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それからしばらくの間WP−104に三人はとどまり惑星の安定のための作業に没頭した。
オスカーはあの日からオリヴィエの告白のことが頭から離れることができず、連日寝不足に悩まされていた。
そればかりかいまだにそのことで頭を痛めていた。
装置を作動させてサクリアがアンジェリークの体に入り、それを放出させ始めた頃、アンジェリークは自分を支えるオスカーのサクリアに異常を感じた。
と、思った瞬間オスカーのサクリアが急に弱まり、バランスが崩れたせいでアンジェリークのサクリアが暴走し、オスカーへと流れ込んでしまった。
オスカーは膨大なサクリアの注入に翻弄され、まるで何かに操られたマリオネットのように舞いながら床に崩れ落ち意識を失ってしまった。
オリヴィエはすぐさま装置を止め、この不測の事態にいったいどうしたら良いのかわからなくなってしまった。
アンジェリークの方はあまりのショックな出来事にわれを忘れオスカーにすがりついた。

「オスカー!オスカー目をあけて、イヤ、イヤよ!」

泣き叫ぶ彼女を見てオリヴィエは正気を取り戻し、アンジェリークの肩に手をかけた。

「アンジェ!錯乱しないで。まだオスカーは死んでないのよ!」

それでもアンジェリークの気持ちは収まらなかった。
なおもオスカーにすがり付いて、ただただ泣きつづけるばかりだった。
オリヴィエはそんなアンジェリークの様子をみて、自分に無力感を覚えたが、ただ見守っていることもできず自分がとるべき行動をとることにした。

「アンジェ、今はとにかく聖地に戻りましょう。これはもうあたし達の手におえる問題じゃないわ。今WP−104も大分安定してきているし、すぐに代わりを送ればなんとかなると思うの。」

冷静なオリヴィエの判断を聞いてアンジェリークの心は少しだけ元気ずけられた。

「わかったわ。オリヴィエそうしましょう。」

アンジェリークは涙をぬぐいながらやっとそう言った。

 

聖地に戻った三人はすぐさまオスカーを聖地にある病院へと運んだ。
オリヴィエは報告のため女王に謁見を申し入れ、アンジェリークはオスカーも傍らを一度たりとも離れることは無かった。
アンジェリークは恐ろしさでもう何も考えられなくなっていた。
このままオスカーが目を覚まさなかったらどうなるのだろう。
きっと・・・きっと自分は生きては行けないだろう。
アンジェリークにとってオスカーの存在は、この世界に自分が存在するための唯一の理由なのだ。
オスカーの居ない世界などに存在できるはずは無かった。

「オスカー、オスカー目をあけて。」

アンジェリークは震える声で、オスカーに語り掛けた。
オスカーはまるで死んでしまったかのようにぴくりとも動かない。
もうこのアンジェリークの行いは何度も何度も繰り返されていた。
そしてきっとこの光景はオスカーが目を覚ますまで幾度でも繰り返されるのであろう。

 

謁見の間でオリヴィエから報告を受けた女王は事の成り行きに顔を曇らせた。
それはただ炎の守護聖の安否を気ずかってのことばかりではなく、彼女の親友の哀しみをおもんばかってのことだった。

「それで医師はなんと言っているのです。」
「体に異常はないとのこと、ですが陛下のサクリアを大量に取り込んだためオスカー自身のサクリアが押さえられて意識が回復できないようです。」

女王の質問を予期していたオリヴィエは即座に答えた。
女王はしばらく考えを巡らすように黙り込んだようだったが、すぐに顔を上げ、

「では私のサクリアをオスカーの体内から取り除けば良いのですね。」

とオリヴィエに言ったかと思ったら、すぐさま席を立ち従者に言い放った。

「病院に参ります。車の用意を!」

 

病院に着いた女王は病室で眠っているオスカーよりも、その横で憔悴しきっているアンジェリークが痛ましくてしょうがなかった。
アンジェリークはいつもの花のような笑顔はなく、その代わりに涙で目を真っ赤に泣き腫らし青ざめたうつろな表情でオスカーに寄り添っていた。

「アンジェ。もう哀しまないで、今オスカーの中から私のサクリアを取り除いてみるから。」

アンジェリークは女王のその言葉にもただ呆然と頷くだけだった。

 

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