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同行者が炎・夢両守護聖だと聞いたアンジェリークは、複雑な心境だった。
運命の女神は酷なことをするものだと内心毒づきたくなってきた。
でもそんなことを言ってられる状況ではないことは彼女自身が一番わかっていた。
覚悟を決めて出発のため王立研究所へ向かった。

 

王立研究所ではもうすでに、二人の守護聖がアンジェリークがやってくるのを待っていた。
三人の間に靄がかかったような妙な雰囲気が流れた。
それを最初に破ったのは夢の守護聖だった。

「アンジェ。今度は大変な任務だけどあんたのことはあたしが絶対守ってあげるから安心してね。」

いつもの軽口のようだが、オスカーやアンジェリークにはそうは聞こえなかった。

「ありがとう、オリヴィエ。」

アンジェリークはお礼を言うと控えめに微笑み、そしてオスカーを哀しげに見つめた。
オスカーはアンジェリークのことをどうしたら良いのかわからなくなっていた。
オリヴィエが彼女のことを本気なのはよくわかった。
では彼に彼女を託したほうが良いのか。
でも、そう思うとなんだかわからない感情が湧き上がってくる。
彼女が哀しそうに見つめるのを見るとたまらなく抱きしめたくなってくる。
この気持ちはなんなのだろう。
自分はロザリアのことを愛していたはずだ。
そう、今でも彼女を思うと胸が切なくなってくる。
でも・・・でもアンジェリークへのこの思いはなんなのか、今のオスカーにはどうしてもその答えが出せなかった。
だから、

「じゃあ、出発しよう。」

オスカーはそう言うことで、この苦しい思いから逃げ出した。

 

三人は居住型空間移動装置に乗って、WP−104へと向かった。
WP−104の崩壊はすでにかなり進んでいるようだった。
彼女達が惑星に到着したときには、天候は荒れ狂い、激しい雨と風でとても表に出られる状況では無かった。

「こんなにひどいなんて。」

アンジェリークはあまりのひどさに言葉を失った。

「とにかく早くWP−104を安定させなければ。準備はいいな、アンジェ。」

オスカーは女王から預かった、サクリア転移装置を作動させた。
この装置は女王のサクリアをこの惑星に直接届くようにすることと、それを調節して放出する者のサクリアを強力にするためのものだった。
装置の作動とともに女王のサクリアが放出され、いったん調節役のアンジェリークへと入っていった。
アンジェリークはそのサクリアをこの惑星に注入されやすいように調節しながら徐々に惑星へと放出していった。
そして、二人の守護聖はそんなアンジェリークをカバーするためにサクリアで彼女を支えた。

どれくらいの時が流れたのだろう。
外の嵐は多少なりとも収まりを見せ始めた。
そこでいったん装置を切ることにした。
オスカーが装置のスイッチを切ると、今まで立ってサクリアを放出していたアンジェリークが崩れ落ちるように倒れこんだ。

「アンジェ!大丈夫!」

オリヴィエがすかさず彼女を抱きとめる。
出遅れたオスカーは、何か複雑な気分だった。

「ありがとう、オリヴィエ。私は大丈夫よ。」

力無く彼女はお礼を言った。

「もう部屋で休んだほうがいい。」

オスカーはそれぐらいしか言うことができなかった。
なんだか自分が情けなくてつらかった。
彼の苦悩を知ってか知らずか、彼女は優しい微笑をオスカーに見せ、自分の部屋へと下がっていった。

 

部屋の中でアンジェリークは考えていた。
自分はオスカーを愛している。
これは間違いは無い、しかしオスカーは・・・。
こんな行き場の無い思いを抱える自分の前に、自分を優しく包んでくれようとする人が現れた。
オリヴィエの元に行けば、安息が得られるかもしれない。
でもそこには自分の本当の気持ちがあるのだろうか。
オスカーのことを切ないまでに求めている自分に嘘をつけるのだろうか。
ただきっとオリヴィエのことを自分が傷ついたように傷つけてしまうに違いない。
自分はいったいどうしたらいいのだろう。
疲れた体を横たえながら考えているうちに眠気が彼女を襲い、急速に安眠の世界へといざなっていった。

 

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