主様?

ええと・・・。

開運、というのは、こうして導き出すものなのですか??  

† ストレンジウィッシュ †

 

 僕は何時ものように、床磨きをしていた。

燕尾服が駄目になってしまわぬよう、重心は完全に雑巾に任せて。

・・・主様は、僕のパートナーを抱えたまま。

「・・・ふむ。まあまあですね」

何処かのアンティークショップで手に入れたらしい、タロットカード。主様は、卜占に夢中になっておいでなのだ。

趣味はとても宜しいのだが、何故片手でしっかりとめばえちゃんを・・・"いじって"いるのだろう。

床を磨く手に、少し力を込めた。

主様の、カードを混ぜる音が聞こえる。忘れるよう、懸命に仕事に励んだ。

「・・・めばえ、次はアナタを占って差し上げますよ」

にっこりと、僕には見せたこともないような顔で微笑まれるジズ様。

僕は、名前を呼ばれたことも相俟って、想わず上体を起こしてしまう。

「ほ、ほっ、本当ですか!ジズ様!!」

僕が云い終わったか終わらないかのタイミングで、視界に火花が飛び散った。

「がふっっ」

・・・蹴られた。

想いきり、容赦なく、左頬を、抉るように。

痛みで床に崩れ、僕は悶えた。正直、こんな冷静に状況を解説している場合ではないほど、痛い。

「おまえはめばえじゃないでしょう、めば夫でしょう?」

さらりと、冗談のようなことをおっしゃって、主様は僕を見下した。うう、僕、何かいけないこと・・・したのかな・・・

肩の力と、息を抜くと、主様は席にお戻りになられたようだった。

煙管をふかしながら、隣にめばえちゃんを座らせ、またカードを寄せ始める。

主様は、基本的な手法で進めていかれた。其れが一番、解り易いのだろう。

僕も此れ以上もがいていても怒られるだけだ。何とか仕事に戻ろう。

「・・・おや?」

丁寧に報告を続けていらっしゃるジズ様であったが、唐突に声をあげられた。

「此れは・・・いけませんねえ」

其の言い回しは・・・、僕には、とても芝居がかって見えた。

「何でしょうか??」

だが、疑うことを知らないめばえちゃんは、素直に尋ねる。

・・・僕は、猛烈に、痛烈に・・・厭な予感がするのだが。

「最近になって急に、運気が下降気味なようですよ」

主様がカードのひとつを指先で叩かれた。其れを覗き込むめばえちゃん。

「此れはまずいことです。・・・私が、改善して差し上げましょう」

笑う、というよりは、嗤う、といった表情だった。

めばえちゃんには欲望を、僕に対しては嘲りを、こめていらっしゃった。

然しめばえちゃんは気づかない。

だって・・・彼女は、主様が云うことが、総てなのだから。

「・・・本当ですか・・・?わたくし、良くなりますか??」

眉をハの字にして歪めるめばえちゃん。困ったような表情も、可愛い。

だけれど、其れは、主様に拍車をかける。

「ええ・・・では参りましょう」

主様はマントを翻すと、忽然と居なくなられていた。

・・・僕が止める間もなく。

 

 わたくしが瞬きをした次の瞬間にはもう、主様のお部屋に居りました。

無論、主様はわたくしを抱いて居てくださいます。

優しく腰を撫でてくださる手は、とても・・・暖かく感じます。

「めばえ。アナタの運気を上げるには・・・診断結果の示したものに関係の強いものを身につけるのが、宜しいようですよ」

そういって、カードを捲られる主様。わたくしの為に・・・、そう想うと、胸が熱くなりました。

主様が、腕利きの職人にオーダーメイドしたサイドテーブルへと、カードを並べられました。

「そうですね・・・月、のカードが出ましたから・・・月に関連の深いものとしましょう。捜すの、手伝いますよ」

とてもお優しい笑顔の主様。わたくしは迷わず、大きく頷きました。

「有難う御座います」

月。そう考えると少し、難しい気も致しました。

何故なら、わたくしはあまり、ロゴだとかワッペンだとかが入っているものは、あまり着用しないからです。

なので必然的にシンプルなものばかりとなり、月、というものに関連のあるものは、難しくなります。

「では・・・此れなど如何です?」

乳白色のボタンが鏤められた、可愛らしいフリルの服でした。襟元は少し開き気味かなとも想いましたが、お洒落なデザインです。肩の部分は主様の其れとお揃いの堤燈長袖で、ベルベッドにシルクを合わせたとても肌触りの良いものでした。

