【チャーミー石川】

 あんまり集中できないままのテレビ収録が終わって楽屋に戻ったら、まだ明日香ちゃんは考え込んでた。
 よっすぃ〜のこと、ずっと考えてるんだね。
 ちょっと……ジェラシー……。

 解決しなきゃいけない問題だってこと、わかってるよ。
 でも、私のことも見てほしいよ。
「ねえ、明日香ちゃん」
「…ん〜………」
 もう……ちょっと泣きそうになっちゃうよ。
 ようし! こうなったら……。

 明日香ちゃんは一点集中。
 話しかけてもちゃんと耳に入ってないんだから……それなら家に連れて帰っちゃうよ。
「お先に失礼しま〜す」
 明日香ちゃんの手を引いて楽屋を出る。
「ちょっと石川!」
 保田さんが呼び止めるけど……。
「後で連絡します」
 そう言ってさっさと歩いていっちゃう。

 タクシーで一気にわが家へ。
 その間も、明日香ちゃんは難しい顔して黙り込んでる。
 いいもん…それなら私にも考えがあるんだから。
 絶対に私のことだけを考えさせちゃうんだから!
 もう意地になってた。

 タクシーが私のマンションの前に停まったとき、
「あれ? 梨華ちゃんのマンション……」
ってキョロキョロしてる明日香ちゃん。
 可愛い……じゃなくて。
 今度は私の方が無言で、明日香ちゃんの手を引いて降りる。
「梨華ちゃん…私、家に帰らないと……」
 そう言う明日香ちゃんを、半ば無理矢理に部屋まで連れていった。

 グイグイ手を引いて、ベッドの前のカーペットに手をつないだまま、二人でペタンと座る。
「梨華ちゃん?……」
 頭の上に「?」をいっぱい浮かべた明日香ちゃんが、私の顔をのぞき込んでる。
「あんまり、よっすぃ〜のこと一生懸命に考えないで!」
 私の言葉に、最初キョトンとして……それから困った子を見る目になる。

 わかってるよ。わかってる。
 明日香ちゃんがよっすぃ〜のことを考えるのは、私たちのためでもあるんだよね。
 でも…それでもイヤ!
「私のことだけ考えてほしいの!」
 何か答えようと明日香ちゃんが口を開く前に、顔を寄せた。
 真っ直ぐに明日香ちゃんの瞳を見て、ゆっくりと。

 こういう時、明日香ちゃんは絶対に私を拒まない。
 今もそう。
 大人っぽい思慮深げな瞳だったのが、急に子どもみたいな目になって私を見る。
 それから、ちょっと上向き加減に目を閉じて……私の唇を受け止めてくれた。

 私、明日香ちゃんの唇、しっかりしてて弾力があってスキ。
 だから、ついばむように唇の心地よい感触を確かめて……。
 どこまでも明日香ちゃんを感じたくて、舌で唇の合わせ目をツツ〜ッとなぞる。

「おいでよ」
 誘うように唇が開いて……迷わず入り込んで明日香ちゃんを確かめちゃう。
 それでいいよね?
 だって、明日香ちゃんは私がすっごい寂しがり屋だって知ってるもんね。
 しっかり私を受け止めてくれて……もう私は自分でも止められなくなってた。

 こうして向かい合ってキスをしている間は、絶対に明日香ちゃんの頭の中は私のことだけ。
 だって明日香ちゃん、すごくウットリした表情をしてる。
 私だけの明日香ちゃん。
 もっともっと、私を明日香ちゃんの心に刷り込んでいくの。

 明日香ちゃんの肩に沿って指を這わせて、キャミっぽいワンピースの肩ひもを片方ずつ落とす。
 そのまま脇の下から、ゆっくりとワンピースを下ろしていく。
 くすぐったそうに眉を寄せて体をくねらせる明日香ちゃんが、また可愛いの……。
 ずっとキスをしままで、ワンピースを腰まで下ろして、そこから手を背中の方へと回す。

