020 没頭 「ふむふむ……あー、ここで繋がるのかぁ」 読み返すこと13度目。その度に発見があるから止められない。 没頭したのはコレで幾つ目かな。って、数えるのも面倒な数なのは間違いないか。 読み終わった分厚い北欧神話の本を閉じてベッドの脇に置く。 「ってわわ!」 ああ、しまった!近くに前に嵌った心理学の本、積んであったの忘れてた! 気付いた時には積んであった本は無残なまでに散らばって、それが隣に積んであった本を崩し――― 「あ、あぁ……」 結果、部屋が大惨事に……あーあ、また片付けだぁ……。 「まあ、丁度いいかなぁ。量も量だったし……でも」 面倒だ〜……ん? 「そういえば……ああ!」 そうよ、そうじゃない!そろそろあいつらがウチに遊びに来る頃!丁度いいわ! 「……兄弟を片付け手伝いに呼ぶなっつーに」 「まあまあ、未央お姉ちゃんがお片づけとか苦手なのはお兄ちゃんも知ってるでしょ?」 「そこ。さりげなーくお姉さまの悪口を言うんじゃないわッ!」 抱き締め+脇擽り!こーれ沙希は苦手なのよね。 「あ、ちょっとやめ、あはははは!ひゃ、やめひぇ!!」 「ほーらほらほらほらほらほっ!?」 いきなり脳天が痛い! 「なにすんのよぉ!」 「片付けしろよ駄目姉」 昨日読んでた神話本の角で叩きやがったわねコイツ……! 「後で締めるわよ」 「例え3歳年上の姉でも、日々をだらけている女にゃ負けん」 こんの弟は……妹と違って可愛くないわね。 「あ、ちゃんとジャンルごとに分けてまとめてよね。そっちの方のは全部、箱に積めちゃって。赤いラベル貼ってある奴以外」 「貼ってあるのは?」 「一番情報量が多い本よ。暇あったら読むわ」 「箱に積めたのは、大学にでも譲るのか?」 「その通り。運が良ければ、多少の小遣い稼ぎになるわ。フリマもあるしね」 欲しい本もまだあるし、我ながら良く溜められるわよねぇ。 「いい加減、少しは抑えたほうがいいんじゃないか?」 「そーだよぉ。バイト詰め込んだり食費削ったり、体に悪いよぉ」 そう言われても、私の探究心は抑えられないのよ。自分でも呆れるほどだけど、やっていて価値はあるから止めないわ。 「ああ、そうだ。前に渡した心理学の本、どうだった?」 「あー……とりあえず、追い込まれたときとかの心理状況は参考になったかな。あと場の空気読むのにも使える」 「おおー、アンタらしい。実用的なとこだけ頭に入れたわね」 姉の私が言うのもなんだけど、こいつは将来かなり出来るやつになるわね。 無駄な部分を的確に見抜く力、それを覚えこむ力。社会に出たらとりあえずいい方向には進んでいける。 姉としては自分の趣味が少しでも役に立ってくれれば、それでいいかな。 「……おーい、コレ何」 「ん?それは……!あー!!」 「うおっ!?」 そ、それは!無くしたと思ってた、ネットオークションで落としたもう製本されてない激レア本!よかった家にあったんだ! 「どーやら無くしてたと思ってたみたいだねー……」 「滅茶苦茶わかりやすいリアクションだよな。お前と同じで」 「ちょっと片付けやってて!気になるとこがあるのよねぇ……」 ふむふむ……あー、そうか!あそこの件はこういう事だったのね。成る程成る程。それでここに繋がる、と。 「あ、あのー……お姉ちゃん?」 「へぇー、ここ繋がってんのね。ちょっと予想つかなかったわ……」 これなら気になってたあれもわかるかも。これは暫く読み込みね。 「あーあー……出たよ、再発」 「こうなるとも、もう完全に世界から抜けちゃうからねぇ」 「あ、こういう理屈だったんだ。成る程〜……」 流石、激レア。品質も高ランクね。 「いっそ箱に積めるか?」 「それは止めた方がいいと思うなぁ……」 「ああ、さっきの理屈はこっちでも使えるのかぁ……」 やっば、これまた調べなおさなきゃ。 「全く……これで二週間もすりゃ飽きるから、困ったもんだよな」 「熱しやすく冷めやすいけど、再発もしやすいからね」 「まさに気まぐれと探究心の塊……」 「……あ、ご飯食べなきゃ」 空腹は勉強の敵だからね。しっかりたべなきゃっ!? 「いったぁ!」 「せめて粗方片付けてから食え」 「あんた、何度も姉に向ってこれは……!!」 しかも同じ所にやったわよね?かなり痛んだけど!? 「そういう台詞は弟妹より片付け頑張ってから言ってくれ」 ぬぐっくく……ほんっとうにこいつはぁ! 「可愛げがない奴ね!」 「のわっ!ちょ、いででてぇ!」 久々にオシオキよ。たまには上下関係って門を叩き込んでやないとね〜? 「い、いつの間に関節なんか覚えたんだよ!?」 「言わなくてもわかるでしょ〜?」 二週間も技本読み込めば、素人相手に簡単な関節技くらいかけられるわよ〜ん♪