ネットワークRPG“クレギオン”シナリオ#5
『バビロンの紋章』/灼熱の夜明け編
第11回リアクションXA1
★The Lost Planets
5/6
Act.5 其は遠く彼方より
輸送船には目標となる座標の資料があった。プロミネンス*は静かに獲物に向かっていた。発進地点とその向かう方向から、後方より接近するべきであるとの判断がされ、進路が計算される。対象の資料は何よりも輸送船の中にあった。数隻の民間船を連れた、全長7.5kmの巨大な戦艦であるという事実は――海賊達の襲撃目標を変更させるには十分過ぎるものだった。襲いづらい戦艦よりは、大した武装も持たない民間船である。
リサはアトラスの方を欲しがったが、リスクを考えてその変更を承諾した。民間船の航行コンピュータでも、ある程度の解析は出来るだろう。
船は自分達の物にして、乗っている民間人は全員奴隷として売り捌く、これが海賊達の意見の主流だった。
哨戒中の〈若草色の大地〉を駆るグリーン中隊隊長、ジェシカ・ランバートは沸き起こる胸騒ぎに、ふと視線を凝らした。暗黒の宇宙は何一つ変わらずに目の前にある。でも……。
ジェシカは自問した。この、彼方の気配は何だろう。良い兆し……? いいえ、これは良くないしらせ。何があるというのかしら? もうDスペースはなく、融合者達の襲撃は無い。平和に日々は過ぎて行く筈なのに――?
つい、傍らのブルー中隊隊長機〈白き乙女〉に声を掛ける。
{……嫌な宇宙の彩ですわね、マクシミリアンさん?}
マクシミリアン・グレンドルフは苦笑を浮かべた。
{おいおい、また何かあるってのか?}
{いいえ。何も、無ければ良いのですけれど}
幸い、このパトロールは無事に終わった。ジェシカは、不安げに展望台から宇宙を眺める。
――そう、彼女の予感は外れた事が無いのだ。