がんばれ!実えんどうまん。
(マンナンライフ編 リベンジ2)

 

「キャ〜!助けてオスカー様!」

聖地に響く、美しき金の髪の補佐官の叫び。

「待ってろ、お嬢ちゃん!」

何処にいようが、その声を聞きつけ走り出すESPな炎の守護聖オスカー。
今日もまた、バカップルな2人に聖地は混乱していた。

 

アリオスは考えた。
どうしていつも、いつも、いつも、あの赤毛のあん畜生に負けを喫してしまうのか。
自分に足らない魅力はなんだ?
考えに考えて、頭の中がグルグルしすぎて知恵熱を出すほど考えた結果、アリオスは一つの結論に辿り着いた。
俺に足らないもの!それは謎めいた妖しさかもしれない!
とかく女と言うものは、少々悪に染まった危険な香りのする男に惹かれるものだ。
そうと解かれば即実行!とばかりにアリオスは髪を黒く染めてみた。
やはり黒髪は悪の色気が出るものだ。
アリオスは染め上がったばかりの黒髪を妖しく掻き揚げ、一人満足そうに鏡に向かってにっそりと微笑んだ。

 

やはり奴をおびき出すには彼女の存在は必要不可欠だ。
そう考えたアリオスは、公園でひたすらアンジェリークが通りかかるのを待ち伏せた。
黒一色にコーディネートされた皮製のジャケットとパンツは彼の魅力を十二分に引き出し、通り行く女性達の熱い視線を一身に集めていた。
アリオスはその視線の存在を感じて満足げに微笑むと、周りの女性たちに流し目を送ってみた。
たちまち黄色い歓声が辺りを包み、視線が合った女性の中には失神者も続出した。

(フッ・・・・勝てる!)

アリオスの中には確信にも似た自信がみなぎっていた。
そしてついに御目当ての麗しき金の髪の補佐官アンジェリークが、公園を通りかかったのだった。

「麗しいお嬢さん?俺といっしょにカフェでお茶でもしないかい?」

定番ではあるが、アリオスはセオリーにのっとってアンジェリークに声をかける。

「???あなた・・・・・どなた?」

きょとんとする彼女にアリオスは、めい一杯フェロモンを溢れさす様に流し目を送って鼻でフッと笑うと、今回の最大の武器である妖しい魅力満載の自慢の黒髪を妖艶に掻き揚げて言った。

「俺の名はレヴィアスだ。美しいお嬢さん?」

決まった!どうだ!おい!まいったか〜〜〜!
アリオスの中で雄叫びが上がる。

だが・・・・・

「レヴィアスさん???ごめんなさい。私先を急ぎますので、失礼致しますわ。」

この攻撃にも、アンジェリークは顔色一つ変えることなく言い放つ。
途端にアリオスの額には青筋が浮かぶ。

(こ・こいつ〜〜〜!!本当に女か??)

頬一つ赤らめることのないアンジェリークにアリオスは心の中で毒づいた。
それでもあのにっくき赤毛のあん畜生をおびき出す為には、ここで引き下がる訳には行かない・・・・。
その為にアリオスはアンジェリークを執拗にお茶に誘うのだった。

「ほんのちょっとだけだから、なあいいだろう?」

「え?いや困ります・・・・私本当に急いでるの。」

「そんなこと言わずにさぁ〜な?来いったら来いよ。」

そう言って強引にアリオスはアンジェリークの腕を取る。

「キャー!助けてオスカー様!!」

 

そのころオスカーは、女王命令で罰を受けていた。

「オスカー。最近の聖地での混乱の原因のほとんどは、あなたによるものだと言うことがわかりました。大切なアンジェを助ける為であったとしても、聖地の守備隊長であるあなたには皆に示しを付けてもらわねばなりません。これは女王命令ですからね!」

きつ〜〜〜いロザリア陛下からのお小言にオスカーは仕方なく、頭を垂れるしか方法は無かった。
そして今、オスカーは聖殿の玄関口に立たされている。

「プッ・・・プフフフフ・・・・。」

聖殿に出仕したランディが玄関口に立つオスカーを見て笑いをこらえる。

「ランディ!笑ってる暇があったらさっさと行け!」

もうこれで何人目だ?
ランディ、マルセル辺りはまだおとなしいもんだ。
ゼフェル、オリヴィエ辺りになると、更にあからさまな中傷が加わる。
先ほどはリュミエールに冷たい目線で無視され、クラヴィスには鼻で笑われた。
ルヴァに至っては同情の目を向けられるといった始末だった。

(フッ女王陛下もなかなか酷なことをなさるもんだ。)

とオスカーは情けなくも心の中で毒づいた。

「オ・オスカー???いったいこれはどうしたことだ?」

「ジュ・ジュリアス様・・・・。」

この姿を尊敬する光の守護聖にだけは見られたくなかったと、オスカーは初めて赤面してみせた。
今、オスカーはそれはそれはめっちゃくちゃ恥ずかしい格好をさせられて聖殿の玄関口に立たされていたのだった。

