1. side : natsumi
2. side : asuka
3. epilogue

「ねえ、なっち。今日はこの後時間あるの?」
「うーんとね…、明日札幌でコンサートやるから朝イチの飛行機に乗ることになってるけど、今日はもう何もないよ」
「えっ! 当日入りなの?」
「…うん。今日のライブもあったし、他にもラジオとか録ってるメンバーもいるから」
「…今日は家に帰る?」
「ううん。今日はこの近くのホテルにみんな泊まることになってるよ。
 羽田からも近いし」
「じゃあさ、ちょっと時間とかとれない?
 話したいこととかいっぱいあるし、どこかで食事でも…」
無理をかけそうだから、遠慮がちに聞いてみた。
でも、なっちの顔がぱあっと明るくなる。
「うん。行こ。行こ。どこ行こっか?」
楽しそうにわたしの手をとってきた。

帰り際にきくちさんに二人して御挨拶。
「きくちさん、わたしまた歌おうと思います。
 『歌う』ってことがなんなのか、今日改めて分かったから…
 わたし見事にきくちさんの餌に釣られました。
 完璧にやられました。
 今日は和田さん、来てないんですか?
 どうせ和田さんたちと考えたんですよね?」
きくちさんは返事をせず、ただニヤッて笑う。

なっちはそのことを理解しているのかしていないのか
「いつかまた二人で番組に呼んでくださいね」
なんて話してる。

なっちがマネージャーさんたちに事情を話してからフジテレビの外に出ると
もう外は真っ暗で、お台場の街の明かりがきれいに浮かび上がっている。
しばらく街の景色を見ていたなっち。
「そうだ!明日香! あの場所行ってみようよ」
なっちの言葉にピーンときた。
「うん、行こう。行ってみよう! カップルだらけかもしれないけど」
「いいの。わたしたちもカップル装っていけばいいっしょ?」
そう言ってわたしの腕に手を回してくる。
あのー…安倍さん…わたしたちじゃカップルに見えないと思うんですけど…
心の中で冷静につっこむわたし…

人通りの多いメディアージュやジョイポリスのあたりを人目を避けながらしばらく歩いていくと、レインボーブリッジや東京タワーが見えてくる。
突然なっちがわたしの腕から離れて走り出した。
ある場所に立ち止まるとわたしの方を振り返って笑顔で叫んだ。

「ねえー、福ちゃん!! 覚えてる? この場所だよねー?」

わたしも笑い返して、
「そう。そこだよ、そこー!!」
と叫び返す。

忘れもしない、チェックのミニスカートを履かされてぶっとい足をさらけだして、
北風が吹きすさぶなか長時間立たされ続けたその場所は…
…そう、間違いなくモーニングコーヒーのPVを撮った場所だ。

なっちの横に立ちわたしもぐるーっと見回す。
もうすぐ5月とはいえ、やっぱりこの場所は肌寒い。
なっちの手がわたしの手を求めて近付いてくる。
わたしはなっちの手をそっと握り返す…

ここからの再スタート、悪くないね。
ここから再スタートしたこと絶対忘れないからね。


なっちと二人で今日ここに立ったこと絶対に忘れないからね。






                   〜 おしまい 〜







参考資料 「FACTORY #0088」02.04.19
     「FACTORY #0093」02.06.08
     「市井紗耶香with中澤裕子 FOLK DAYS」01.12.10
     「LOVE LOVEあいしてる」98.09.12放送
     「LOVE LOVEあいしてる賀正SP」99.01.03放送
     「平家みちよのSOUND PLANET」02.06.21放送
     GIRL POP FACTORY BBS
     加藤いづみOfficial Homepage
     Steve Eto's web-page
     「映像ザ・モーニング娘。ベスト10」
     その他のモーニング娘。の楽曲、出演番組等は割愛します。



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