がんばれ!実えんどうまん。
(どら焼き編)
「キャー!助けてオスカー様!」
聖地に響く、美しき金の髪の補佐官の叫び。
「待ってろ、お嬢ちゃん!」
どこにいようがその声を聞きつけて走りだすESPな炎の守護聖オスカー。
今日もまた、バカップルな二人に聖地は混乱していた。
アンジェリークは今、困っていた。
「ねえねえ、これもいいと思うんだ。これもアンジェにあげるよ!」
「え〜。いいですよもう、持ちきれませんよマルセル様。」両手いっぱいに何やらぬいぐるみを持って、アンジェリークは前が見えなくなっていた。
「この間いった星のゲームセンターってところで、面白いゲームがあっていっぱいとってきたんだよ。アンジェにもいっぱいあげるからね。」
「だからもういいですって!私は一つか二つでいいんです!」アンジェリークの話を聞くようなマルセルじゃないということはわかっているのだが、ついつい溜息が出てしまうアンジェリークであった。
「僕どうしても欲しいのがあるんだけれど、これからアンジェ一緒にとりにいかない?」
(そりゃあ今日は休日だけれど、私はこれからオスカー様のお家に行かなくちゃいけないのに〜!ああ、助けてオスカー様!)
冷や汗たらたら、心の中でアンジェリークは叫んでいた。
そのころオスカーは、これからやってくるアンジェリークのために部屋の準備をしていた。
雌鳥を迎え入れる雄鳥よろしく、オスカーは準備に余念がない。「さあ、ベッドはこんなものかな〜。」
シックな濃いグレーのシーツに、目が覚めるようなコバルトブルーの枕カバー。
ベットサイドのボードには、これも美しいブルーのクリスタルの花瓶に黄色のバラが甘い芳香を放っている。
ソファセットのテーブルには、同じくバラとワインクーラーに極上のワインが刺さっていた。
ここで繰り広げられるであろう甘い情事を思うと、思わず口もとの緩むオスカーであった。ピンポ〜ン
ドアベルの音に、オスカーは慌てて走りだす。
そしてドアを開けるなり、「やあ、待っていたよお嬢ちゃん。」
といって手の甲にキスを落とした。
「お嬢ちゃんでなくて悪いわねぇ〜。」
顔をひくつかせるオリヴィエにオスカーは驚くと同時に、手にしていたオリヴィエの手を無造作に放りだした。
と、突然アンジェリークのSOSが!「ハッ!お嬢ちゃん!」
「だから、お嬢ちゃんじゃないってば!」といっているオリヴィエをことさら強く突き飛ばして、オスカーは走り出した。
「こら〜!オスカー!覚えてなさいよ!」
オスカーに突き飛ばされて、植え込みに埋まりながらオリヴィエは叫んでいた。
オスカーが駆けつけたとき、アンジェリークは手を引っ張られて星の回廊へ向かっていた。
「ものすごくかわいんだよその人形!なんだか猫型ロボットなのに耳がないんだ。」
まったく強引なマルセルである。
(しまった。わがまま小僧じゃないか。あの無邪気な強引さには負ける。仕方がないここは必殺技だ!)
オスカーはやおらポケットからどら焼きを取り出し、お口の中へパクパクムシャムシャ!
どら焼きを食べたオスカーのハートビートゲージ(トロワ参照)はググッとマイナスの方向へ、そしてぐるりと回ってMAXへ!ピロリロリ〜ン
「必殺!やさぐれドラえもん。」
と叫ぶと同時に、オスカーは全身青色のタイツ姿に。
鼻の上に赤い丸鼻をつけ、頬には3本ひげ、首には赤い首輪と大きな鈴。
お腹のあたりだけタイツの色が白く、やっぱり半円のポケットがついている。
そのポケットにやさぐれた雰囲気で片手を突っ込み、もう一方の手にはプロペラらしきものを握りしめている。「ぼく、ドラえもんです。」
ちょっと斜に構えて大谷雅子風ダミ声で言うオスカーに、マルセルは固まった。
「ド・ドラえもん?」
「そう、ぼく、ドラえもんです。これはタケコプター。頭に乗せてお空へブ〜ン。」そのプロペラらしきものは、どうみても竹トンボにしか見えなかった。
やさぐれたドラえもんはフンと鼻を鳴らす。「ち・違う〜!これ、ドラえもんじゃないよ〜!だってドラえもんはまるくってかわいいだよ〜!」
半ベソのマルセルにやさぐれドラえもんは、ズイッと顔を寄せ、
「ぼく、ドラえもんです。あんあんあ〜ん!とっても大好きドラえ〜もん。」
と感情のない超低音で歌った。
「フェ〜ン、いやだよ〜〜〜!こんなのドラえもんじゃないや〜い!」
マルセルはすっかり大泣きで走って逃げ去っていった。
そんなマルセルをやさぐれドラえもんは、口の端をあげてケッケッケと笑った。
こうしてアンジェリークの危機は、またしてもオスカーによって救われたのだった。
そして、あんなに欲しがっていたドラえもんのぬいぐるみを、マルセルは欲しがるどころか見るのも嫌になってしまったのだった。
END
「がんばれ!実えんどうまん。(どら焼き編)」はいかがでしたでしょうか?
やさぐれドラえもん。オスカーのままの体に頭まですっぽりとかぶるタイツ姿。笑えましたか?
これを考えていた時のしのちゃんはなんだか危ない奴でした。
一人で、ニヤニヤしてましたから。
何処まで続くんだろうこれ?
まあとにかく感想をお寄せくださいませ〜!