明治27年(1894年)、朝鮮で農民による反乱が起こった。 既に清国が出兵していると聞かされている。今鎮圧に向かえば、戦争が起こるのは明らかだった。 そしてその手紙が来た時、母さんは泣いていた。死にに行ってはならないと。そして地獄に落ちるだろうと。 でも私は言った。 「少しでも、罪無き日本の人々を救えるのなら構いません。命を失っても、地獄へと落ちても」 そして家を出て行ったのだ。 命は惜しくない。全ては人々のため、国のため。もう決めていたのだから。 この日記に記す事も、これで最後になるだろう。 この日記の存在を忘れていたよ。あの戦争が終わって、長い時が流れている。 ・・・・・とても嬉しかったが、日記を書くのもこれで最後とする。 なぜなら。私は今、死にたいからだ。理由も、今記す。遺書として・・・・・受け止めて欲しい。 今現在、日本全体がロシアとの好戦的な雰囲気に包まれている。 私は、なぜ、また戦争を起こそうとしているのか。分からない。 殆どの日本国民は知らないのだ。 あの地獄のような、血と、腐った死体の匂い。 あの地獄のような、鉄砲と、人が死んでいくの音。 あの地獄のような、腐りきった食料の味。 あの地獄のような、病となり、苦しみながら死んでいく様。 ――――――私は、この時はっきり気づかされた。 この世界自体が。私が今いる世界こそが。 あの地獄を求める、この世界こそが。 真の地獄だったのだ。