ウサギの絶望〜舞ショック!


どきどき。
どきどきどき。

芝村の末姫は、努めて冷静になろうとしていた。
ふとカダヤ兼パートナーである速水厚志に『らぶれたあ』を叩き付け、 屋上で待ち、そして告白するまでの緊張が脳裏をよぎった。
そして、その緊張をはるかに上回る今の私の、この状態。
自身にいいきかせる。
(準備万端。用意も整った。あとは決行するのみ。
…大丈夫だ、上手くいかぬ筈がない。
なぜなら芝村の辞書に「失敗」の二文字は無いのだからな!)

―目標確認、距離3000。作戦開始!

刹那、ブータの悲鳴が周囲に響き渡る。
「ンニャアアア!!(こら娘!いきなり何をするか!!)」

もがく大猫を地面に押さえつけ、舞は必死の形相で猫の足を掴むと 一気に左前足の先―肉球に触れる。

伸ばした指先の感触は、
がさっ。

……か、堅いっ!!?
肉球ぷにぷにが夢(しかも十年越し)であったと云うのに!なんたるざまか!

ギャーギャー唸り、抗議を続けるブータの鳴き声も、愕然とする 舞の耳には届かない。

その光景を見て、駆け寄ってきた新井木が口を開く。
「柔らかい肉球触りたいなら、子猫か室内飼いの猫じゃないとダメなの。
 ブータなんて色んなトコ歩き回ってるからガチガチでしょ?
 こんなのジョーシキじゃん」
何でもないことのように軽く言い放つ新井木。
舞はその背後に、神々しく輝く精霊光をみた…ような気がした、と 後に語っている。

ともあれ、舞の次なるターゲットは決まった。
目指すは我がカダヤ宅。
―――ふわふわのぷにぷによ、私がそなたの元に行くまで待つがよいぞ!

こうしてウサギは絶望とひきかえに、新たな希望を見い出したのでありました。


うちの猫神さまをブラッシングしているときにアイディアが浮かびました。
ブータの肉球は絶対にガチガチです。ていうか断言します。猫好きとして。
ラストの舞台詞は芝村というよりアーヴの姫様ですね。

おまけに戻る