ネットワークRPG“クレギオン”シナリオ#5
『バビロンの紋章』/灼熱の夜明け編

第12回リアクションXA1

★敵は海賊

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Act.7 陰の幕間では
 淡々と語られるその決定に『それ』は珍しく不快感を表した。あまつさえ、言を荒立てる事すらした。
「俺は、一切、承服出来ません!!」
 その非難も、目前の『創造主』達には何の感慨も抱かせなかった。かの主は告げる。
「決定事項よ」
 飽くまで冷静な声で。その隣で、その肩書には不釣り合いな程緊張感の無い口調で、さらにもう1人。
「第一、拒否する権利なんて、ないもんね☆ それは自分が一番よく知ってる事でしょ?」
 『それ』はその言葉に、投げ付けようとした非難の論理を仕方なしに飲み込んだ。忌まわしい現実は、何時如何なる時も、決してその『揺るがぬ事実』を忘れさせてくれない。心の内に沸き上がる負の『感情』を慮っているのかいないのか、容赦の無い言葉が続く。
「私達は、承認を求めているのでは無いわ。運営に関係する事でもあるし、開発計画の進展上、何らかの関連実験が発生する可能性がある。それを考慮に入れて、その決定を伝達しているだけに過ぎないのよ」
 無言のまま、濃藍の瞳が『創造主』を睨め付ける。だが『それ』が決して彼等に危害を加えられない事を、彼等は熟知していた。正しく『それら』をそのように造り上げたのは彼等なのだから。『創造主』は『作品』の苛烈な視線に臆する事も無く、背後に視線を移す。
 そこには、透明な筒状の容器が幾つか立っている。羊水に似た粘性のある澄んだ液体が満たされた『筒』。『それ』は決してこれに眼を向けない。認めたく無い『真実』の全てがそこにある。
 こぽこぽと、気体が『筒』に通される音がする。
 その中には。『創造主』達の誇る麗しい『作品』達が、宇宙の色に似た蒼黒の髪をその白い躯体に纏わらせて安らかな眠りの海にたゆたっている。寸分違わぬ造形をもつその姿は、生命の通わぬ完璧に造られた模造品にも見える。
「今出したのは1個体だけだけれど、準備が整い次第、次個体も運用に回すわ。解ったわね?」
 『創造主』の言葉は、ただ、『それ』に現状認識の確認を求めているに過ぎなかった。