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「これでも食らえ!!」

ゼフェルの叫び声と共に戦いは始まった。
ゼフェルの手から放たれた稲妻の玉はまっすぐにオスカーに向かって行く。
ゼフェルの口元が勝ち誇った様に上がったが、それも一瞬の事だった。
オスカーが構えた剣にその稲妻は吸いこまれてしまったからだ。

「?!」

その信じられない光景にゼフェルは目を見開く。

「ど・どう言うことだ?これは!!」

「フッ・・・残念だったな。これは魔法を食らう魔法剣なのさ。魔法が使えないお前など、俺の敵じゃないね!今度は俺から行かせてもらうぜ!」

オスカーはそう言うが早いか、ゼフェルに向かって襲いかかった。
バク転をしながらオスカーの攻撃をかわし、その合間に稲妻を放つも、ゼフェルの攻撃はことごとく魔法剣に吸い取られて行く。

「ちぃいい!」

「ははは!観念するんだな猫野郎!」

攻撃を身の軽さで避けつづけていてもそれも限界がある。
ゼフェルはとうとう高くそびえる塔の壁際に追い詰められた。
後の無いゼフェルにオスカーの剣が迫る。

「やめて!!」

突如かかった叫び声にオスカーの剣はわずかにそれて、塔の壁に突き立った。
首の横に刺さる剣をゼフェルは生唾を飲み込んで見つめた。
そして、オスカーは声を出した人物の方に目を向けた。

「アンジェリーク・・・・・。」

「ゼフェルを殺さないで!乱暴だけど・・・悪い人じゃないの・・・・。」

ふるふると震えるアンジェリークに、オスカーの胸は熱くなった。
か・可愛すぎる・・・・・・・。
オスカーは今すぐにもアンジェリークを抱きしめたい衝動にかられた。
そこで慌てて剣を収め、オスカーは急いで塔に絡まる蔦を伝ってバルコニーへと登り始めたのだった。
命の危機から脱したゼフェルは深い安堵の溜息と共に、ずるずると地面にへたり込む。
と同時に目の前に立つ人物に気がついた。

「???」

思わずその人物を見つめたゼフェルの顔に不信の色が浮かぶ。
彼の顔を覗きこむ様に笑顔で立っていたのはコレット姫だった。

「可愛い・・・・・・いや〜んめっちゃ可愛いわ猫君!」

声を発したかと思ったら突然ゼフェルはコレットに抱きすくめられた。
あまりのことにゼフェルは声ならぬ声を発して暴れ出す。
だがコレットは怯まなかった。
しっかりとゼフェルの首根っこを捕まえてにこにこしている。

「お気の毒に・・・・・。」

遠くでエルンストとレイチェルの呟きが聞こえたのは言うまでもない。

 

バルコニーに到着したオスカーは真近で見るアンジェリークに胸を躍らせた。
キラキラと輝く翡翠の瞳がとても美しかった。
桜色のくちびるがオスカーの欲情を誘う。

「アンジェリーク・・・・。俺は・・・俺は君にもう夢中だ・・・・。君を愛してる。」

オスカーの告白にアンジェリークは目を丸くする。
いったいどうしたら良いのかわからずにただただ呆然とアンジェリークは立ち尽くしていた。
戸惑うアンジェリークとは違ってもう我慢できないオスカーは、アンジェリークを抱き寄せるとおもむろにその唇を奪った。

「?!」

これはもしかしたらルヴァに禁じられた行為では??
一瞬アンジェリークの脳裏にその事が浮かんだが、オスカーのキスはなぜかルヴァのそれとは違っていた。
なんと表現したら言いのだろうか。
アンジェリークはオスカーの口付けが深まるに連れて、しだいに体が火照り、頭の芯がボ〜っとなって何も考えられなくなって行った。
最後には立っているのが困難になり、アンジェリークは思わず膝が砕け、オスカーによってその体を支えられたのであった。

「アンジェリーク・・・・好きだ・・・愛してる。」

耳元で囁くオスカーの吐息を感じるとまたもやアンジェリークの体の力は抜けて行く。
いつしか、アンジェリークはオスカーの腕の中でくったりとしてしまい顔を火照らせて、肩で息をついていた。

「ああ・・・なんだか私変・・・・。体に力が入らないの・・・・。どうして?」

初心なアンジェリークはオスカーの巧みなキスにすっかり翻弄されていた。

「君はなんて可愛い人だ。」

クタクタにとろけてしまった彼女を抱きしめてオスカーは感動に胸がいっぱいになっていた。
もう離さない!
誰にも渡すものか!
オスカーはますますアンジェリークに夢中になっていた。

「アンジェリーク・・・俺と共にこの塔を出よう。」

オスカーの誘いにアンジェリークはぽんやりと頷いていた。

「あ・・・でもリュミエール様も連れていかないと・・・・。」

「リュミエール???」

アンジェリークの口から出た男の名にオスカーの片眉が上がる。

「ええ・・・私のたった一人のお友達なの。」

そう言ってアンジェリークは部屋の中に引っ込んだ。
その後に付いて室内に入ったオスカーは、そこでクラヴィスが言っていた歌う生首なる物を目にしたのだった。

「それがリュミエール?」

アンジェリークがうれしそうにだかえる生首をオスカーは凝視する。

「ええ、そうよ。大切なお友達のリュミエール様なの。オスカー様リュミエール様も連れて行ってもよろしいでしょ?」

不安そうに自分を見つめるアンジェリークにオスカーはもちろん頷くしかなかった。
それにクラヴィスとの約束もある。
リュミエールをなんとしてもクラヴィスの元に届けなければならないのだ。
オスカーはこの奇妙な生き物に張りついた笑顔を見せて語りかけた。

「リュミエール殿。俺はオスカー。彼女と共にこの塔を出ることを承知してくれるだろうか。もちろんあなたも連れて出たい。」

リュミエールはオスカーを見つめ、哀しそうな微笑を浮かべた。

「私はこのような体です。アンジェリークが望むなら何処にでも参りましょう。よろしくお願い致しますオスカー様。」

こうしてオスカーはアンジェリークと、リュミエールを連れて塔を出たのだった。
コレットによってゼフェルも連れ去られ、アンジェリークも、リュミエールも去り誰もいなくなった塔に、ルヴァが戻ったのはそれから数時間たった夜の事だった。

 

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