今日の食事も大量である。なにがきっかけだったか忘れたが、唐崎さんが結婚するどうこうという話になって、ヨネ、「唐崎さんって縦長ですよねえ。」そして、少し腹が出てきて悩むアオに「青江さんは横長ですよねえ」そこによっぱらったシホとタマ、「ちゃうちゃう、前長!!」この酔っ払いたちはもう・・。この夜はみんながぶがぶ酒をのみ半狂乱となり、シホは「ケ○ゾウがなあ・・・」を繰り返し、シンジも「わー、たのしいわーー!」、
「また屋久島に行きたい」を繰り返していたが、まもなくシゲタとともに折り重なるようにして寝てしまった。結局、この2日で角瓶まるまる1本が空っぽになった。
4月5日(日) はれ!!!
3時頃、入口から二番目に寝るシンジがトイレに立ったのだが、その間に入口に寝るシゲタが勢力を拡大、残る4人は寝返りも打てず、こと一番端に寝るアオはシホの下敷きとなって朝を迎えた。6時30分起床。今回ヨネは当然のごとくゴアのシュラフカバーをかぶって寝ていたのだが、それでもどうしてもシュラフの一部が濡れる。それもなぜか局部の周辺だけが濡れるのである。パンツは濡れていないように思うのだが・・。お下劣アオ、ここぞとばかり、「春山にはパンパース!」朝食はホットケーキである。雪の中に埋めてあった牛乳が活躍した。そして交代ごうたいに焼くが、サイズが大きいせいかなかなかひっくりかえすことができない。こと、タマは一部を破損、自らのマット上に生地をばらまいてしまった。名誉挽回とばかり再度挑戦するが、やはり失敗。アオ、昨日の復讐とばかり、「恥の上塗り!」ここにホットケーキをかえすことには右に出るものはいないといわれるトミタ氏がいれば・・。結局一度にひっくり返すことはあきらめた。非常に量が多く、結局全部食べることができなかった。9時05分出発。帰りは雪かきもほぼ終わった自動車道を行く。途中大正池で休憩をはさんで、10時45分に中ノ湯に着いた。早速車に乗り込んで、完成したばかりの安房トンネルをぬけて、平湯温泉に向かった。外に湯槽が5つくらいある見事な温泉である。硫黄の香りがむんむんする。残念ながら混浴ではないが、板のすき間から頑張れば向こうが見えそうな気も・・。アオ、「どうせオバチャンばっかりやで」上がった後、女性陣に聞くと、「私らが一番若かった」とのこと。なるほど、確かにおばちゃんばかりだったようである。その後は再び安房トンネルを抜けて、稲核ダム畔にある店で信州そばを食べ、お土産を買って、松本ICより車窓の桜を愛でながら来た道を戻った。途中、恵那峡SAで横浜銀蠅を彷彿させる人々が歩いていたり、シゲタが中央道終点の渋滞でおもわず東名道に入りそうになったりしたが、おおむね順調に走ることができ、夕刻には大阪に到着した。