エプロンは腰に巻くタイプのもので、黒のロングスカートに真っ白なペチコートが映え、とても『着てみたい』という気持ちにさせます。

「此のボタンは『月見石』と云いましてね。月の光を何十年と浴びた、神秘の石なのですよ」

其れだけ貴重なものを、態々、ボタンなどという使い方をしている、ということに驚きました。たしかにボタンは大切なアクセントだとは想いますが、さぞ高価であろう其れを使う、というのが、わたくしには信じられなかったのです。

「此のようなもの・・・、わたくしなどが召しても宜しいのですか??」

主様の顔色を窺いました。すると不思議そうな眼で、わたくしを見下ろします。

「何故です?アナタの為に準備したのですよ??」

はっとなって、わたくしは自分の愚かな発言に気づきました。

ジズ様は、わたくしの為に、お探しになってくださったのに。

「もっ、申し訳御座いません!」

大きく腰を折り曲げ、心からの謝罪を申し上げました。そしてわたくしは、己の浅はかな言動を悔やみました。

ですが、主様は飽く迄、とてもお優しい顔をなさっておいでなのです。

ゆっくりと、口を開かれました。

「謝ることなどありませんよ、めばえ。さあ、此れに着替えてごらんなさい。きっと何か変わるでしょう」

とても親切な其の態度に、わたくしはまた、夢中になってしまいます。主様は、本当にわたくしめを操るのがお上手だと想いました。

お洋服を受け取り、ベッドの傍で着替えようかと考えたわたくしでしたが、主様に、不意に肩を掴まれました。

「何処へいくのです。其処で着替えなさい」

突然、冷たい口調になられました。戸惑いますが、ご機嫌を此れ以上損ねぬよう、素直に従います。

「し、失礼致します・・・」

脇のボタンをはずし、ワンピースをたくし上げました。下着だけの姿になるのは此れがはじめてでは御座いませんが、自分の着替えをご覧になっていただくのは、少々鼓動が早まってしまいます・・・。

主様の視線を感じる所為か、其れともわたくし自身の中にある『何か』の所為か、何時ものようにするすると服が脱げません。やっとのことでワンピースを脱ぎ去ると、真っ直ぐにわたくしを見つめてくださる主様と目が合ってしまいました。

「綺麗ですよ、めばえ。さあ、また違う美しさを見せておくれ」

そうおっしゃってくださると、わたくしも、恥ずかしながら、此方のお洋服を着させていただこうと想えました。主様が、ご満足いただけるかはわかりませんが、わたくしは、其の願いに答えることしかできませんので・・・。

先ずはペチコートをはき、ふんわりと仕上がるように手で調節しました。

次にベルベットのワンピースです。黒く艶のある生地は、とても柔らかく、着心地も最高でした。襟にきちんとリボンを巻きます。

最後に頭にヘッドドレスを、腰にはエプロンを結びつけました。

フリルが其々ついていて、何だか、身が更に軽くなった気分です。

「とても似合っていますよ」

月見石のボタンを留め終え、主様の前に跪きます。手は主従を誓う意味で前に揃え、見上げました。

「有難う御座います・・・」

「・・・めばえ。此方へ」

膝の上へ促され、わたくしは失礼して主様に体重を預けました。ふわりと、締めつけないようにわたくしの躰を抱いてくださいます。お答えするように、鎖骨の辺りへ頭を乗せていただきました。

