
8月17日 はれ
前日久方ぶりに「きたぐに」に乗り、前の席に座った赤ん坊に悩まされながら朝長岡着、越後湯沢行きに乗り換えて、現地高校生の短いスカートに悩殺されながら小出駅に着いた。待合室にはすでに山崎がいた。その姿を見て、一瞬「うっ」と思ったが、本人の名誉のためあえてここではその話題には触れないことにする。昨日「今着きました!」と連絡をくれた由谷がいなかったが、しばらくして駅横のホテルより現れた。なんと由谷らしくもない、信じがたいことにホテルに泊まったんだと!先輩である私が夜行、山崎に至っては越後湯沢の駅で寝ていたというのに。はるばる岩手からやって来た鳥取ナンバーのスターレットに乗り、国道352号線を東へ向かう。奥只見湖に通じるシルバーラインの分岐を直進、大湯温泉を過ぎると、枝折峠への峠道。狭いぐねぐね道で結構しんどい。峠には、駒ヶ岳の登山者らしき車がたくさん停っていた。ここから下っていくと、奥只見湖の湖畔、銀山平。ここで、シルバーラインのトンネルを通ってもここに抜けられるのを初めて知り、少し車酔い気味だった私は山崎のへぼナビに憤慨する。銀山平からは再びぐねぐね道、恋ノ岐川出合には10:30頃着いた。何台か車が止まっている。携帯は圏外、山奥である。マイカーなしでここまで来るのは大変だろう。支度をして、10:55入谷。空はからりといい天気、非常に暑い。思ったよりは沢の規模は小さく、また水量もこの暑さ続きで少ないようだ。
入谷まもないゴルジュを行く
小滝をこなしていくと、11:37最初に出てくる著明な4m滝。ここは大きな釜を少し泳いで、水流の左を登る。12:30には2段10m滝。今回初登場のデジカメで、めいめい釜につかって記念撮影。右のカンテ状を簡単に登れる。滝を越えると清水小屋跡。この辺りはずっとナメ床になっていて、別のパーティーが昼寝をしていた。12:46我々もここで昼飯。いきなりオールレーズン。由谷は私が2枚くらいしか食べないうちに、あっという間に全部平らげてしまった。2人がぷかぷかたばこを吸い終わるのを待って、13:24発。あいかわらずナメ、小滝が続く。由谷は暑くてしょうがないようで、釜があれば泳いでいる。14:02、4m滝。右岸からは12mほどの滝が合わさる。途中、オジサン2人パーティーを追い越す。14:22、三角沢出合でレスト。学生の時は沢登りでレストなどとらなかったものだが・・。そして2人はまたぷかぷかやっている。14:39出発。相変わらず難しいところはない。15:19、1176の次の出合通過。この先にきれいな連瀑。
美しい連瀑
ぼちぼちテンバを探しつつ行く。1274の手前辺り、右岸にいいテンバがあったがここは通過。結局これ以外にはなかなか見つからず、17:00ヘロヘロになりながらオホコ沢出合の右岸にテントを張った。酒を飲みながら晩飯のしたく。私はナイフを忘れてしまったので、飯炊き。パック入り味付け牛すじ肉入りカレーライス。どうかと思ったが、そんなに味は悪くない。最近のパターンで、食べるとすぐに寝てしまう。当然シュラフなしだが、結構寒い。
8月18日 はれ
5時起床。寒い夜だった。セーターも持たない由谷、さすがに寒いのもダメになってきたのか今日の晩が不安の様子。今日の朝飯は、「トムヤムぞうに」もちろん初の試み。冷えた体には良いが、朝から非常に辛い、酸っぱい。6:40出発。今日もいい天気、暑くなりそうだ。あいかわらずのナメと小滝、ところどころへつりを交えながらこなしていく。
朝日の中の小さなゴルジュ
