ホンダ シティ カブリオレ

- コンバーチブル、スパイダー、ロードスター、カブリオレなどと呼ばれるオーブンカーが、1980年代に入って再び注目を集めるようになりました。古くはオープンカーとして発達してきた自動車でしたが、居住性や安全性などの面から次第にクローズドタイプのボディ移行していきました。しかし、オープンならではの開放感、直接走行風を受ける壮快感などによりオープンカーを望む声は高く、米国では'80年代からの保安基準の緩和も手伝って、一時全く姿を消していたオープンカーが一部のコーチビルダーから続々と造りだされ、さらにヨーロッパでもポルシェ911カブリオレなどの高級車から、ゴルフ・カブリオレ、タルボ・サンバなど比較的安価なFF2ボックスカーが次々に登場し人気を集めるようになりました。日本でも1960年代後半には、フェアレディやパブリカ・コンバーチブル、ホンダSシリーズなどのオーブンカーが生産されていましたが、需要の少なさやコストの高さ、幌の品質などの様々な理由から、1970年のフェアレディSR311を最後にオープンカーの生産は打ち切られてしまいました。ところが各国のオープンカーを…という声が大きくなったのです。ちょうどそんな頃、1984年7月に、ユニークなトールボーイ・スタイルで人気のホンダ・シティにフルオープンタイプのシティ・カブリオレが登場。自動車ファンのニーズをいち早くとらえた、タイムリーな登場となったのです。
シティ・カブリオレは、シティのボディ上部を1部残して取り去り、ソフトトップのフルオープンタイプとしたものです。しかしこの作業は単にオープンタイプとして幌を取り付けるだけという単純なものではありません。まずモノコックボディの一部を切り取るということで、強度がかなりおちてしまいます。またSシリーズでオープンカーを手がけたホンダといえども、現在ではかなり高品質な幌が必要となります。そこでボディの補強、幌関係の開発は長年のオープンカーの実績を持つイタリアの名門カロッツェリア、ピニンファリーナ社に依頼することになりました。
シティ・カブリオレの魅力はなんと言ってもフルオープン時のファッショナブルなスタイルでしょう。特に後部に整然と収納された幌はピニンファリーナ社の技術の高さを十分感じさせるものです。幌はポリエステルを特殊樹脂でサンドイッチしたような構造で、日本の高温多湿な気候を考え、対候性に優れたものとなっているのはもちろん、10年はもつという耐久性も兼ね備えています。加えて1cm厚のインシュレーターが内部に張られ、防音性、断熱性も高いものとなっています。またソフトトップ車のリアウインドウに使われるアクリル板を排して、透明度の高いガラスを使うことによってより良い後方視界を確保しています。
補強面では、外観的にはボディ中央に設置されたオーバーヘッドバーが特徴です。これには単にセンターピラーを継ぎ合わせたものではなく、ボディの強度を増すための重要な構造材の1つとなっています。さらにシャーシ部分にも各部に補強材が追加されたり、鉄板を厚くしたりして補強がなされています。
パワーユニットはシティRと同じ4気筒1231ccのCVCCコンバックスエンジンで、67馬力を発生。ただし補強で重くなった車重のためファイナルギヤーを低めて、もち前のキビキビした走りを保っています。また同時に足まわりはシティターボU同様のフロント・ベンチレーテッドディスク、リアー・ドラムの強力なブレーキが装備されています。そして遊びごころたっぷりのシティらしいアイデアも豊富。トノカバーと大容量のヒーターを装備して、真冬のオープンエアモーターリングも可能。またボディ色は12色を揃えられるというオーダーメード感覚も味わえます。加えてブルドックのオーバーフェンダーや前後バンパーでスタイルにアクセントが付け加えています。
一方でパワーアップ競争が盛んになっていく中で、本当の意味でのドライブを楽しむために登場したホンダシティ・カブリオレ。日本の自動車界にとっては、まさにエポックメイキングな1台と言えるでしょう。
※ キット同梱の「ホンダシティ カブリオレ」組み立て解説書より抜粋
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