小説「あすりか」(38)

【焼き銀杏】

 もう…何でこうなっちゃうのぉ!
 ホントに誰かに見られたら……ゾッとするよ。
 なのに…梨華ちゃんの指の動きに、いつも以上に身体が反応しちゃう。

 いつもと違う状況で、実は私も興奮しちゃってるのかなぁ?
 それもあるかもしれない。
 でも、本当はずっと梨華ちゃんを求めてたから。
 無理して我慢してたから。
 理屈をつけて押さえ込んでも、やっぱり私、梨華ちゃんの温かさを直に感じたかったんだよ。

 目からお願い光線を出してる梨華ちゃん。
「……仕方がない…なぁ……」
 そんな言い方で状況を受け入れちゃう。
 私って、結構ずるい。

 それでも梨華ちゃんはパッと嬉しそうな顔になって、
「ありがとう!…だから明日香ちゃん、スキ!」
だって。
 キスまでしてくれて……やっぱり可愛い。
 きっと今の私は、かなりにニヤケてる。
 その間にズボンまで下ろされちゃって…私、相当恥ずかしい格好だね。
 ま…良いか。

 張り切った梨華ちゃんの顔が、胸の方に下がっていって、ちょっと欠けた月が見えた。
 こんなこと、想像したこともないから、何だか頭の中がフワフワッて。何だか…変な感じ。
「…あ…ゃん……」
 梨華ちゃんの唇が乳首ちゃんに触れて、背筋をゾクッて快感が走る。
 右手は、もっと下の方に伸びてきて……優しく愛撫されて、もう何が何だか……。
「ふぁ…ぃ…いぃ……」
 思わず梨華ちゃんの頭に手を伸ばして、押さえるように髪に指をからませる。

【チャーミー石川】

「…いぃ……」
 相変わらず明日香ちゃんの声、艶っぽいね。
 声だけでゾクゾクしながら、手を下の方に伸ばして花びらに触ったら……蜜が指にからんできた。
 明日香ちゃん…すごい……。
 いっぱい、いっぱい感じちゃってるね。

 乳首ちゃんも、こんなに固くなってるよ。
 ホラッて感じで、前歯で軽く甘噛みする。
「…!…くぅん……」
 明日香ちゃんが、子犬みたいに啼いた……。
 初めて聞いたよ……何か…お腹の奥の方が、カッて熱くなってきたよ。

 チラッて見上げたら、明日香ちゃん、ウットリした顔で月を見上げてた。
 綺麗……。
 ブランコに揺られてた時みたいな、キリッてしてる表情も良いけど、今みたいな力の抜けた柔らかい明日香ちゃんも…スキだな〜……。

 そんな明日香ちゃんの顔を見ながら、中の方にゆっくり指を進める。
「ん…ぅん……はぁ〜……」
 吐息交じりの明日香ちゃんの声。
 その度に喉が動いて……見詰める私も…濡れて来ちゃった。

「あ…はぁん…あ、明日香…ちゃん?!」
 顔の方に気を取られたたら、急に明日香ちゃんの手がパジャマの中に入って来てた。
 あ…すごい……気持ちいいよ〜。
 明日香ちゃんの胸に顔を押し付けるように悶えて……それでも乳首ちゃんにキスして……クラクラするくらい、明日香ちゃんを感じてた。

【焼き銀杏】

 次々に襲ってくる快感の波に、もう全身が震えてる。

 泣きそうなほど、気持ちよくて……。
 泣きそうなほど、一体感があって……。
 泣きそうなほど、幸せだった。

 梨華ちゃんの指を中に感じながら、懸命に自分の指を動かす、不思議な密着感を味わう。
 何か大切な物を探すような梨華ちゃんの優しい指の動きと、それを包み込もうとする私自身。
 それに負けじと、私も梨華ちゃんの花びらの中に分け入って……。
 それぞれ最初は別々の物で、次第に一体になっていく。

 私の梨華ちゃんへの思い――。
 梨華ちゃんの私への思い――。
 そして…それが完全に溶け合う時…もうすぐ…今!
 思いが弾けて……急速に月が落ちてきた。

「…梨華ちゃん…もう…駄目ぇ!」
「私も……明日香…ちゃん……」
 仰け反るように悶えてる私に覆い被さるように、梨華ちゃんも崩れて来た。
 後はもう二人とも荒く息をつくだけで……。
 私は、梨華ちゃんの向こうに見える夜空に視線を彷徨わせてた。

 私の潤んだ目には、月が幾つにも見えるよ。
 それも、何だか薄く桜色に染まった月。
 月も私たちのこと覗いて、恥ずかしがってるのかな?
 ……Hな月だね。

【チャーミー石川】

 明日香ちゃん、しばらくしてもボ〜ッとしたまま。
 こんなに感じた明日香ちゃん、初めてだね。
 私も…何だか、とっても嬉しいよ。

 何も言わないでパジャマを着せてあげて、フラフラしてる明日香ちゃんを抱えるようにして、明日香ちゃん家に帰る。
 一緒にシャワーを浴びて……夜風で冷えた身体を温める。
 そのくらいになると、だんだん明日香ちゃんの意識もハッキリしてきたみたい。

 ポツッと一言。
「恥ずかしいよ……」
だって。
 やっぱり明日香ちゃんは照れ屋さん。
「すごい可愛かったよ?」
「……ありがとう…」

 部屋に戻ると、ごっちんはグッスリ寝てた。
 ごっちんの知らない、明日香ちゃんと私の夜。
 あらためてドキドキするね。

 明日香ちゃんを振り返ったら、丁度視線がぶつかった。
 どちらからともなく、ニコッて笑って……。
 どちらからともなく、手をつないでた。
 そのまま一緒の布団にくるまって、身体を寄せて互いの体温を求め合った。

 温かい……。
 すぐに眠気が襲ってきて、今度こそ二人を夢の世界へ誘ってくれた。
 きっと一緒の夢を見る。
 そうだよね?…明日香ちゃん……。

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