12

突然起こった出来事にオスカーは、身をかわすのが精一杯だった。
突如自分を襲った白刃が、頬をかすめる。
熱い痛みが、頬に広がった。
第2撃が、襲ってくる。
今度はオスカーは冷静にその攻撃を避けることが出来た。
そして、その攻撃者の攻撃を止める為に、オスカーは体術で攻撃を加えた。
オスカーの鋭い蹴りが入り、攻撃者は階下へ転落した。

「どうして・・・・どうしてなの、ロザリア!!」

アンジェリークが信じられないものを見るように、今まで自分のために働いてくれたオートマターを見つめた。
ロザリアは先ほどジュリアスを刺したのと同じ爪が変形したナイフをかざして、オスカーにまたしても攻撃を加えようと階段を上ってくる。

「プログラムナンバー02。マスター以外にアンジェリーク様を愛するものをすべて抹殺せよ。」

オートマターのロザリアに痛覚があるはずも無く、オスカーが加えた攻撃は彼女に何一つダメージを与えることはかなわなかった。
そのことを悟ったオスカーは階下に倒れるジュリアスの遺体に刺さる剣を手にするために、階段からその身を空中へと放り出した。
オスカーの体は放物線を描く間にくるりと一回転して、一階の床にしっかりと着地した。
そして、間を置かず剣をジュリアスから引きぬき、ロザリアの攻撃に備える為に構えた。
アリオスはその間、コレットに被害が及ばないようにコレットを抱きしめ、玄関から外へ非難した。
剣を持ったオスカーは、相当な手だれでも倒せないくらいの達人だ。
ロザリアの攻撃をオスカーはことごとく跳ね返しロザリアを追い詰める。

「ロザリア、君は今までもこうしてアンジェリークを愛した男を葬ってきたのか!」

オスカーは攻撃の手を緩めることなくロザリアに問いかけた。

「プログラムを実行することは私の存在意義です。」

ロザリアも鋭い斬撃を繰り出す。
そして、オスカーは確信する。

「ランディも君が・・・・殺したのか。」

その言葉に、アンジェリークばかりか、アリオスもコレットも固まる。

「もちろんです。」

ロザリアの言葉にアンジェリークは叫んだ。

「もういや!いやよ!!」

そして、争う二人の間にアンジェリークは飛びこんだ。
ロザリアの振り下ろしたナイフが、アンジェリークの華奢な背中を切りつけた。

「アンジェリーク!!」

切られた衝撃で、崩れるアンジェリークをオスカーは抱きとめた。
アンジェリークを切りつけたロザリアは、その動きを止め突っ立っていたかと思うと、またあのいつもの無表情のまま呟いた。

「プログラムナンバー01。いかなる者でも、アンジェリーク様に危害を加える者、これを排除せよ。」

次の瞬間、ロザリアは自らの首をそのナイフで、勢いよく切り落としていた。

 

その後、ジュリアスのラボから今まで行方不明となっていた男たちの遺骨がたくさん発見された。
その中にはコレットの兄、ランディの遺骨も含まれていた。
こうして魔女の伝説は、その真実を現し終わりを告げたのだ。
ロザリアに切りつけられたアンジェリークはというと、思ったよりもその傷は浅く、たぶん切りつける寸前にロザリアがためらったのではないかとおもわれた。
コレットは、オスカーのアンジェリークへの思いが深いことを間のあたりにして、彼をこれ以上思ってみてもむなしいだけだと悟り、兄の遺骨を胸にアリオスに守られるように町へと帰って行った。
そして白亜の館にはオスカーとアンジェリークだけが残った。

「オスカー様・・・本当によろしかったのですか。私のような女など捨て置いて行って構わないのです。」

コレットが去った館の門を見つめアンジェリークは呟く。
そんな彼女の細い肩をオスカーは力強く抱き寄せた。

「俺は君を、アンジェリーク君だけを愛しているんだ。きっと君に会った時から、俺は君を愛していたんだ。どうか俺と共に生きてはくれないか。」

オスカーの言葉に、思わずアンジェリークの瞳から涙がこぼれた。
嬉しくて泣いたのはいったいいつだっただろうか。
アンジェリークは、今この幸せを噛み締めるように笑顔を見せて「ハイ。」とオスカーに返事を返した。
そんな喜びの涙で潤む瞳をオスカーは熱く見つめ、そしてその白い頬をそっと両手で包み込むと、ばら色の唇にそっと唇を重ねた。
そして二人は互いに腕を回ししっかりと抱き合うのだった。
森には静寂が戻り、いつもの美しい風景が二人をいつまでも包んでいた。
そして近いうちに、ばら色のドレスをまとう麗しき天使を見る事となるだろう。

 

END

 

 

「アルカディアの魔女」いかがでしたでしょうか。
なんとか終了致しました〜。しのちゃん的にはもうちょっとオスカー様のかっこよさを書きこめばよかったなんて反省もあるのですが、とりあえず終わることが出来て満足です。
最近すっかりシリアスから離れていたしのちゃんは、このままではいかん!と奮起したのですが、最初はにっちもさっちも進まなくて、本当に書けるのか!と真剣不安でした。
ところが連載をはじめてみたらつらつらと今まで出てこなかった文章が出るわ出るわ!
まるで、パチンコのレンチャン確定!ってなもんでした。わからんもんですな〜。
皆様の励ましもしのちゃんの腐った脳みそを刺激してくれたと本当に思います。皆様ありがとう!
そして、できたらまた感想をお聞かせ下さいませ。

 

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