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 028 向こうからみたこっち
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 先日、愛猫が死んだ。

 暫くから慢性的に病気をわずらってはいたが、
 真坂こうも唐突に終わりが訪れるとは思わなかった。

 朝、死体を見つけた弟が「猫、死んでる」といって、私を呼びにきた。

 猫は、窓辺で口を開けっ放しにした状態で寝ていた。
 まぁ死んでいたのだが、まるでまだ寝ているように見えた。
 あれほど可愛がった猫が目の前で無様に死んでいるにも関わらず、
 私は涙は微塵も出なかった。震えすらなかっただろう。

 体は、なんかぐにぐにしていた。

 生き物の、死。
 私は多分、身近なものの死という物を、今回始めて体験した。
 お婆ちゃんは病院で亡くなって、そのまま火葬されてしまったし、
 お爺ちゃんなんて、顔すら思い出せない。

 正確には、身近なものの死体か。

 猫はその日のうちに裏山へ上る道の途中に埋めることになった。
 ダンボールの中に、買ってあげた専用ベッドを入れて、静かに封をする。
 暫くそのダンボールをぼーっと見ていると、穴を掘っていた父がダンボールを持っていった。

 十分に深く掘られた穴に、猫を入れたダンボールが入っていく。
 その様はとてもゆっくりに感じられた。

 ダンボールは丁度収まると、その上から土が被せられる。
 やがて見えなくなると、申し訳程度に線香を3本立てた。


 ねえ、と。
 心の中で猫に話しかける。

ねぇ、幸せだった?

 病気になってから、触るのを嫌がったりとか。
 あんまり撫でてやれなかったりとか。そういうことだってあった。

それでも。

 毎日苦しくって、辛くって。
 そんな地獄みたいな経験しても。

貴方は幸せだった?

 猫の世界からの視点はわからないけど。
 そっちから、向こうから見たら。


私たちは、貴方を幸せに出来ましたか?


 私はそう問いかけていた。





あとがき

はい意味不明ですねー。
まぁ実体験を元にしました、A'sです。
意外と涙って出てこないもんです。薄情っすね。
逝った人に出来るのは、泣いてやることだけってどっかでいってたけど、
それすらやってあげられないのに、お前幸せだったか?と。

次に生まれてくるときは、可愛がってもらえる環境に産まれろよ、ケンタ。