レジェンド・オブ・スケロク2 エピソード3

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第4話 〜陰謀〜

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「何ですか?その体たらくは」
その部屋の奥の椅子に座っている男は言った。
「奴らの中には、かなり腕の立つ者もいます。少々侮っていました」
部屋の入り口にいるのは、イルとオズマだった。
「言い訳など聞きませんよ。何が何でも、あの娘を奪ってくるのです」
入り口の男は、冷酷さの滲み出る口調で言った。
「八人衆を召集しました。ぬかりはありません」
イルが手をかざすと、後ろに8人の男女が現れた。体格に差はあるものの、いずれも強力な殺気を漂わせている。
「かならずや娘を奪ってご覧にみせます・・・大統領」
「奴を倒すために、彼女と『超越者』の力は絶対に必要です。そして『地獄』を手中に収めねば、我々に未来はないのです。わかりますね?」
大統領と呼ばれた男が、ワインの入ったグラスを口に当てる。そしてグラスをテーブルに置くと、窓の外の夜景に目を移し、冷酷な笑みを浮かべた。
「八人衆がどれだけやれるか・・・見ものですね。フフフ・・・」
その笑みは、今の状況を楽しんでいるようにも見える。
「人間と魔族・・・争い、妬み、憎しみ会うがいい・・・それこそが我らの生きる糧となる・・・そして、我らにこそ、奴を打ち倒し、新たな時代の礎を築き上げる力・・・そう!資格があるのですよ。クックック」



「じゃ、じゃあアニキはイナリ王国出身なんだ〜!!」
チヨ子が、興奮しながらアニキに話しかける。
「ああ。イナリ王国の首都ハクバは雪が多いんだぜ」
南国出身のチヨ子に、アニキが自慢気に話す。
「じゃあ、じゃあ、スノボとかできるの!?」
「チョチョイのチョイさ!そういうチヨ子はサーフィンが得意なんだって?」
アニキの顔は得意満面、絶好調だ。アニキはアニキで、南国出身のチヨ子に興味津々らしい。

アズミとスケロクシティの中間に位置する街、テンバー。一行は、スケロクとラナ、チヨ子とアニキとヴァッさんに分かれて買い物をしていた。


「ふう。久しぶりに二人きりになれたなぁ」
「この数日間、色々なことがありすぎましたものね」
スケロクとラナは、旅立ちからの色々な出来事を思い出しながら、久しぶりに二人きりになれた時を堪能している。
「俺は、何が何でもシュリ大統領に会わないといけなくなったよ。政府が何でラナを狙っているのか、直接話をつけないと」
「スケロク様、あまり無茶はなさらないでください・・・」
「ラナ、何か隠していない?」
ラナ本人は何か心当たりがあるのか、表情が不安になっている。
「・・・」
「うん?」
スケロクは、近くの壁にはってある張り紙に目が行っていた。
「武術大会、開催。出場者募集中!賞金5000S!今日の夜まで参加登録できます・・・」
テンバーで定期的に開催されている、武術大会の告知だった。スケロクは、一度こういった大会で、自分の腕を試してみたいと思っていた。
「すてきなタイミング!ラナ!この大会出よう!」
「え?あ、はい?わたくしも、ですか?」
突然のスケロクの提案に、ラナは戸惑っている。
「4対4のチーム戦なんだ。弓を使うヴァッさんは、こういう大会には向いてないと思うし。ラナと俺とチヨ子さんとアニキなら、きっと優勝できるよ!」
「あ、はい、私は構いませんが。無茶はしないでくださいね」
「わかってる!」


