君を捕まえたい
俺はあせっている。
今夜にでも彼女は手の届かない存在になってしまうかもしれない。
早くてを打たなければ・・・。
俺としたことが気ばかりあせってうまく彼女を手に入れることができなかった。
でももうそんな事していられない。
時間はもはや無いに等しいんだ。
今日中に彼女を捕まえてこの思いを打ち明けなければ。
それを考えると執務も手につかない。
もう限界だ。
俺は仕事を放り出して彼女の部屋へ向かった。息を切らしながら俺は彼女の部屋のドアをトントンと二度ノックした。
返事が無い!
しまった!もう出てしまったのか?
いったいどこへ。
もし育成を守護聖にたのみに言ったのなら最悪だ。
これ以上エリューシオンにサクリアが注入されたら大陸の中央の島に到達してしまう。
そんなことになったら、もう俺は彼女に指一本ふれることができなくなってしまう。
彼女は女王になり、至高の人となってしまうのだから。
そんなことが頭の中でグルグルと回り始めた。
とにかく彼女を早く捕まえなくては。
俺はまた急いで彼女の部屋を後にした。
そして、公園へと向かった。
彼女を誰か目撃しているかもしれない。のどかにくつろぐ人々に俺は彼女の行き先を尋ねて回った。
「アンジェリークはどこか知らないか?」
「あら、アンジェリーク様なら森の湖へ行かれましたよ。」
一人の女性がやっと彼女の行き先を教えてくれた。
俺は御礼を言うとすぐさま森の湖へ向かった。
すると嫌な奴と出くわしてしまった。
「ああ、オスカー何をそんなに慌てているのですか?」
リュミエールはいつものみんなが言うところの優しい微笑ってやつで声をかけてきた。
「すまんが俺は急いでいる。おまえの相手はしていられない。」
そう言ってまた駆け出した俺に奴は、
「もしかして森の湖に行かれるのですか?」
といったので俺はふと嫌な予感がして立ち止まってしまった。
そうだ、彼女は森の湖に行ったといていた、とするともしかして他の守護聖と一緒なのか?
森の湖は恋人達の集う場所だ。
だいたい俺が今考えていることを他の奴らが考えていないなんて事は無いんだ。
俺の他にも彼女を狙っている奴が居ないとは言いきれない。
まさか、リュミエールは今まで彼女と一緒だったのか?
そんな考えに俺はひどく不安になった。
「何でそんなこと聞くんだ。」
俺は内心の不安を押し殺して奴に聞いた。
「いえ。ただあなたがそんなに急いでいるのは女性と会うのだと思ったものですから。」
「女性?」
「ええ。待ち合わせに遅れでもしたのですか?」
「いいや。俺はレディーを待たせたりしないぜ。森の湖に誰かいたのか?」
「いえ。知りませんが。」
その答えを聞いて俺は少し安心をした。となれば急がなければ。
「悪いな。とにかく急いでいるんだ。」
それだけ言うと俺はまた走り出した。
奴はいったいどんな顔をしただろう。湖の入り口につくと俺は息を整えながらゆっくりと森の中へと入っていった。
果たして彼女は・・・いた!
彼女は何かしら滝に向かって祈りを捧げているようだった。
「よう!お嬢ちゃん。どうしたこんなところで、一人か?」
俺はさりげなく彼女に声をかけた。
急に声をかけられて驚いたような顔をして彼女が俺を見つめた。
「本当だったのね。」
「?」
俺は何の事とだかさっぱりわからなかった。
そして彼女を見つめると、彼女は目を潤ませ、少し頬を染めて微笑んだ。
「お会いしたかった。」
彼女のその言葉に俺の胸は高鳴った。
もしかしたら彼女も俺のことが・・・?
そう思ったらもう押さえ切れなかった。
「アンジェリーク。」
俺は初めて彼女を名前で呼ぶと彼女を抱きしめていた。
目を丸くする彼女に俺は思いのたけをぶつけた。
「君のことを今まで子供扱いして悪かった。君は今はもう俺の中で一番の存在なんだ。俺だけのレディーになってくれないか?」
俺としたことが心臓がバクバクしているぜ。
返事を聞くのが怖い気がするなんて初めてだ。
さあ、アンジェ。君の答えはなんだい?
END