あなたは何処に
「大丈夫。必ず帰るよ。」
オスカーがそう言って、アンジェリークとまだ生まれたばかりの二人の子供のヨシュアを置いて星間戦争に狩り出されていったのがまだつい昨日のことのようだった。
もうあれから三年。
ヨシュアももう三歳になった。
戦争に出てからしばらくは頻繁だったオスカーからの手紙も最近は途切れがちで、前もらった手紙はもう三ヶ月も前だった。
オスカーのサクリアが尽きて女王補佐官だったアンジェリークと正式に結婚して二人は、この草原の惑星に下りて幸せな結婚生活をはじめた。
オスカーはやはり軍人気質が抜けないのかこの惑星にきてからも仕事に軍人を選んだ。
別に反対はしないけど出来れば危険なことは避けてほしいと頼むアンジェリークに、女王のサクリアが安定している今なら紛争も起きないよとオスカーは笑っていった。
それなのになぜ?
幸せな結婚生活はたった2年で終わりを告げたのだ。
女王のサクリアに異常があるのかそれとも新しい炎の守護聖が戸惑っているのかアンジェリーク達にはわからないが、二人の住む惑星と隣接する双子星の惑星との間で星間戦争が勃発したのだった。
オスカーは有能な軍人として部隊の指揮を任される立場まで出世していたため部隊を率いて出征しなくてはならなかった。
アンジェリークは生まれたばかりの赤ん坊を抱きしめながら泣いたが、オスカーを押しとどめることは出来なかった。
彼のことはよく理解している。
アンジェリークはオスカーが仕事や部下を放り出せるような男ではないことをよく知っていた。
だから泣く泣くではあったがオスカーの出征を見送ったのだった。
星間戦争は日増しにひどくなりオスカーは徐々に前線へと狩り出されていった。
その間アンジェリークはただただオスカーの無事を祈りながら日増しにオスカーに似てくる息子とひたすらオスカーの帰りを待っていた。
オスカーからは始めは毎日のように手紙が届いた。
だが、ここ最近はオスカーが前線に赴任していることもあってか便りは途切れがちであった。
アンジェリークは毎日毎日、郵便受けにオスカーからの手紙が無いか確かめるのが日課となっていた。「今日はきてるかしら?」
3歳になるヨシュアの手を引いてアンジェリークはいつものように郵便受けへとやってきた。
いつもと変わらぬその古ぼけた郵便受けに手をかけたとき、アンジェリークはなんだか嫌な予感がした。
一度取り出し口に伸ばした指がためらいながら中で止まっている。
だがやはり手紙が気になったアンジェリークは恐る恐る取り出し口を開けてみた。
そこには黒っぽい封筒が一つだけ入っていた。
それをまた恐る恐る取り出したアンジェリークはゆっくりと封を開け中の便箋につづってある言葉を見たときその内容に声を失い、その場で崩れ落ちるように気を失った。『オスカー大佐の部隊は作戦途中敵の爆撃に遭い全滅。オスカー大佐の消息は不明。生存の可能性は絶望的でありますことをご報告いたします。』