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「アリオスさん。今度はなんです。」
ちょっぴり頬を膨らませてアンジェリークはアリオスをにらむ。
「ああ、俺の天使きてくれたんだね。」
「ええ、ナースコール押しましたでしょう?」
「ああ、そうだったかなあ。君の顔を見たら具合が良くなったみたいだ。」にっこり微笑むアリオスに、アンジェリークの微笑みを返すと、
「じゃあいいですね。私忙しいので失礼しますね。」
といって出ていこうとした。
「ああっ!痛い!急に傷口が痛くなった…うぅぅ!」
のたうち回るアリオスに、驚いてアンジェリークは駆けよる。
「えっ?ど・どこ?」
傷口を見ようと布団をはがしたアンジェリークの腕をアリオスはつかんで引き寄せ、突然くちづけた。
ガラ
「アリオスさん。おかげんは……ガッ?!」
アンジェリークと、アリオスのキスの現場を目撃した衝撃で、オスカーは壁にへばりついた。
「キャー、オスカー先生!!」
突然のオスカーの出現にアンジェリークは慌てた。
「野暮だなあ先生。診察はあとにしてくれないかなぁ。」
またもアンジェリーク引き寄せ、はがいじめにしてアリオスはいった。
「そ・そういうわけにはいきません。アリオスさん!さあアンジェリーク君を放してください。」
心の衝撃を隠してオスカーはいった。
「仕方ないなぁ。また後でね?アンジェリークさん。」
ウインクしながらアンジェリークを開放するアリオスを見るオスカーの目元はひくついていた。
一通りの診察をして、オスカーはアンジェリークを連れて病室を出た。
と、突然オスカーは人気のない部屋にアンジェリークを連れ込むなり、思いっきり口づけた。「う・う〜ん。」
「あいつの触ったところはどこだ。俺が全部消毒してやる。」オスカーは深いキスを交わしてから、首筋、白衣をはがして胸元までにも舌を這わせた。
「ああ〜ん!先生だめ!まだ仕事中だわ。」
「そんなことどうでもいい!アンジェ、誰にも渡さない。君は俺だけの天使なんだ。」オスカーの執拗な愛撫に、理性をはじかれるそうになりながらもアンジェリークはオスカーをはね退けた。
「先生、私は誰のものでもないあなただけのものだから……これ以上はここではやめて…。」
ちょっぴりウルウルの瞳で、愛撫のためか桜色に染まった頬で頼み込まれると、オスカーもさすがに自制心が働いた。
「うっ・・・。わかった、今は我慢する。でも今夜は必ず俺のところにきてくれよ。」
オスカーはなんとかこうとか、はやる気持ちを抑えていった。
その日の宿直はオスカーだった。
宿直室でオスカーは落ち着かない時間を過ごしていた。
アンジェリークは今日日勤のはずで、5時には仕事が開けているはずだ。
だがもう8時を回っている。「遅い!どうしちまったんだお嬢ちゃんは……。」
そういいながらもオスカーの頭の中には昼間のアリオスのにやけた顔がちらついて、いても立ってもいられない状況だった。
「はあ〜ごめんなさいオスカー先生。」
アンジェリークが息を切らして宿直室に姿を現わしたのはもう9時に手が届くかと思われるほどだった。
「あっ!」
急に唇を奪われアンジェリークは思わず声をあげた。
強引に舌がねじりこまれ、アンジェリークの舌をとらえる。
息苦しさにアンジェリークは、キスから逃れようとするがオスカーはそれを許さなかった。「せ・せんせい・・・ ・・・苦しい。」
アンジェリークがやっとの思いで言葉を紡ぎだすと、今度はオスカーは首筋に舌を這わせた。
「ふあぁ〜あ〜。」
背筋に電気が走り、アンジェリークは艶っぽい声を上げる。
「先生…どうしたの?あぁぁぁぁ、なんだか…激しい…。」
だんだん息があがってくるアンジェリークに、オスカーは愛撫の手を休めることも無く言い放った。
「あいつのところに行ってたんじゃないのか?」
「?!」アンジェリークの顔が急に険しい物になり、オスカーを突き放した。
「先生 私の事そんなふうに思っていたんだ。ひどい。」
涙ぐむアンジェリークに、オスカーは胸を締めつけられたが嫉妬心のほうが大きかった。
「俺がどんな思いで君を待っていたかわかるかい?昼間あんな場面を見て、俺はもうちょっとで奴に殴りかかっていたかもしれない。医者の俺がだぜ?俺は君にもうこんなに夢中なのに君は……。」
唇を噛むオスカーにアンジェリークは思わず抱きついた。
「先生…ごめんなさい。私だって…私だって先生に夢中よ。先生だけが好きなの。」
二人はまた激しくくちづけを交わした。