「・・・可愛らしい・・・めばえ・・・とても、宜しい・・・」

くすくすと笑う声が、耳元で致しました。あぁ・・・融けてしまいそう・・・

かと想うと、今度は其の耳朶を、口に含まれました。想わず、霰も無い声を上げてしまいます。

「ぁっ!じ、ジズ様・・・っ」

眼を固く閉じれば閉じるほど、其の独特の感覚に悶えてしまいました。嗚呼、主様・・・。

耳への愛撫を続けたまま、主様はわたくしを其の侭抱き上げ、ベッドへと移動しました。

 

 ジズは、少々乱暴にめばえを扱った。

ふかふかの布団の上に、彼女をダイブさせる。短い悲鳴を上げ、彼女は愛撫されていた耳元を必死に抑え、小刻みに震えていた。

「めばえ。今日は・・・少々・・・荒くなりますよ・・・」

めばえの髪を掴み―――飽く迄、優しく―――、自身の怒張を突きつける。

「あ・・・っ」

いきり立った其れは、めばえにとって、とても妖しい魅力を秘めた、魔の存在だった。

「・・・あ・・・・・・あん・・・」

そっとファスナーを引き下ろすと、其れは、本来の姿を現す。先端からは既に液体が滲んでおり、めばえを求めていた。

メイド服の彼女を見て、ジズ自身はとても正直な反応を示したようだった。もっと辱めたい、もっと貶めてやりたい―――

「んぅ、ん、んむ・・・」

顎が外れるのでは、と想うほど、大きく口を開くめばえ。そして其処をみっともなくなるほど広げる、ジズの一物。

雁首に唾液を激しく絡め、吸いたてる。めばえはくちゅくちゅと甘い音をたて、アイスキャンディーを愉しむように、奉仕した。

「もっとでしょう」

先端だけを如何にか飲み込んでいためばえの頭を、想いきり押し込んだ。一気に咽喉の奥までを支配される感触に、翻弄される。

スマートではないやり方、と想いながらも、また此れも一興であろうと、ジズは瞼を閉じた。腰をゆっくり沈めたり離したりを繰り返しながら、めばえを追い詰める。

「ほら、きちんと飲み干してくださいね・・・!」

言葉で辱めながら、容赦なくめばえへと欲望を吐き出す。粘つく液体は、直接咽喉の粘膜を撃った。

「ぅふ、っく、ううっ・・・!!」

命じられたように、飲み干そうとした。然しジズが、戯れと云わんばかりに腰を振るため、口の端から溢れてしまう。

ボタンと同じ色の液体は、めばえの顎を伝い、襟へと落ちた。

「・・・ふ・・・っぅ・・・ん・・・」

肉棒を掴んだまま、滴る体液を舐めとる。指に絡めとる様は、芸術品のように美しく、欲望に濡れていた。

「めばえ、いけませんね・・・今日は厳しく、躾ますよ」

蕩けきっためばえの意識を、一気に戻す発言。まるで冷水をかけられたように我にかえり、ジズの様子を窺う。

そんな彼女に一瞥をくれ、ジズは壁にかかっていた鞭をとった。

そして其の侭窓を開き、何事か囁く。短い声。呪文、らしい。

次の瞬間、一気に窓から何かが伸び、めばえの躰を絡めとった。引き寄せ、ジズの部屋の隅で固める。

「ああ・・・っ?!」

あまりの展開に、めばえは現実が飲み込めなかった。もがけばもがくほど、其れは絡んだ。

ジズの呼び出した、催淫植物、だった。

触手が複雑にめばえを縛りつける其の光景は、蜘蛛の巣にかかる憐れな蝶、其のものだ。

「罰を、与えます」

無数の触手が、彼女の躰を這い回る。ぬるぬるした、気色悪い感触が肌を汚した。

「あぁあ、厭ぁ・・・あぁ、あ・・・んぅう?!」

人間の男性器とは明らかに異なるが、其れを彷彿とさせる怪物の『腕』。其れを覆っている繊毛からはジクジクと淫液が吐き出されている。其れは、女を狂わせる、最悪の媚薬だった。

