……残されたのは、希望のみ。


ディープ・インパクト






◆ 評点――――★★★★

◆ ロバート・デュバル
◆ ティア・レオーニ
◆ イライジャ・ウッド




≪ あらすじ ≫

天文クラブの学生が発見した 巨大新彗星。
天文学者たちの調査によって、この新彗星の軌道が 地球に直撃するコースにある ことが判明。
その質量は 約5000億トン――ニューヨーク市と、ほぼ同じ。
直撃すれば、地球は壊滅的な打撃を受けると 判断された。 そして、その直撃の日は、およそ1年後…………果たして、人類の運命は?




さてこの映画、よくある『地球最後の日』ものとは、ちょっとばかり趣向が違いまし た。
なにが違うのかというと、それは『地球破滅の日……破壊される人間の文明。 無残 に崩れ落ちる建造物、都市、街』――とかいう派手めなシーンが ほとんどなく、 その代わりに、『これでもか! えいえいっ!!』とばかりに、破滅を目前にした 人間たちのドラマを 描きこんでいったところです。

世界の観光名所が ぶっ壊れていくシーンを見るのも、それはそれで圧巻なのですが (『アルマゲドン』とか、すごかったです……)。
いっそのこと、破壊なんか描かずに、人間模様で泣かせてみせましょう! ――という のが、この作品の いちばんの狙いなんじゃなかろうかと思うのですがいかに。



キャラクターに感情移入した……というのが、理由のひとつでは あるような。
わたしがハマッたのは、彗星を破壊しにいく 宇宙船<メサイア>の船長さんです。 これがまた、すっごく味のある、包容力の深い、いい人でして。
普段はわりと淡々としているくせに、一種悲劇的なほどのやさしさを持っている姿に 惚れ込んで、泣かされました。

というか、宇宙船<メサイア>の乗組員の方々は、ラストあたりに、総出で人を泣かせ にかかってきます。 本当に。 彼らの姿は、かっこよくて悲劇的。 切なくなります。


(以下ネタバレ 本気で注意)






『おいそれ『アルマゲドン』そっくり!』とか突っ込まれそうなんですが。
最後、核爆弾で彗星に破壊しきれなかった <メサイア>の乗組員一同は、命を 捨てて 彗星に接近し、宇宙船もろとも 自爆する決心をします。
それで宇宙船のメンツが、最期に地球にいる家族たちに 別れを告げるんですが。

夫と幼い子供を残してきた ある女性は、涙でくしゃくしゃの顔になりかけながら、 痛いほどの笑顔で ふたりに別れを告げて。

各地で任務を果たしている 息子ふたりに、別れを告げることはできなかったものの、 『先に逝った妻に逢いにいくよ』……と、気丈に振る舞って 遺言を残す船長。 その やさしい笑顔が、もう痛々しくて痛々しくて……胸が、苦しかったです。

身重の妻を残してきた あるクルーは、彗星破壊作業中に 閃光で目をやられ、失明 していました。 任務遂行中に生まれたこの子に、夫の名をつけるという妻。
見えない目で 我が子を見つめながら、ぎこちない手指で、我が子と妻が映っている 画面にやさしく触れる彼。 やがて画面は乱れ、消えていく――


もうひとつの 『泣き』ポイントは、ある父娘のエピソードでしたね。
母と別れて再婚した父を許せずにいた ある女性は、最後の最後で、助かる権利 ――ある地下施設(政府が造った)に入れば、災厄から 逃れられたんです。 そこに行く権利は、全国民から無作為に選ばれていて、彼女も『助かる』権利を 持ってました――を、子供のいる友人に譲って、両親との思い出の地に 急ぎ ます――
……父親役の人が 好みのタイプだったというのもありますが、このふたり、あまり にも『映画的』な展開でありながら、泣かせてくれます。


『これでも泣かぬのなら、これではどーだ!!』攻撃に、陥落しました……やたらと 未来を担う子供だの赤ん坊だのを 多用してる気もしましたけれど、そんなのは余裕 で許してしまいます。 観たあとの感じがとてもよかったので。

劇的な『泣き』シーンで 泣かないなら、静かな『泣き』シーンで迫る。 この映画、 ことごとく『泣き』のツボを心得ているような。 まあ、『笑い』のツボよりは 『泣き』のツボの方が、押すのが簡単だと 聞いたことがあるんですけど……まあ、 それにしても、うまいやりかたですね。

この作品は、わたしが泣いた映画 ベスト2にランクイン。
ちなみに、ベスト1は 『赤毛のアン』で マシュウが死ぬシーン。 何度見ても、 そりゃもうばたばた泣きます。 静かで自然な死……というのが、苦しいほどに心に 迫ってくるから、どうしても堪えきれないのです。 家族物にとことん弱いな自分。


心がちょっとすたれ気味な人にも、お勧めできます。 『泣ける映画』って、心を ほぐしてくれますから。 泣けるということは、心がやわらかな証拠といいますから。