イルと八人衆のうちの4人が、その光景を後ろで見ていた。イル以外は全員女性だ。
「そうか。奴らは武術大会に出るのか」
そのうちの一人、八人衆のリーダー格のような雰囲気を漂わせている女性が、武術大会の張り紙を見る。
「奴らの力を知っておく、いい機会だ。お前達も参加してみろ。殺しては失格になるから、お前達が殺されることはまずない」
イルが、八人衆の4人に参加を促す。
「お前達が殺されることはないって、まるで私たちが負けるみたいな言い方じゃないですかぁ!」
その中の一人、あどけない顔をした少女が、ムッとした顔でイルに話しかける
「ルシーダ、やめるんだ。確かに様子見にはちょうどいい」
「お姉さまと私のコンビネーション殺法があれば、誰にも負けないです!ね!お姉さま!」
あどけい顔をした少女は、妙に張り切っている。
「フフ。私のムチで、奴らなど一瞬で切り裂いてご覧にみせますよ」
浅黒い肌をした女性が、不敵な笑みを浮かべる。
「・・・」
もう一人の少女は、その風貌からルビーアイとわかる。政府は魔族を差別しているが、なぜルビーアイの少女が政府の組織に属しているのかは、わからない。


スケロク達とチヨ子達は、今夜の宿泊先である、テンバーセントラル旅館で合流することになっていた。
「スケロクスケロク〜!」
チヨ子が、妙に明るい声で、スケロクに駆け寄ってきた。
「武術大会だって〜!出ようよ〜!」
「あ、チヨ子さんも見てたんですね〜。じゃあ決まりだね!」
スケロク達は、早速武術大会の参加登録を済ませてきた。
「これで準備万端!」

チヨ子を中心に、作戦会議を始めた。
「前衛をチヨ子さんとアニキと俺、後ろからラナが援護って形か」
「問題は、スケロクのポジショニングだな。オールマイティーに剣も超能力もこなせるのはいいが、裏を返せば中途半端ってことにもなりかねん」
アニキが悩んだのは、スケロクの戦い方をどうするかだった。バランスの取れた能力の持ち主は、中途半端とも言えるため、意外とチーム戦では使いづらい。
「ま、何とかなるさ。良く言えば臨機応変に戦えるってことだし」
スケロクはルビーグレープフルーツ杯を片手に、顔を少し赤くして、微笑みながら言う。
「わたくしは、後ろから超能力を使っていればいいのですね?」
ラナはドキドキした口調で、しかし心の中ではわくわくしているような表情を見せる。
「ああ、俺たち3人でラナには指一本触れさせないさ!」
スケロクは自信たっぷりに言う。
「わたくしが・・・スケロク様をお守りします!」
ラナが言い返す。
「おー何かいい雰囲気?」
チヨ子とアニキが同時に茶化す。
「まあ、明日に備えて早く寝るか」
スケロクは、逃げるようにベッドに飛び込む。

「・・・エミーナとルシーダが先陣、カルタスは敵を撹乱。セレナが後方で援護だ」
イルと八人衆の4人が、政府直営のホテルの一室で作戦会議を開いている。
「イル殿、私たちが負けるとでも思っているのか?」
エミーナは、昼間ルシーダが言った事と同じような質問をイルに飛ばす。
「いいか。奴らは想像以上に腕がたつ。油断しているとお前たちとて足元をすくわれる事になるぞ」
イルの顔は真剣そのものだ。それを見た4人のうち2人は、顔を引き締める。
「ま、ワタシのムチがあれば、どんな相手でも大丈夫さね〜」
カルタスと呼ばれた女性は、一人だけ表情が変わらない。
その雰囲気は、チヨ子にも通じるものがある。
「・・・」
セレナと呼ばれた少女は、終始沈黙を守っている。

「いいか。奴ら以外にもどんな奴が出場してくるとも限らん。確実に体調を整えておけ」
イルは4人の部屋を後にする。
「殺しは失格になるが、不可抗力で済まされる・・・あの娘以外は安心して殺してもいい」
ドアを出る寸前に、一言付け加えていった。
「イル殿は相変わらずだな・・・」
エミーナの表情が曇る。


こうして、テンバーの夜は深けていく。嵐の予感からか、妙に静かな夜だった。


そして、いよいよテンバー武術大会の幕が開く。

(Continue)

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