難しくはないのだが、けっこう数があって滅入ってくる。8:19シロウ沢出合通過。このあたりからは地図上どこなのやら良く分らなくなってくる。レストをはさみながら、10:20右から10m滝が入る二俣。すぐに本流側の10mの滝を越え、10:35ナメ滝40m。気持ちのいいところ。水流の右を快適に登る。中段辺りで昼飯、カロリーメイト。眼下に会津方面の山々の展望が開けてくる。キンコウカ、ダイモンジソウなどの花も咲いている。
キンコウカ
11:15発。もう大きな滝はない。傾斜がだんだん増してきて、へばってくる。かなり本流を詰めたところで、左の枝沢に入り、少しヤブをこいで、長かったこの沢もやっと終わり、12:40登山道に出た。ここより池ノ岳は目前。12:47頂上の姫池で倒れ込むようにぐったりレスト。目の前には平ヶ岳の文字通り平たなピーク。
姫池と平ヶ岳
池の周りには花も咲く。13:04出発。木道を下ってすぐの分岐を右に行き、さらに看板にしたがって玉子石への分岐を左に下り、13:15水場のところでテントを張った。この暑い天気であるが、水場にはちょろちょろ水が流れていた。水とカメラを持って、13:34出発。さらに木道を進み、平ヶ岳へ。いったん普通の道になり、ゆるい登りをたるく上がっていくと、再び木道、辺りは草原となり、14:00平ヶ岳山頂の三角点に着いた。だだっ広い山頂、やや雲は多いものの、目の前には会津駒ヶ岳を中心とする南会津の山々と燧ケ岳、そして一面に広がる湿原のあちらこちらには池塘が点在し、まさに百名山の名にふさわしい。民家らしいものはほとんど見えず、山が深い。三角点よりさらにむこうのほうまでずっと木道が付けられているので、山崎とともに散策する。土曜であるが、人は誰もいない。ピークの南側からは至仏山、西側からは中ノ岳、駒ヶ岳に至る上越国境の稜線が延び、眼下には利根川の源流、そして遠く奥利根湖が見えた。昼寝している由谷のところへ戻り、少しぼーっとした後、14:55出発、15:10にはテンバに戻った。昼寝を決め込む。コバイケイソウが咲き誇る誰もいない静かな草原の中のテンバ、至福の時である。今日の晩飯は由谷の徹底的な軽量化の末生まれた、マーボ春雨丼。たんぱく質はレトルトの中の豚肉のみで微々たるものであるが、味は悪くない。食べると2人はまだ日も落ちないうちに早々に寝てしまう。私はラジオで中日巨人をきくが、今日も敗戦濃厚。そういえば、昨日沢中で見たおっさん達はどうしたのだろう・・。
8月19日 快晴
5時起床。由谷はゴミ袋を体に巻いて寝ていたが、昨日ほどは寒くなかったようだ。今日の朝飯はネギ入りピリ辛ワカメスープもち。さすがに昨日の朝飯ほどには辛くない。6:43出発。分岐に荷物を置いて、玉子石へ。私は去年の産女に続いて足の親指を傷めてしまったので、サンダルで歩く。今の渓流タビはいまいち足に合わないようだ。木道を伝って、6:57着。蹴飛ばせば転びそうな玉子石の下にこれまた瑞々しい池塘が点在している。天気も上々、剣ヶ倉山、大水上山、兎岳、そして中ノ岳、駒ヶ岳へと続く稜線の向こうには、行きたくても行けなかった屈辱の山、巻機山が浮かんでいる。
玉子石と巻機山
左のピークが中ノ岳、右が越後駒ヶ岳
素晴らしいの一言につきる。長い長い沢を溯行してきた甲斐があったというものだ。十分堪能したあと、7:27出発。戻る途中から望まれる北の荒沢岳、東の燧ケ岳などが薄い雲海の上に浮かび、さながら墨絵のようである。
荒沢岳を望む
燧ケ岳
