★黄金の瞳持つ緋色の獣
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注;この物語は当然の事ながら、キャラクター登録の設定だけで描かれています。なので、実在の人物・団体どころか今の所『ユニバース・エンド』のリアクション等とも全く関係がありません。という事で、この話を歴史の一環として信用しないように(笑)。雰囲気作り、という事で許してねん。
Act.1 Prologue
宇宙の辺境、小さな惑星“地球”より発生した“人類”は、長き年月を歴史に刻み、ついに宇宙進出に成功するまでにその文明は発達した。数多の暦によりその時間は刻まれていたが、宇宙への一歩は彼らにとって余りに大きく――それ以降、人類の歴史は『植民歴』によって刻まれる事となる。
人類の歴史とは一体何であろうか? それは多くの書物を紐解けば自ずと明らかになるだろう。如何なる時も――その原因も理想も、語るだけならば、それは美しく飾り立てられた麗しい『正義』の名の元の――殺戮と破壊を下僕とする『戦争』の繰り返しである。唯一人を殺すに終われば犯罪者だが『万人の幸福』を免罪符に百人殺せば英雄となれる。
○
『ソウシテ見ルナラバ、人間ニトッテ自分デハナイ者、スナワチ他人トイウ存在ハ、自分ノ満足ノ為ダケニ徹底的ニ搾取スルベキ対象トナルカ、アルイハソレニ値シナイモノハ、正義ノ名ノ元ニ殺シ排除スル程度ノ存在デシカナイ。――何トイウ素晴ラシイ存在!!』
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歴史は移り行く。とは言え、関わる人は変われども、そこで起こる現象は常に同じなのだろう。本質は何一つ変わりはしない。
後に『近地球圏大戦』と呼ばれる戦争が始まったのは、植民暦3622年の事であった。
Act.2 Think‐Tank DELTA
クォドランド同盟ニューウェールズ。同盟の軍事力を支える主要国のひとつであるここでは、連合条約軍の最大兵器『超能力者』に対抗するために、サイコキャヴァリアーの開発とそのパイロットの育成に予算がつぎ込まれ、幾つもの頭脳集団がその研究を行っていたのである。
○
(敵標的補足。距離11m)
部屋の中は闇に包まれている。暗黒の中で、動く標的。細い紅光が2本、寸分の狂いも無く標的を射貫く。
(標的A――完全破壊完了)
光源が無い事は何の妨げにもならない。
(標的B補足、距離7m。C補足、距離5m……4m)
標的が近づきつつある。距離を更に詰め、近接戦に。両腕のレーザーブレードが伸びる。そのまま、標的Cを切断し、標的Bを目のレーザーで沈黙させた。
「テスト完了。上がって来て、アベル」
部屋が明るくなり、担当技師の少女の声が響いた。アベル・エレザールは表情ひとつ変えずに、その赤い瞳を彼女の方に向ける。技師の少女は窓から挨拶がわりに手を振って見せるが、アベルは何も応じない。その素っ気なさに、彼女は、ぷぅ、と膨れた。アベルはシュミレーション室を後にする。
「あの子の戦闘解析データは、後で私の所に送って頂戴。いつもの様にね」
振り返った技師の少女をずっと見据えていた女――歳は23歳位――が、彼女に告げた。
「はい、解りました」
少女は愛想の良い笑顔を女に見せる。目前の、黄金の瞳で少女を見つめる女は、このシンクタンクを支える出資者の1人であり、研究部の運営者の1人でもある。そして――アベル達[Hope
Children]計画の立案者。もっともこの事は、女を見つめる少女の与り知らぬ事である。
[Hope Children]計画とは、普通の人間よりももっと優秀な個体をその発生からコントロールし、よりそのスペックを引き上げさせて最も効率のよい『優秀な人間』を作り上げようという構想に基づき作られた計画である。その『優秀な人間』は何も考えようとはしない民衆を治めるに足るだけのキャパシティをいずれ求められる存在であったが、決して歴史の表舞台には出させないつもりでもある。そうして彼女――本名は誰も知る者は少なく、このシンクタンクでは唯『ラヴィアン』とだけ呼ばれる女――は己の知り得る優秀な人間の遺伝子を選出し、幾つかの計画によってその遺伝子改造を行い、その個体を発生させ、最高級の知識を与え、理性と論理を徹底的に追求させた。――『エレザール』の姓を与えられるそれらの個体を[Hope
Children]と呼ぶのである。この呼称に相応しいだけの能力を発達させることの出来なかった個体は、誰にも知られる事なく処分された。彼女にとって、彼等はそれだけの価値でしかないのかも知れなかった。