お手をどうぞ
今日はアンジェリークの誕生日だ。
アンジェリークが補佐官になって初めての誕生日だ。
そして今日、女王主催の誕生日パーティーが開かれることになっていた。
今日は朝からオスカーは気合が入っていた。
なんといっても今日はアンジェリークをめぐってアンジェリーク争奪バトルロイヤルがパーティーで行われることは守護聖たちの暗黙の了解だったからだ。
天使のような彼女の笑顔はたちまち守護聖全員を魅了し、みんな彼女に夢中だった。
そして今日の誕生日を守護聖全員が心待ちにし誰が彼女を手に入れるか激しい火花を散らしていた。
とにかく今日は負けられない。
オスカーはそう固く決意すると今日の誕生パーティー会場に急いだ。
「みなさん今日は私のために集まっていただいて本当にありがとうございます。今日は心ゆくまでくつろいでいってください。」
アンジェリークの挨拶を皮切りに激しいバトルロイヤルの火蓋が切って落とされた。
「ねえねえアンジェ。僕ね君のために特別なハーブを育てたんだ。これを君にあげるよ誕生日プレゼントだよ。」
1番に名乗りをあげたのは最年少のマルセルだった。
隙を突かれた形となった他の守護聖たちはマルセルのあまりの速攻に唖然とした。
ゼフェルなどは傍から見てもわかるくらい悔しそうに歯噛みをした。「あ、ありがとう。マルセル様うれしいわ。」
「これねハーブティーにするとすごくおいしいんだ。一度飲んでみて。」マルセルに先を越されたのがよほど悔しかったのか慌ててゼフェルがマルセルを押しのけてアンジェリークの元へ駆けよった。
「ア・アンジェこれ前から欲しがってたろう?おまえの好きな曲に基盤をつくり変えておいたよ。誕生日プレゼントだ受け取ってくれよ。」
そう言ってゼフェルはアンジェリークにきれいな模様の入ったオルゴールを手渡した。
「まあ!本当にいいんですか?ありがとうございます。とってもうれしいですこれ、本当に欲しかったので。」
次々攻勢に出る年少組に取り残された形のランディは焦り出した。
彼が手に持っているものはさっき花屋で買ってきたピンクのバラの花束だった。
あとの二人が手作りだったのに対して自分はそこで買ってきたばかりのプレゼントだったのでもう負けてしまったような気分になって落ち込んだ。
それでも何とかアンジェリークの前おずおずと進み出るともっていた花束を顔はうつむいたままでアンジェリークの前差し出した。「アンジェリークごめん!こんな物しか思い浮かばなかった。つまんないかもしれないけど受け取ってくれよ。」
「まあきれい。ありがとうランディ様。嬉しいです私ピンク色って大好き!」素直に喜ぶアンジェリークにランディはホッと胸をなでおろした。
そんな三人の守護聖達の様子を他の守護聖達はまだまだ余裕の表情で見守っていた。
焦る必要などないまだ時間は十分にあるそんな考えが他の守護聖たちを支配していた。
パーティー会場にワルツの音楽が流れ始めた。
その音楽に気がついたオスカーがアンジェリークに歩み寄ろうとすると、突然オスカーは腕を掴まれた。
驚いて振り向くと腕をつかんでいたジュリアスが不適な笑みを浮かべてオスカーの行方をさえぎった。「抜けがけはなしだオスカー。ワルツは私に譲ってもらおう。よいな。」
そう言って何か言いたくても言えないでただ口をパクパクさせているオスカーをしり目にアンジェリークにダンスを申し込みにいった。
憮然とした表情でテーブルの席についたオスカーをオリヴィエがからかった。「あらあらオスカーもジュリアスにはかなわないんだぁ。」
「うるさい!極楽鳥!」
「あらいやだやだ。八当たり?あんたもただの男ね醜い嫉妬に狂ちゃってさ。いつもの余裕がないわよ。」オリヴィエをにらみつけてオスカーはふてくされたようにそっぽを向いた。
その様子を心配するように眺めていたルヴァが二人の間に割って入った。「まあまあ二人とも今日はおめでたい日なのですから喧嘩は止めましょうね。そんな姿を見たらアンジェリークが哀しみますよ。」
ルヴァの言葉にオスカーとオリヴィエはお互いを一旦見あってからまたそっぽを向いた。
ルヴァはやれやれといったような表情で二人を見つめた。
そうこうしているうちに一曲目のワルツが終わりジュリアスとアンジェリークが挨拶を交わしていた。
早速二曲目を申し込もうと席を立ちかけたオスカーの脇をクラヴィスがすり抜けアンジェリークの手をとっていた。
唖然とするオスカーをまたオリヴィエは笑った。「クラヴィスにまで先を起こされているんじゃしょうがないわね。今日はあきらめなよ。」
「うるさいだまれ!俺はあきらめない!」
「往生際悪いわね。まあがんばんなさい。無駄だと思うけど。」妙に自信たっぷりのオリヴィエの言葉に不信を感じたオスカーはさぐるようにオリヴィエをにらみつけた。
「なぜそんなことが言えるんだ。おまえ何か知ってるな?」
あら気がついたのというようにオリヴィエは肩をすくめた。
「だって私たちみんなであんたにだけはアンジェリークを渡さないって協定を結んでいるんだもの。」
「なんだって?どういうことだ?」
「ひ・み・つ・・・」オスカーはキツネにつままれたような顔をしてくすくすと笑うオリヴィエを見つめていた。