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050:日常


 汚れた世界にあるチッポケなハズレ島に彼等はいる。


「……弱い」

 薄汚れた金髪の少女クラウドはそう言って自慢の爪でかつて動いていた者の肉を取り、食べ始める。罪悪感は無い。

「怖いわねぇ。さすがはクラウド、あたし等の中で一番野生に忠実って奴かしら」
「ハルカ、それは違います。クラウドは私とハルカと違い、食料が必要です」

 茶色の髪と灰色のコートを身に着けた少女ハルカと黒い長髪と黒いドレスを身に着けた少女セイナはヒトでない。だから食べない。

「お前等が特殊なだけだろ。俺なんか相当悲惨だぞ」
「それを言うなら僕もですよ。まぁ、物理的損害が無いだけマシですけど」

 半分機械の少年ユウトと半透明の少年ヒカルが少女達の言葉に対してため息をつく。

「クラウドォー!! ちょっ、わいの肉も残しておけぇー!!」

 クラウドと同じ金髪の少年カリヤが大慌てで肉を取ろうとしたらクラウドに爪で引っかかれた。

「いでっ! ちょっ、ヒトの顔爪でひっかくなぁ!!」
「これ、クラウドの肉。カリヤ、自分で取れ」

 警戒態勢になりながらも肉を咥えているクラウドに対し、カリヤは半泣きで酷いと抗議するけれど呆れたハルカは大げさにため息をつく。

「いい加減弱肉強食を覚えなさいよ、カリヤ」
「弱肉強食の意味、教えましょうか?」
「教えんでえぇわい!! お前等はメシ食わんでえぇからそんな事言えるんやろうがぁ!!」
「ハルカ、私のエネルギーの買出しに行ってくれませんか?」
「あっ、そろそろやばい?」
「はい」
「お前等、ヒトの話聞けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 ハルカとセイナの会話に対してカリヤのツッコミが島に響き渡るかのように大声で響く中、クラウドは表情を歪ませて不機嫌そうに呟く。

「……うるさい」
「何時もの事だろ、クラウド。まっ、確かにうるせぇけどよ」
「そろそろカリヤさん、ハルカさんに殴られるんじゃないんですか?」

 ユウトが大げさに耳を両手で防ぎながらクラウドに言い、ヒカルは何時ものパターンからこの後起こりそうな事を考えて尋ねると同時に鈍い音が聞こえた。

 バギッ

「グハッ」

 ハルカの右ストレートが見事カリヤの顔面激突。ヒカルの予報が当たった。





 昔々のお話、ヒトはとても身勝手に自分が楽しく生きられる道を選んでいきました。
 ロボットやサイボーグ技術など発展していきましたが、不思議な病気には勝てませんでした。
 それはヒトとモノが融合してバケモノになる病気、ヒトに治す手立てはありませんでした。
 あっという間にヒトは減っていき、ヒトでないものがたくさん生きていくようになった。
 やがて世界は昔の楽しい世界ではなくなり、とてもとても汚れた世界になってしまいました。
 そう、これは彼等のご先祖様のお話。今の彼等にとってはこの世界は当たり前の世界なのです。
 汚れた世界の中で彼等は彼らの日常を過ごしていきます。