 明日香ちゃんのなめらかな肌をすべって、指がホックに届く。
 ホックを外して手を離すと、ストラップレスのブラが落ちる。
 それと同時に、そっと唇も離して、明日香ちゃんの顔からゆっくり下へと視線を動かしていく。
 鎖骨の辺りから、なだらかに登って濃い桜色の頂上。そこからお腹の方へは急傾斜。
 真ん丸の弧を描くバストの輪郭線・バージスラインがクッキリ。
 明日香ちゃんのバストって、本当に「豊かな胸」って感じで、私、大好き。

 明日香ちゃんは胸と唇が一挙に解放されて、何だか心細そうな目をして、「…ハァ〜……」って吐息。
 丁度、私は腰を浮かせて首筋に唇を当てようとしてた。
 なのに、その吐息の艶っぽさが耳の奥に響いて、ゾクゾクッてしてカクッて腰が落ちちゃった。
 そのまま胸に顔を埋める感じでチュッて……ふわって柔らかくて、これはこれでいい感じ。
 でも明日香ちゃん、吐息が色っぽすぎだよ。

【焼き銀杏】

「ん……梨華ちゃ…ん……」
 もうさっきまで自分が何を考えてたのかなんて、どっかに行っちゃって、梨華ちゃんのことしか考えられなかった。
 キスを通して、唇から、胸元から、梨華ちゃんがいっぱい私の中に入ってきて、梨華ちゃんの色に染まっていく私。
 もっと…もっと私を染めてほしい。
 他の色がなくなるくらいに……。

 そんなフワフワした頭と視界で、何とか梨華ちゃんの服のボタンを外していって、二人で上半身だけヌードな状態。
 でも、梨華ちゃんが私の胸にキスしてるから、背中しか見えない。
 ズルイ!
 私だって、梨華ちゃんの大きくてキュッと締まった胸が大好きなのに……。
 だから梨華ちゃんの背中に覆い被さるようにして、腕を脇から伸ばして……。

【チャーミー石川】

 急に光がかげったような気がしたら、ふわって胸を包まれて、いきなり乳首をクリクリッてされて……。
「!…っふぅ…ん……」
 声は出たけど、背中から抱きすくめられてるから、ビクッと体を震わせるのが精一杯で……。
「ん…ん…あっ!…ダメ…んぁっ…ダメ〜!!」
 ズルイよ、明日香ちゃん!

 よぉしっ……それっ!
 明日香ちゃんの腰に手を回して、引き寄せながら横倒しに。
「キャッ!」
 寄り添うように寝転がったら、私の目の前には明日香ちゃんの胸。
 私の胸は明日香ちゃんの手よりずっと下。
 一石二鳥とはこのことよね?
「もう! 梨華ちゃ〜ん」
 可愛い声を出してもダメだもん。
 いっぱい愛してあげるんだから。

 明日香ちゃんの桜色の乳首をついばむ。
「ん!!」
 声を飲み込んで、私の肩を両手で押して仰け反ろうとするけど、私も腰に回した腕に力を入れて離さない。
 舌でチロッて舐めると、ツンッて自己主張する乳首が舌先に引っかかって、それが心地いい。

 明日香ちゃんは、私の頭を抱えるようにして身を震わせてるだけ、なんだけど……。
「ふっ…あぁ…ん……あん……」
 …だから明日香ちゃん、声が色っぽ過ぎ。
 その喘ぎに直接神経を愛撫されて……私も濡れちゃってた。

【焼き銀杏】

 最初は温かいって感じた梨華ちゃんの舌の温度そのままに、私の胸の突起も同化して、その動きがゾクッとした快感と直結してた。
 梨華ちゃんの舌に置いて行かれないように、必死で後を追う突起が表面を撫でられて、限界を超えて張り詰めてる。

 私の意思とは無関係にヒクヒクと蠢き始めるその突起も。
「あ…ふぁ…はあっ!…ぃゃん…あふ……」
 止めど無く口からこぼれる喘ぎも。
 濡れた期待に満ちた私の女の子そのものも。
 すべては梨華ちゃんのお気に召すまま。