7:42分岐に戻り、姫池を経て下りはじめる。もう皆年を取り、昔のようにタイムは縮まらない。日も高くなり、暑くなってきた。何人か登りの登山者とすれ違うが、みなそろって頂上の水場のことを聞く。この暑さでは無理もない。樹林帯の中をもくもく歩き、9:01台倉清水を通過、比較的平坦な道を、会津駒を見ながら進み、9:43下台倉山の手前の木陰でレスト。暑い暑い。良くこんな中を普通に歩いて登ってくるものだと思う。9:59出発。下台倉山からは、急な下りになる。ここで、ここまで珍しく筋肉痛に襲われていた由谷がさらに膝を痛め、ペースダウン。「あー、もうこんな山二度と来ないぞー」といつものように不機嫌になりながら、よろよろと下っていく。このあたり、木が全く無く、太陽が容赦なく照りつけ、ずっと下の方まで続くからからに乾いた白い道が見えていて、うんざり。10:57何とか木陰を見つけてレスト。腹が減ったので昼飯にするが、咽もからから、カロメをせき込みながら詰めこむ。山崎も、体が熱いと訴える。日射病気味か。11:22出発。12:12、林道まであと少しというところで、山崎が「もうあかん、5分だけ休ませてくれ」とダウン、横になってしまった。水分を取って少し休むと何とか復活、12:29発。すぐに林道に出て、12:35下台倉沢の出合に出た。先行していた由谷が疲れ果てた顔ですでに水浴びをしていた。我々も水浴び、生き返った。12:48発、コースタイムをかなりオーバーして12:57ようやく国道に出た。由谷は用意していた下界服に着替え、早速ヒッチに成功、車を取りに行く。約1時間後戻ってきた車に乗って、とりあえず2キロ桧枝岐寄りにある喫茶店へ。携帯はつながらないので電話を貸してもらい、新潟県は新井市在住、ワンゲル同期のくさりんに電話。電波の状態が悪くあまり要領を得なかったが、今晩居ることだけはわかったので、新井に向かうことにする。やれやれ、危なく会津若松に連れていかれるところだった・・。電話代430円也。国道352号を取って返す。恋ノ岐出合を越えて、銀山平へ。ここからはシルバーラインに入る。長い、岩盤むき出しの、やや気味の悪いトンネルを抜けると、そこが大湯温泉。湯之谷村交流センター「ユピオ」で入浴。500円なり。小出に出て、関越道に乗る。快調に走るが、突如後ろから「ウウウー」とサイレン音。ショック、黒いスカイラインの覆面パトだった!30kmオーバーで18000円、思わぬ出費に由谷は痛恨の表情。「あー、おやじが二人乗ってたのは気づいてたのになー・・・。」かわいそうに、2人は5000円ずつカンパした。のどかな田園風景をみながら、北陸道、上信越道を経て中郷ICで下りて、道の駅・新井へ。入り口でくさりんがお出迎え。彼の寮の駐車場に車を置いて、早速リクエストしていた焼き肉屋へ。しかし、近所で、とおもいきや、「近くにはうまい店がないんや!」と、パジェロで30分、妙高高原まで連れていかれた。しかしお墨付きだけあって、とてもうまい、大満足。寮に戻ると、山崎と由谷はまたもやあっという間に寝てしまう。マージャンを楽しみにしていたくさりん、「なんじゃ、愛想なしやなあ!」仕方なく2人で24時間テレビで、ぞうきん掛けに勤しむ子供たちを見ながら、12時頃自然就寝。
8月20日
山崎はいくら寝たら気が済むのか、それでも8時頃ようやく起きて、こんどはキムチ牛丼が売り物という上越市内の牛丼屋へ。山崎、「スケールがでかくなったやんけ」と妙に感心する。そして昨日の道の駅でお土産を買って、岩手まで下道で帰るという由谷とはここでわかれ、くさりんに長野まで送ってもらうことにする。途中戸隠へそばを食べに行く。店は「うずら家」。まだ昼前だが、有名店らしく店の前は順番を待つ人だかり。20分待って、ざるそばを食らう。うまいうまい、あっという間に平らげてしまった。くさりん、「ええ接待してるやろ!」と得意げ。再び車に乗って急坂を下り、長野駅へ。わずかなタイミングで特急を逃し、本屋で立ち読みをした後、くさりんとわかれて大阪行きのしなので帰阪した。
かなり体力低下の激しい二人、来年は大丈夫か?