精霊魔術の呪文は大きく分けて二つの部分に分けることが出来る。前半部分は1に述べた契約呪文、精霊と接触を作る部分であり、後半部分がこれから述べる伝達呪文である
伝達呪文はその名の通り、自らの意図を精霊に伝える部分である。注意しなければならないのは呪文にはその規模を伝える部分が無い、という事実である。大きければいいというものではない。無制限な力は自らを滅ぼすのみである。力ある魔術師にとって大変なのは大きな力を呼び出すことより大きな力を制御することの方が大変なのだ。
一つ呪文の例を挙げる。これは単純に明かりを呼び出すだけのもである。
激しき炎の精霊よ
我の心と等しきものよ_____ 契約呪文
古き契約に従いて
我が意に従い闇を消せ
静めよ汝の怒れる心
我は優しき汝を求む _____ 伝達呪文
来れ炎よ我が手の平に
我は汝の光を求む
この呪文は唯一絶対のものではない。繰り返しになるが魔術にとって本質的なのは意志である。契約呪文は絶対なものだが、伝達呪文は人によって違う。
またこの呪文は制御が非常に易しい部類に入る。もともと炎の精霊を静めた状態で呼び出しているので流れ込む呪力そのものが弱いのである。しかし慣れないうちは間違ってもファルス(火炎)を用いてはならない。ファルスは元来激しい性質を持つ存在であり、不慣れなものではどんなに弱い呪文でも暴発してしまう可能性があるからである。
従って最初のうちはシルファール(風)を用いて練習するのが良い。次に風の呪文の例を挙げる。
悲しき風の精霊よ
輪が失いし心の傷よ_____ 契約呪文
古き契約に従いて
我が意に従い嵐を運べ
静まれ汝悲しき風よ
我を包みて心呼べ_____ 伝達呪文
汝は我の失いし時
我は優しき汝を求む
これは微風を呼ぶだけの術である。術としてはそれだけの存在なのだが、熱いときなどに意外と重宝したりするときもある。またこの術を強化すると風で簡単な防御壁が張れその意味でも重要な術である。
しばらくはこの術を完璧に使いこなせるように訓練すべきである。契約呪によって精霊と接触を保てるものならば、その状態を持続して意図を伝達することは容易であろう。しかし、最初のうちは突風を呼んでしまったりあるいは何も呼べなかったりと上手く行かないことも多いはずである。この状態を超え、基礎的な術を制御できるようになるまでが第2段階である。