「オスカーいったいそれはなんだ?」

ジュリアスが怪訝な顔つきで尋ねてくる。

「はっ!これはタヌキでございます。」

そう最敬礼で答えるオスカーは今タヌキの着ぐるみを着させられて立っているのだ。
それも普通のかわいらしいと言う形容詞がつくような代物ではない。
言うなれば、居酒屋辺りの入り口に鎮座しているあの瀬戸物のタヌキそっくりなのだ。
だから今、ジュリアスの頭の中にもかの有名な歌が何度もリフレインしていた。

♪たんたんタヌキの金○○はぁ〜風も無いのにブ〜ラブラ〜♪

腰にはしっかりとオプションの酒樽が結わえられ、首には蓑傘、顔にはしっかり三本髭がペイントされているし、もちろん鼻も黒くペイント済み、股の間にはしっかり大きなあの袋が足元までぶら下がっている・・・。
そんな色男とはかけ離れた格好で、1日聖殿の玄関口で立てと言うのが女王から下された罰だったのだ。
いと哀れ・・・・・。

ジュリアスの脳裏にその言葉が浮かんだ時、オスカーの頭に響く、アンジェリークの叫び声!

「ハッ!お嬢ちゃん?!」

その声が聞こえたら彼は止まらない。
引きとめようと手を広げたジュリアスを彼方までふっとばし、その見るも恥ずかしい格好のままで、声のする公園へとすっ飛んで行ってしまったのだった。

 

オスカーは今、カフェでいやいやアリオスとお茶をするアンジェリークを発見した。

「な・なんだ?あのフェロモン爆裂野郎は・・・・。」

全身から男の色気をこれでもか〜〜と辺りに撒き散らすアリオスを見てオスカーは焦る。

「このままじゃやばい!よし!必殺技だ!!」

そう叫ぶとやおらポケットの中から、マンナンライフのこんにゃくゼリー(アロエリーナ)を取り出すと、すぐさまお口へパックングニグニ。
マンナンライフのこんにゃくゼリー(アロエリーナ)を食べたオスカーのハートビートゲージ(トロワ参照)はプラスの方向へググッと回ってMAXへ!
ピロリロリ〜ン

「必殺!究極フェロモン光線スーパーΣ!」

そう叫んだオスカーの全身からは蛍光ピンクのフェロモン光線がブワワワワ〜ンと溢れ出した。
方やアリオスは、とにかくアンジェリークの気を惹こうとあらゆる方法で、その妖しいまでの男の色気をアピールしまくっていたが、その色気に参っているのはアンジェリーク以外の周りの女性客ばかりだった。
少々焦りの見え始めたアリオスの後方から、突然黄色い歓声が上がる。

「キャー!!素敵!!オスカー様!!」

「来やがったな!赤毛の野郎!」

アリオスは今度こそ負けるもんかと気合十分格好をつけて振り向いた。

が!!

「な・・・・・なんだありゃ・・・・・?????」

オスカーを一目見たアリオスの頭の中は今や真っ白だ。
歓声を上げる女性たちの中心にいるのはどう見てもタヌキ・・・・・。
タヌキ以外の何物にも見えない代物だった。
そ・それなのに、その間抜けなタヌキがポーズを取るたびに黄色い歓声が上がり、失神者が続出しているのだった。
呆然と立ち尽くすアリオスの横からアンジェリークが騒ぎの方に目をやった。
すると蛍光ピンクのフェロモン光線がアンジェリークに降り注ぐ。

「キャーーー!!素敵!!オスカー様!ああ〜〜んもう駄目〜ん。」

さっきまで、アリオスの色気にまったく動じる様子も無かったアンジェリークまでもが、そう叫んだかと思ったらその場で、恍惚の表情を浮かべたまま失神してしまったのだ。

「なぜだ!この俺はタヌキにまで劣るのか!!!」

アリオスの絶叫がカフェ中を包む。

「フッ悪いな・・・・俺に勝とうだなんて100年早いぜ坊や。」

超余裕の表情を浮かべたたんたんタヌキオスカーは、股の間の大袋を引きずりながら、キザなポーズでアリオスにそう言うと、失神して倒れる恋人を抱きかかえてにんまりと笑うと勝ち誇る様に悠然と立ち去った。
後には、オスカーよりも6歳も年上なのに坊や呼ばわりされてすでに廃人と化し、せっかく染めた髪も真っ白に戻るくらいに魂の抜け落ちたアリオスだけが残ったのだった。

 

こうしてまたもやアンジェリークの危機は救われた。
だが、この後更に恥ずかしい格好をさせられて聖殿の玄関口に立たされる運命がオスカーを待ち伏せているとは、この時のオスカーは知る由も無い。

 

END

 

 

久しぶりの実えんどうまんはいかがでしたでしょうか?
「背徳」が終って、アリオスづいていたしのちゃんはやっぱりここにも彼を出してしまったのだった。
それにしても、もうそろそろ諦めろよアリオス・・・・。
そんな声もちらほら聞こえてきそうな今回のお話でした。
まあ、わかっちゃいるけど感想の方をよろしくね?(笑)