【チャーミー石川】

 真っ白だった明日香ちゃんの肌が、あっという間に朱に染まってく。
 私の唇が動いて、肌に朱を入れていく。
 「大スキ」って文字を。
 明日香ちゃんも、それに答えてくれてる。
 一生懸命に感じて、声で、体で、「私も好きだよ」って。

 明日香ちゃんの指が髪をすき上げるように私の頭を撫でて、時に走り抜ける快感に耐え兼ねて、ギュッと抱き込む。
 明日香ちゃん…気持ちいい?
 ねえ、気持ちいいでしょ?
 コクコクと可愛く肯くのを見て、自分自身も高ぶりながらもっと下へと手を伸ばした。

【焼き銀杏】

 フワフワと漂ってた。
 梨華ちゃんと自分しかいない世界で、重力さえも無く漂ってた。
 身体の芯がカッカと熱くて、今にも熔けそうだった。
 それなのに、梨華ちゃんの手がおへそを通り過ぎるのを感じて、こめかみに更なる熱が走って……。

 ショーツの中を指が這い寄って来るころには、快楽を求める花の蕾は開ききってた。
 梨華ちゃんの指は、「早く遊んで」と顔を出す小さな子の頭を軽く撫でてあしらって……。
 更に指が進んだ時に、私に落雷が直撃。
 二人の世界に崩壊が起きた。

【チャーミー石川】

 息を詰めてそこに触ろうとしたら、明日香ちゃんがすごい勢いで仰け反った。
 それは快感によるものじゃなくって。
「ぐっ……ごめん…痛いの…梨華ちゃん……痛い……」
 私から逃れるように転がって、丸くなって震えてた。

「あ…明日香ちゃん……どうしたの? 痛いって……」
 首を振るだけの明日香ちゃんだったけど、押さえる手が痛みの場所を示してた。
「何で?……私?…痛くした?」
 明日香ちゃんは、やっぱりふるふると首を振るばかりで……痛みに耐えてるその姿を見ただけで、揺れる涙で目が曇っていった。

【焼き銀杏】

 ジンジンと鈍痛を訴えるそこが、ヒクヒクと引きつるように震えてる。
 昨夜、吉澤の前で同じように手で押さえて丸くなってた自分を嫌でも思い出す。
 惨めだった。
 何だか吉澤に負けたような気がして……。

【チャーミー石川】

「明日香ちゃん…大丈夫? まだ…痛い?」
 とにかく明日香ちゃんをベッドに寝かせて、でも、枕元でオロオロするばかりで……。
「大丈夫…血とか出てるわけじゃないし……」
 でも…でも…まだ痛そうだよ〜……。

「…明日香ちゃん…痛いのって…よっすぃ〜?」
 どうしても知りたくて聞いちゃった。
 コクンて肯いて、明日香ちゃんはポツポツと話してくれた。
 涙が止まらなかった。

 今朝聞いたときは「よっすぃ〜に襲われた」ってことしか話してくれなかったから、そこまでひどいとは思わなかった。
 濡れてないあそこに、いきなり指を入れるなんて…ひど過ぎる。
 私なんて話を聞いただけで、もう耐えられそうにないよ。

「明日香ちゃん…ごめんね……痛いの知らなかったから……」
 でも、私最低だよね。
 明日香ちゃんの意思も確認しないで、「明日香ちゃんは、私のこと絶対に拒まないから」って……。
 無理やり襲ったのと変わらないよね。

【焼き銀杏】

 泣かないで、梨華ちゃん。
 梨華ちゃんは全然悪くないじゃん。ね?
「そんなこと…ない…やっぱり私は…明日香ちゃんに触れちゃ…いけなかったんだよ」
 ポロポロ涙をこぼして首を振ってる。

「明日香ちゃんが欲しくて……こういうやり方しか…知らなくて……やっぱり私…汚れてる…ね……」
「そんなこと…言わないで……」
 梨華ちゃんの頬に手を伸ばして、涙をせき止めようとして……でも、涙は次々に流れてきて……。
 その姿が私の頭の中で、また吉澤とダブって見えた。

小説「あすりか」(15)へ進む