みすはの恐ッ

夏の夜


あれは中学生の夏休みのときだった。

父と母はお盆休みを利用して田舎に帰り,

兄は二泊三日の旅行に出かけて行った。

そして,僕は家に一人残された。

以前から家族がみんな出払う事がわかっていたので,

友人Kと僕の家に泊まることを約束した。

大したことでもない話したり,

ゲームしたり,

遊びに出かけたりとそれなりに楽しんだ。

刻一刻と時間が過ぎ,

帰宅した時には真夜中で,辺りは真っ暗だった。

僕の部屋に入った途端に

突然Kが「稲○○二の本当にあった恐い話」を見ようと提案し、

チャンネルを回した。

始まった時にはKは頭から布団をかぶって,TVを凝視していた。

(そんなに恐いのなら見ない方がいいのに)と思ったが,

やはり自分も頭から布団をかぶっていた。

番組が終わった途端,Kがいきなり僕の方に振り向いて,

「今,俺の名前呼ばなかった?」

もちろん呼んだ覚えはないので否定した。

しかし、Kはいぶかしげな顔をして,「本当に呼ばなかったのか?」と首を傾げた。

僕はKの冗談で言っているのではないかと思って,

気のせいだという事にした。

Kはまだ納得いかないようだったが,

「もう寝よう」という事でTVを消し,

頭をTVとは逆の方になるようにして横になった。

最初はさっきの恐い話が頭から離れず,なかなか眠る事が出来なかった。

Kも同様で布団の中でもぞもぞしていた。

しかしそれも時間が解決してくれた。

僕は深い眠りにつこうとしていた。

 『カチッ』・・・・・・『ザザァァァァ・・・』

突然TVをつける音が聞こえ,

もう放送もやっていない歯切れの悪い音も聞こえてきた。

はじめはKかと思っていたが,どうも様子がおかしい。

Kはちゃんと側にいて,深い眠りについているようだった。

(だったら、TVをつけているのは誰なんだ?)

そう思っていても,TVはまだ鳴り続ける。 

『カチッ』・・『ブンッ』

『カチッ』・・・・・・『ザザァァァァ・・・』

突然TVを消し,またつける音が聞こえてきた。

恐怖のあまり,その場を動く事が出来ずじっとしているしかなかった。

そうしてる間にも聞こえてくる。

『カチッ』・・『ブンッ』

 『カチッ』・・・・・・『ザザァァァァ・・・』

 『カチッ』・・『ブンッ』

 『カチッ』・・・・・・『ザザァァァァ・・・』

『カチッ』

『カチッ』

『カチッ』

『カチッ』

『カチッ』

だんだんリズムが速くなり,

それと共に僕の恐怖心も増幅される。

『ブンッ』

と、突然TVの画像が消えたきり,もう音がしなくなった。

音がやみ、しばらくして,破裂しそうだった恐怖心も少しずつおさまってきた。

取り戻した安心感からつい、Kのほうを見た。

Kは天井を見て,笑っていた。