横須賀旅行記2―軍港クルージング

  <三笠>見学の次は遊覧船による横須賀軍港内のクルージング。在日米軍と海上自衛隊の基地が存在する横須賀本港は一般船舶の侵入が禁止されており、通常は釣り船などをチャーターしても海側から接近することはできない。この回覧船を不定期運航している船会社は特別に両者と契約をし、港内侵入を許可されているそうだ。

  回覧船の乗り場は<三笠>のすぐ横(もう少ししたら横須賀本港側に乗船場所を移すらしい)、猿島への定期航路便と同じ桟橋を利用している。船は船内のほかに屋上に数十人が登れる構造で、軍港内の船舶をさえぎる物無しに見ることができる。予想していたよりも人気なようで、船内も屋上もかなりの人で溢れていた。屋上に陣取ると真横に三笠の姿が見える。
[HIJNS Mikasa]

  乗船時間が過ぎると船は岸を離れて沖合いへ、そして横須賀市街地北西の半島部を占める在日米軍横須賀ベースを回りこみ、日米の軍用艦船のたむろする横須賀本港へ向かう。なお筆者が乗船した日の前日には横須賀市内で祭が行われており、海上自衛隊でも催し物の為に呉や大泊所属の艦船が横須賀を訪れていたそうだ。それらの艦船のおかげで横須賀配備の艦が岸壁を追い出されており、沖合いでそれらの艦船に出会うことができた。護岸の向こう側に見えるのはたかなみ型護衛艦<おおなみ>。
[JMSDF Oonami, DD-111]

  沖合いには岸壁を追い出された四隻の海上自衛隊艦船が停泊していた。遠くに見えた二隻は右が試験艦<あすか>、左がたかなみ型護衛艦<たかなみ>。
[JMSDF ASE-6102 ASUKA & JMSDF Takanami, DD-110]

  そして先ほどの<おおなみ>の近くを通過する。
[JMSDF Oonami, DD-111]

  探照灯が偶然太陽光を反射していたので一枚。特に誰何されたとかではない。
[JMSDF Oonami, DD-111]

  最後に最も本港側に停泊していた、とわだ型輸送艦<ときわ>の前を横切る。この艦はインド洋海上補給任務への参加で有名。燃料補給に用いる黒いホースが見える。
[JMSDF Tokiwa, AOE-423]

  次に見えてきたのが米軍艦艇用の埠頭。大型クレーンの横が空母専用埠頭である。少し前までは<キティホーク>、もう少し経てば原子力空母<ジョージ・ワシントン>がこの埠頭の主となる訳であるが、<ワシントン>が火災事故を起こして来日延期になってしまっているため現在は主が居ない状態。とりあえずイージス巡洋艦が一隻入っていたが、本来全長300メートルを超える空母のための埠頭だけあってガラガラである。
[空母埠頭]

  さらに港内にゴロゴロしているタイコンデロガ級巡洋艦。右が<チャンセラーズヴィル>、中央が<カウペンス>。現在の横須賀には世界に100隻近く存在するイージスシステム搭載艦のうち9隻(日本の<きりしま>と米軍の8隻)が配備されているそうだ。それだけ東京近郊が重要度と潜在的危険性の高い場所であるという事なのだろう。
[USS Cowpens, CG-63 & USS Chancellorsville, CG-62]

  互い違いに係留された<チャンセラーズヴィル>と<カウペンス>。手前の<チャンセラーズヴィル>は艦体に錆が浮いているのが目立つ。このあたりでは米海軍のパトロール艇が行き来し、回覧船が必要以上に接近しないよう監視を行っていた。流石米軍はこのあたりの危機管理が徹底している。それに比べると海上自衛隊は船が接近しても無反応でおおらかというかいい加減。
[USS Cowpens, CG-63 & USS Chancellorsville, CG-62]

  米イージス巡洋艦の向かいで休んでいるのがヘリ搭載護衛艦<ひえい>(左)と護衛艦<さざなみ>(中)、<いなづま>(右)。いずれも呉配備の船で、横須賀ではなかなかお目にかかれない。そのせいか解説係の添乗員のほうが興奮気味だったような。
[JMSDF Hiei, DDH-142 & JMSDF Sazanami, DD-113 & JMSDF Inazuma, DD-105]

  次いで見えてきたのは南極観測船として有名な砕氷船<しらせ>。幅広な船体もさることながら、カラーリングが派手なため港内でもひときわ目立つ存在である。現在後継船の二代目<しらせ>が舞鶴で偽装中。なお南極観測船が5002番の艦籍番号の示すとおり自衛隊所属であることは意外と知られていなかったりする。
[JMSDF AGB-5002 SHIRASE]

  そして回覧船は旧海軍によって作られた掘り割り水路を通って長浦港へ。こちらにも海上自衛隊と海上保安庁の艦船が停泊している。だが最初に視界に入ったのはそれらの艦船ではなく、これ。どこのものとも知れないが橋である。こうして艀に乗せられて浮いていると違和感を覚えるが相当に大きい。最近はこんなものも工場で作って現地へ完成品を輸送するのか、と一人感心。
[橋]

  長浦港内には掃海艇や巡視船などが多数ひしめいていたが、その中でも大物がこの二つ。左はたちかぜ型ミサイル護衛艦の<さわかぜ>。現在の護衛艦隊旗艦である。しかし右の掃海母艦<うらが>のお陰で小さく見えて(実際問題として最新世代のDDと比べて一回り小さいのは確か)しまい、いかめしい肩書きと見た目が乖離してしまっている感が無きにしも非ず。
[JMSDF Sawakaze, DDG-170 & JMSDF Uraga, MST-463]

  長浦港の最奥部に静かにたたずむ退役護衛艦。遠くない将来標的艦にされるらしく、測量のための縦線が艦体に引かれている。いわば死装束か。なお船内放送では2008年春に退役した艦と言っていたので<あさかぜ>のようなのだが、実際のところ横須賀にはその前から一足早く退役した<たちかぜ>がこの塗装をされて置かれていたりする。<あさかぜ>は佐世保配備、<たちかぜ>は横須賀配備だったので放送が間違いかな。
[JMSDF Tachikaze?, DDG-168?]

  こうして回覧船は湾を出て沖合いへ。再び米軍基地の沖を回って三笠桟橋へと戻る。だが今回乗船した船の船長はサービス精神旺盛な人のようで、コースを変更して往路に通過した沖の艦艇に大接近してくれた。始めは輸送艦<ときわ>。回覧船は艦首30メートルほどを掠めるように通過したため、カメラに収まりきらないくらいの大写しとなった。流石にこのサイズの艦を水面近くから見上げると迫力がある。
[JMSDF Tokiwa, AOE-423]
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  往路には遠巻きにしか見えなかった試験艦<あすか>の横腹。いつ見ても不思議な艦橋。
[JMSDF ASE-6102 ASUKA]

  次いで船が大接近したのは<おおなみ>。こちらは右舷後方から接近し、何とそのまま時計周りに左舷側へ回り込むコースを取ってくれた。そのため艦尾―左舷―艦首と乗員を目視できる距離で護衛艦を満喫することができた。
[JMSDF Oonami, DD-111]

 [JMSDF Oonami, DD-111]
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