『傀儡』

 プレイした日:平成10年9月26日 友人宅にて

 シナリオは、白媚雅の項でも出ている「傀儡」の変形バージョンです(GMが一緒なのサ)。大体の流れは同じでしたが、ストーリーは大部違ったものとなりました。
 PLキャラは、外法師「白鳳(はくほう)・男」、傀儡「奈青姫(なおひめ)・女」、サムライ「真(まこと)・男」、そしてサムライ狩りの「利亜(りあ)・女」。

〜ちょっと小説風に書いてみた〜

 

 ‥‥‥
 あたいは利亜。性と名は無い。
 壊れたヨロイに名が無いように、ヨロイの無いヨロイ乗りに名があるわけがない‥‥。名乗ったってしかたがないだろ?

 今何やってるかって?こいつを見てわからないか?‥‥そう、こいつはヨロイが持っている脇差、八連斬甲刀。
 ‥‥
 あたいはヨロイ狩り、ヨロイ狩りの利亜だ。それ以外の何者でもないさ。
 ‥‥‥‥あの仕事を受ける前までは、ね。

 ヨロイ狩り‥‥ヨロイ狩り、か‥‥。今のあたいにヨロイを狩ることができるんだろうか?
 昔はただ、闇雲にヨロイとヨロイ乗りを呪っていたんだけど、ね‥‥。
 ヨロイの狩れないヨロイ狩り。他人はあたしをそう言うよ。
 でも、あたい気がついたんだ。ヨロイ乗りは何も知らない。あたいだって、ヨロイに乗っていたときゃなーんも知らなかった。わからなかった。教えてもらえなかった。いや、ヨロイ乗りには教えちゃイケナかったからなんだけどさ。
 ヨロイだって、ヨロイ乗りが居なきゃただの固まり、動かせもしやしない。
 そんな無知なヨロイ乗りとただのモノであるヨロイを呪ったって‥‥しかたがないと思わないか?

 ‥‥ん?
 お前がヨロイを怖がり腑抜けになっただって!んなワケあるわけないだろっ!
 あんた、あたいの実力知らないからへーへーとそーいう口の聞き方するんじゃないのか?あたいは‥‥ヨロイを壊した‥‥いや斬った事はあるんだぜ。
 ヨロイなんか怖くはない。ヨロイなんか攻撃さえちゃんと避ければ恐れるモンでもない。
 でも‥‥
 本当にあたいが憎むべき者って違うンじゃないかって、思った。
 イラナイモノとして壊されるヨロイと、ヨロイ乗りを見て。
 ‥‥あたいが、止めれたかもしれなかったけど‥‥壊さなきゃ‥‥斬らなきゃならなかったヨロイを見て‥‥‥。
 ‥‥。
 あたいはヨロイやヨロイ乗りはもう憎くない。
 あたいが、憎いのは‥‥それらを使う上の奴等。ヨロイやヨロイ乗りを道具としかみなさい、駒としか見ない奴等を憎む‥‥‥‥‥。

 あたいは利亜。悲しきサムライの刀と悲しきヨロイの脇差を持つ、ヨロイを狩らないヨロイ狩り。
 あたいがどうしてこうなったか見るかい?

 

 

 あたいが受けた仕事。これがヨロイ狩りとしての終わりであり、あたいの始まりだったのかもしれない。
 依頼人は高名な傀儡師・幻斎。
 依頼内容は自分が作った「ヨロイ乗り」の傀儡を、相手先まで届けるという物。
 あたいは心底嫌な依頼だと思ったさ。だってそうだろう?ヨロイ狩りが、いくら傀儡とはいえヨロイ乗りを保護して連れていかなきゃならないんだぜ?
 まぁ‥‥ヨロイが居ない状態のヨロイ乗りなんざ、ただのガキだからね(実際、あたいらが守る事になる「まるち」はお子さまだったさ)。一応姉貴風吹かせてやったよ。
 ‥‥
 今に思えば、昔ヨロイに乗っていた頃の自分と、無邪気なまるちを重ね合わせていたんだろうけど‥‥そん時のあたしは気が付かなかったけどね。
 一緒に旅をしたのは6名。
 守るべきまるちと、サポートとして雇われた傀儡の奈青姫。坊主の白鳳にリーダーの真、そしてあたいと蟲使い。
 外法師白鳳とサムライの真は、なんやかんやいいながらまるちのご機嫌とりしてたよ。見てるこっちが笑えるぐらいにね。
 もう少しで相手先の館に着くというころ。蟲使いが本性を現した。
 けど、うすうす気が付いていたあたいらの敵じゃなかったけどね。仕留め損ねたのは悔しいけど、でも「商品を守る」という依頼だったし。まるちが無傷だったからよしってことで。
 その後無事大名の所(あたいが一番近づきたくないところだ)へまるちを届け、無事報酬の球を手にしたあたいら。
 奈青姫はそのまままるちの守り役として館に残り、ほかの3名はそれぞれ旅立ったんだけど‥‥。1ヶ月ぐらいした頃か。奈青姫より文書鳩があたいの所へ届いたんだ。
 『まるちを助けて』と。
 何の事やらわからぬまま、屋敷へとあつまるあたい達。
 あたいの目の前に広がる光景‥‥それは心を明鏡に落としたまま暴走するまるちとそのヨロイの姿。
 所詮傀儡たるまるちに、ヨロイ乗りは‥‥勤まらなかったらしい。
 で、呼ばれたあたいらに申しつけられた依頼(っていうか命令)は、『ヨロイを破壊せよ』。
 冗談じゃない。中にはまだまるちが居るんだ!って言っても、連中「お前はヨロイ狩りだろう?ヨロイを狩れるのだから、喜んで狩ればよい」とかぬかしやがった。
 あたいは確かにヨロイ狩りさ。でも、自分の‥‥妹みたいにかわいがった奴を斬れるほど非情じゃないんだ。
 真や白鳳も困っていた。あいつらはほんとまるちかわいがっていたからね。
 傀儡を道具だと言い切る奴ら。
 木片ごとき斬れという。
 ヨロイを斬る。確かにそれはあたいの望みさ。
 でも、あたいは気付いたんだ。
 あたいが嫌っていたのは。あたいが呪っていたのは。
 哀しいヨロイとヨロイ狩りじゃぁなく、それを操る上の連中だと。
 もとヨロイ乗りとして、心を明鏡に落とし、中からまるちを救おうとしたあたいを、連中は「ダメだ」という。
 汚れた魂のあたいじゃ、明鏡には乗れないって。
 でも、きっと他にも方法があったと思う。
 ‥‥
 手を出せないあたい達。でも‥‥いくら待っても明鏡から還ってこないまるちを見て、あたいは斬る事を決めたんだ。
 これが最後のヨロイ狩りということも。
 泣きながら、あたいは刀を振るったよ。
 透明な涙は、いつしか血の涙になっていた。
 血の涙。呪いの涙。
 いつか、かならず知らせてやる。
 駒使う連中に。 いつか、必ず‥‥。


■利亜のページにもどる