夢No.3 昔の夢3
純粋な狂気
鬱陶しいチンピラにからまれる。
そいつは、しつこく俺につきまとい、最後にはナイフをちらつかせる。
ウザいので、どかせようとヤツの肩をどつくと、
ぐらり、とあっさり倒れる。多分、酔っていたのだろう。
ガン
倒れた拍子に、自販機の角に頭をぶつけ、ヤツは動かなくなる。
ああ、ウザってぇ。なんだよコイツ。このまま死んでくれ。
そのまま立ち去ろうとしたが、俺の偽善心が頭をもたげ、救急車を呼ぶ。
ヤツは死んでいた。それがどうした?
しかし、法律とやらはそうは思ってくれないらしい。
鬱陶しい。警官、刑事、マスコミども。イライラする。気が狂いそうだ。
裁判。正当防衛を主張するも、過剰防衛とみなされ、懲役。
たんたんとしたムショ暮らし、秘めた怒りだけが俺を支える。
出所後も怒りは消えない。だらだらと生活しながらも、怒りを募らせる。
ある日、路地裏を歩いていると、チンピラにからまれる。
無視。
そいつは逆上してナイフを取り出す。
デジャヴ?
いや、違う。あの事件は現実だし、この馬鹿はアイツじゃない。
アイツ。俺の人生を滅茶苦茶にしやがった、あの野郎。
怒り。復讐? オーバーラップするヤツの顔とこいつの顔。
俺の中のなにかが、音をたてて切れる・・・・・・
気がつくと、俺は血まみれのナイフを手に立ちつくしている。
足下を見ると、血の池の中に切り刻まれてめちゃくちゃになった、
人間のカタチをしたモノがある。
フッ
俺は鼻で笑うと、冷静に、清々しい気分でその場を立ち去る。
事件は大騒ぎになる。そりゃそうだろう。さんざ切り刻んだからな。
マスコミはこの手の話が大好きだ。恐怖心を煽って視聴率を稼ぐ。
もちろん警察もあわてて捜索している。
だが、何日経っても、何週間たっても、俺はノーマークだ。
何故だ? 別に証拠隠滅に気を使ったつもりなどない。
捕まればそれでもいいと思っていた。もうどうでも良かった。
捕まらないとわかると、ヤケになってきた。
今度は通り魔的犯行で、ウザいチンピラを1人切り刻む。
マスコミは「ジャック・ザ・リッパーの再来!」
などという見出しで、民衆を煽る。
切り裂きジャック2世か、なかなか素敵な名をつけてくれる。
「警察も必死の捜索」というおきまりのフレーズが新聞やTVを飛び交う。
が、何故か俺は捕まらない。
どんどん歪んでいく、堕ちていく、殺しまくる。
得られるはずもない、心の平安を渇望している。
何もかも、最初にからんできた野郎、ヤツのせいだ。
夜中、田舎の小高い山、頂上付近。墓地。
ヤツはここに埋葬されたらしい。今時めずらしく、土葬だという。
一心不乱にスコップを動かす俺の目は、焦点があっていない。
ザッ、ザッ、という土を掘り返す音だけが、夜にひびく。
墓をあばいて、どうこうしようという意識はなかった。
ただ、俺をこんな目に会わせたヤツが、
安穏と眠りについているのが許せなかった。
棺の蓋を開ける。すさまじい臭いだ。
半ミイラ化したヤツの腐った体が現れる。
突然、全てがおかしくなってきた。
ハ、ハハハ
笑いがこみ上げてくる。それと共に尿意もこみ上げてきた。
俺は、ヤツの骸に小便をかけながら、高らかに笑う。
ハハハハハ、ヒャハハハ
夜にこだまする、狂った俺の笑い声。純粋な狂気。
ふと、夜空を見上げると、真っ赤な三日月がこちらを見返す。
まるで死神の鎌のようだ。それとも、俺を笑っているのか?
ズガァン!
夜の静寂と狂気の笑いを切り裂く、すさまじい音と衝撃が俺を襲う。
誰かに撃たれた!?
誰だ? 誰が俺を撃った?
次第に薄れていく俺の意識。誰が俺を撃ったかなんて、もうどうでもいいさ。
これで、俺も、やっと、眠れる。
この夢は、大長編だった。しかもすべての感覚が生々しかった。
実際に、狂うっていうのはああいう感じなんだろうなぁ。
この夢ほど、ハッキリ思い出せるのも珍しい。
こういう夢を見ると、どっちが現実なのかわからなくなりそうだ。
今の俺は、あの狂った俺が現実逃避で作り出した世界の俺なのでは?
なんてことを思ったり、思わなかったりする。
あ、チンピラって死語? まぁどうでもいいか。
って、これ明らかにダークサイド用だよな〜。
そのうちにダークサイドに移そうっと。あ、ダークサイドの見本にいいかな?
この夢を読んだ人は、ダークサイドがどんなコーナーか、多少はわかるでしょ?
危険ですね〜。暗いですね〜。だから非公開なんだよん。←いまさらかわいこぶるなッ!
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