Missing

俺の名はオスカー。
俺は今、絶望の淵に立っている。
今目の前で繰り広げられている出来事が、俺をその淵へと追いやったのだ。
これが夢ならどんなによかっただろう。
そう思うことが、これがまぎれもない現実なのだと俺に告げている。


夜、森の湖へとやってきた俺はそこで、自分が初めて愛した人の濡れ場に遭遇してしまったのだ。
肌もあらわになった彼女を組み敷く男はよく見知った男だった。
あまやかな彼女の声と吐息が聞こえてくる。
歓喜に震えるその声は、俺の腕の中で聞きたいといつも願っていたものだった。
それをこんな形で見せ付けられるなんて・・・。
俺は絶えきれずに耳をふさぐ。
あどけないいつもの顔が、今は妖艶な女の顔になって俺の胸をざわつかせている。

「止めてくれ・・・・。」

思わず口から出た声は、いつもの俺からは想像も出来ないくらい弱弱しかった。
今までどれほどの恋をしたかはわからないが、本気で好きになったのは彼女だけだ。
その愛しい人が、今別の男の物になっている。
今までに経験したことも無いくらいの心の痛みに、俺はその場に崩れるように膝をついた。

 

二人の逢瀬は今だ続き、俺を打ちのめす。
いつしか俺の心には憎しみと言う感情が生まれていた。
はじめて生まれたそのどす黒い感情に、俺は身を任せてしまいそうになる。
だが、その時俺の脳裏をかすめたのは、彼女の美しい笑顔だった。
天使の微笑とも言えるその笑顔が俺は好きで、彼女に引かれたのだ。
その笑顔を曇らせることは俺には出来ない。
彼女があいつのことを好きなら、俺は諦めなくてはいけないんだ。
そう、どんなにこの胸が張り裂けそうなくらい彼女が恋しくても・・・。
そう決意した俺は、もう一度だけ喜びに打ち震えている彼女の姿を眺めてその場を後にした。

美しき俺の想い人。
その名は天使・・・アンジェリーク・・・。

 

END

 

久しぶりのシリアス短編。
そんでもってバットエンドと言う邪悪さ。
オスカー様可哀想〜。の声が飛び交えばこれはよかったってことかしら?
アンジェのお相手は誰でしょう?
皆様のご想像にお任せしましょうか?お相手がきっと皆様それぞれ違うんだろうな〜。
ちょっとそっちの方が気になりますよね?よかったら教えてね?
それではまた!