団地夫婦の休日

今日も今日とて、サンクチュリア団地は平凡な日曜日を迎え様としていた。
今日、あの4人の妻達は公園にもいないし、ファミレスでも見かけないし、いつもの喫茶店にもいなかった。
そう、今日は日曜日、夫婦水入らずの楽しい休日を楽しんでいたのだった。

 

<コレット&ランディ>

2人は久しぶりに、遊園地にやってきていた。
ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド。
いろいろなアトラクションを存分に味わった2人は今、観覧車の前に立っていた。

「ねえ、ランディ。これ止めない?」

コレットは上目遣いで、夫を見つめた。

「どうして?これ、俺乗りたいなァ〜。」

ランディは妙にニヤニヤしながら答えた。
そんな彼の顔を見て、コレットは自分の予感が当たったことがわかり、ますます観覧車に乗りたく無くなった。

「やっぱり止めようよ。」
「駄目!乗る!」

ランディは半ば強引にコレット抱え込んで、観覧車へと乗りこんだ。
観覧車の扉が、係員によって閉じられると、コレットが思った通りランディが、彼女ににじり寄ってベタベタと妻の体を触り始めた。

「だ・駄目よぉ〜外から見えちゃうでしょ?」
「その方が刺激的じゃないか。」

そう言って、ランディは妻の唇に、深いキスを落としながら、その体への愛撫をやめようとはしなかった。
そして、観覧車が無事一周するころには、コレットはすっかりのぼせてしまっていた。
そんな妻を抱えるようにして、ランディが向かったところが大人の遊園地だったことは言うまでもない。

 

<アンジェ&オスカー>

2人は今、町で見つけたケーキ屋さんの中にある、喫茶店にテーブルを挟んで座っていた。
この店はアンジェリークの大好きなケーキがたくさんあって、そのどれもが物凄く美味しかった。
そして、アンジェリークは注文した生クリームいっぱいのショートケーキを、今口に運んでいる真っ最中だった。

「オスカー。ほんとにここのケーキって美味しいわよね?」

幸せそうな妻の笑顔をこれまたとろけるような瞳で幸せそうに見つめて、オスカーはカプチーノのカップに口をつけた。

「よかったな。君のその笑顔が見れて俺も嬉しいぜ。」

その言葉にまた微笑むアンジェリーク。
そして、一口、一口とケーキを食べているうちに、生クリームが口の端についてしまい、アンジェリークは可愛い舌先でそれを舐め取った。
すると、なにやら異様な視線を感じて、アンジェリークはそっと恐る恐る顔を上げてみた。
そこにはよからぬ想像に取りつかれ、目じりが垂れ下がった夫のニヤケ顔を見つけたのだった。

「オ・オスカー?」

夫の名を呼ぶと、彼はますますニタァ〜っと笑った。
背中に悪寒が走る。

「アンジェ。早くここから出ようぜ。」
「え?な・なんで?」
「いいから早く!!」

そして向かった先はやっぱり大人の遊園地・・・。

 

<ロザリア&ジュリアス>

2人は今、サーカスの見物に来ていた。
ロザリアも、ジュリアスも良い所育ちのせいかサーカスを見るのははじめてだ。
ものめずらしさと、出し物の豪快さに2人はすっかり興奮していた。
空中ブランコ、アクロバットチームの演技、ピエロの球乗り、どれもこれもすばらしいものだった。

「すごいわねジュリアス。サーカスってこんなに楽しいものだったのね。」

うれしそうに目を輝かせて、子供の様に喜ぶ妻に、ジュリアスもうれしそうに微笑んだ。

「よかったな。おまえをここに連れてきた甲斐があったな。」

二人はにっこりと微笑み合った。
そして、次の出し物が団長の口から告げられる。

「皆様!次はこのサーカス一の美女による猛獣使いでございます。どうぞお楽しみ下さいませ!」

その声を合図に全身にぴったりとフィットした皮張りの衣装に身を包んだ、美女が鞭を振りまわし、ライオンに芸をさせ始めた。
唸る鞭、ライオンの咆哮、会場はたちまち興奮のるつぼと化した。
そんな中、ロザリアはさっきから妙なことに気がついていた。
猛獣使いの鞭が、地面を打つたび隣に座る夫の体がビクンビクンと動いているのだ。
恐る恐る夫の顔を覗きこむと、そこには恍惚とした表情で、瞳を潤ませる夫の顔が・・・・。

「良い・・・あれは良いぞ!」
「え?・・・・・」
「行くぞロザリア!」
「え?ちょ・ちょっと〜〜〜。」

そしてやっぱり大人の遊園地・・・・。

 

<レイチェル&エルンスト>

2人は今、デパートに来ていた。
今日はレイチェルに付き合って服を婦人服売り場に見に来たのだった。

「これなんかどうかな?」

うれしそうに服をあてがう妻の姿にエルンストは微笑む。

「君はどんな服を着ても似合うよ。すてきだ・・・レイチェル。」

スーツをピシッと着こなしたCOOLなエルンストが、そんなことを言うとそれはもうとろける様にかっこよかった。
レイチェルはそんな夫の惜しみない賛辞と、惚れ惚れとするかっこよさに見とれながら照れる様に微笑んだ。

「じゃあ、あそこで試着してくるね?」

フィティングルームにはいったレイチェルをエルンストは所在なげに待っていた。
その時、婦人服売り場の隣にあったベビー用品売り場が目にはいった。

「エルンスト。どうかなァ〜。」

フィッティングルームから出たレイチェルの前に肝心のエルンストはいなかった。
不審に思ったレイチェルはあたりを見まわした。
するとベビー用品売り場にいるエルンストを発見した。

「あちゃ〜。」

思わず額に手を当て天を仰いで、溜息をついた。
すぐにめちゃくちゃうれしそうに目を輝かせたエルンストが戻ってきた。

「レイチェル!買っちゃった!」

そう言って差し出された哺乳瓶に、レイチェルの顔が引きつる。

「エルンスト・・・。もちろんそれは将来に生まれるであろう赤ちゃんの為に買ったのよね?」
「え?そんな訳ないだろ?もちろん私が使うんだよ。」
「・・・・・。」
「さ!早速これを使って楽しもうじゃないか。」
「え?何処行くのよぉ〜。」

そしてやっぱり大人の遊園地・・・・。

 

その後、4組の夫婦が同じ大人の遊園地で、顔をつき合わせたのは言うまでもない・・・。

 

END

 

 

久しぶりの「団地」シリーズです。
もうこの亭主達につける薬はないでしょう。
妻達の平穏はいつやってくるのか・・・・。
またまた感想をお持ちしてます。