先端が割れ、更に極細の繊毛が現れた。其れはめばえの乳房を伝い、突起から中へと侵入し、何かを吐き出していった。

通常は薄めて使うといわれる其の蜜は、めばえの中で狂い出す。膣や口、直腸にも其れは侵入を果たし、徐々に彼女を追い詰めていった。

「や・・・ぁあ、あああん、あんんぁ!」

ばたばたと手足を揺り動かし、何とか逃れようとする。其のたびに服が肌に擦れ、灼け爛れんばかりの快楽が送られた。

「いけませんね、めばえ」

漸くジズは口を開き、手に持った鞭をぐっと引っ張った。

躊躇うことなど知らぬように、ジズは其れを振り下ろした。

「ひぃいいいっ!!」

突如背中に走った、熱い刺激。痛みに背を反らせば触手が食い込み、触手を避けようとすれば鞭が飛ぶ。

正に地獄のような責め苦だった。

服は避けるよう、触手が持ち上げている。其のため、めばえの背中には、真っ赤な筋が幾条にも出来あがっていた。

然し触手が内側から、其の傷を修復してゆく。何度も訪れる、新鮮な苦痛。

「ひ・・・っ、・・・はぁ・・・っく・・・」

肩で息をするめばえには既に、抵抗する余力など残っていなかった。

涙がはらはらと頬を伝い、全身はだらりと脱力している。

然し飽く迄、めばえは美しかった。落ちぶれたように見えるかも知れないが、気高い凛とした光は失われていなかった。

たとえ泥塗れになったとしても、彼女は、其れをなくすことは無いだろう。

「・・・・・・ふう・・・」

指を鳴らすと、触手は大人しくなり、庭へと戻っていった。場には、小刻みに戦慄き続けるめばえが崩れ、其れを見下すジズが残される。

「・・・めばえ。めばえ」

抱き上げ、ジズは慈しむように見つめた。

汗で張りついた黒髪、其れと同じ漆黒のメイド服。堕落、其の言葉が最も相応しいと想えた。

「・・・良く頑張りましたね。褒美は・・・きちんと差し上げますよ」

ジズは椅子へと腰掛け、抱いたままの彼女のスカートをまくり、白いショーツをずらした。雁首を、ぐちゃぐちゃになった割れ目へと押し当てる。

ぴくん、と反応を示すめばえの躰。抜け殻かのようになっていたが、潤んだ瞳はジズを映し、必死に求めていた。

「・・・ジズ・・・様・・・おね・・・が・・・ぃ・・・しま・・・・・・・・す・・・・・・」

搾り出される声。魂の叫び。本能に熟れた欲求。

「いきますよ・・・」

座位のまま、めばえの中へと侵入を果たすジズ。たわわに揺れる二つの乳房を後ろから掴みあげ、揉みしだいた。

「んっ・・・、」

ず・・・ずっ、ず・・・と、幾度も幾度も犯す。

執拗な口づけを交わしながら、粘膜の絡み合いを愉しんだ。

「いっ、い、いっ、あ、あん、あん、あんっ」

暖かい。めばえの中は、とても。

ジズは抉りながら、中へと白濁液を吐き出しながら、涙を散らす彼女を抱いた。

愛しくて愛しくてたまらない。

たまにはこうして、『抱く口実』を作ってみるのも良いものだと、ほくそ笑んだ。

―――特にあれは使えた

「あぁ・・・っ」

快楽に押し流されながら、ジズの眼は既に未来を見ていた。

昏く、蒼く、然し確実な、永劫という名の未来を。



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ギャグ→エロス→狂気 という流れが非常に良く見られるおはなし♪(爆)
同時に書いているのもグロ系で狂気的なのに・・・!駄目だもう!(笑)
ジズ様の愛は、こういう形でしか表現されないのでしょうか・・・・
甘々を書けないわたくしとしましては、良く解りません(笑)
表現したい世界がそうなのだから、仕方ないですね♪

 

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