ブルーフォレストRPG
『シーアキト見聞録』 シナリオ1

『姫君は誰の手に』
第1回リアクション

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第1幕 カーラキーア領主の思惑

 シュリーウェバ地方半島部のほぼ半分を占める広大な領土を誇る、ラグ神帝国。その諸領土の中でも、シーアキト王領は最大のものである。
 シーアキト王領を現在治めて要るのは、その剛勇の血筋を誰よりも色濃く継いだ猛将、ナージュナ=シーアキトである。彼は年既に57となっているが、未だ領土拡大に対する情熱は少しも衰えてはいない。
 とはいえ、この広い領土を全て、彼自らが治めるなど無理なことで、先代女王カンドール=シーアキトの時代から国土を数多い貴族達に領土として与え、その地を治めさせていたのである。
 そんな貴族の1人、ラグ南城より東のエスタ川河口付近に領土を有する、ダクシナ=カーラキーアは、今、当人にとっては重大な悩みを1つ、抱えていた。
 今年、シュリーウェバ歴2000年の2月中旬には、愛おしい一人娘のスーリアーが16歳を迎えるのだ。それまで、後、1ヶ月と無い。
「婿を、果たして、どうしたものかのう」
 ダクシナは1人、私室で呟いた。小太りの丸い体をゆらゆら揺すりながら、部屋の中をぐるぐる回り、何度か、同様の事を呟く。思案する時の癖なのだ。
 彼は落ち着いて考えようと、机の上の、木をくりぬいたコップに目をやった。なみなみと注いである水を、一気にあおる。そして、ため息をひとつ。
 スーリアーはたった1人の子供である。小さいながらとはいえ、充分豊かなこの領土を治むるだけの実力を持った者を迎えなくては、我がカーラキーア家の繁栄は望めない。も、勿論可愛いスーリアーの好みも念頭に入れねばならぬが、幸いにもあの子にはまだ、これと言って心に決めた相手が居る訳ではないし、ここで父である儂があの子に相応しい相手をきちんと見付けてやらねばのう。 又、部屋の中を何周かしながら、ダクシナはうん、うん、と頷く。
 街の連中やら、付近の貴族の息子等が何人か娘に言い寄っているのを見掛けたが、どいつもこいつも、頼り無い奴等ばっかりじゃ。
 顎髭を撫でながら、ぐるぐるぐる。
 スーリアーの婿となって、この領土を治めるのは、もっと、武術と知恵に溢れた若者でなくてはならん。
 そう思った時、ダクシナの脳裏を一つの考えが過った。
 ウウム、我ながら良い手じゃ。これなら、スーリアーも良い婿が迎えられるというものよのう。
 自信に満ちた笑いが自然と沸いてくる。ダクシナは笑い声を高らかに響かせながら、もう1杯の水を求めて部屋から出ていった。
 そして、領主ダクシナの考えは、意外と早く、領民達の目にする処となるのである。

 1月20日。
 カーラキーア領内最大の街、エスタ川の港町でもあるガンガーの中央広場に、触れ書きが出された。
『我が娘、スーリアー=カーラキーアの婿を、
貴族階級に限らず、広く公募したく思う。
武勇と知恵に自信のある者は是非出場されたし。
2月1日、当広場にて選別試合を行う。
希望者は当日に申し出る事。
武具、防具は自由に望む物を用いて良い。
数多の者達が出場する事を祈る。
  ―――領主ダクシナ=カーラキーア 記す』
 このお触れを見た街の者、そして訪れた旅人達も、皆、色めき立つ事となった。そして、街にはいつもにも増して、旅人が来訪し、人が溢れ返っている。
 噂を聞き付けて、誰もがこのガンガーの街へ集まってきているのだった。


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