夢No.32
インフルエンザ
僕はインフルエンザ。
みんなの嫌われ者さ。
そっと忍び寄っては、
寒気をゾクゾク、
頭はクラクラ、
喉がイガイガ。
ほら、また寝込せてやった。
人間なんて、ちょろいものさ。
腕力だけの筋肉くんも、
頭でっかちな学者さんも、
あんなに威張っていたお役人さんも、
老若男女、誰だって、
僕にかかれば、へなへなさ。
じゃ、こんどはあのコ。
毛糸の帽子に、マフラーぐるぐる、
マスクもしちゃって、完全防備のあの娘にしよう。
ふらりと近付き、
肩越しに、冷たい手をかけてみる。
おやおや?
あれあれ?
なんだか他のニンゲンとは違うな。
普通なら、
もうとっくに、
ゾクゾクの、
クラクラの、
イガイガなのに。
このこは案外、しっかりしてる。
電車の座席に座りながら、
なにやら小さいカードを繰っては、
ブツブツと呟いている真剣な貌。
むー。
僕の腕、鈍ったかな?
試しに向かいの座席に座っている、
マスクでがっちり防備した、
スーツ姿にコートのおじさんに、触れてみる。
おじさん、途端に、
ゾクゾクの、クラクラの、イガイガだ。
楽勝だね。
彼女の元に戻り、
手をかざす。
……なにも起きない。
相変わらず、
うつむき加減で、単語帳のようなものを繰っている。
受験生だから?
他の人とは気合いが違うとでも言うのだろうか。
たしかに、外観からして気合いは違う。
もこもこした、あったかそうな恰好で、
肌が露出している部分が、殆どないくらいだし、
マフラー、マスク、コートでばっちり固めている姿は、
風邪なんてひいてやるものか、という気迫さえ感じさせる。
それでも、ゾクリともしてくれないなんて。
不思議に思いつつも、
僕は彼女の側に居た。
しかし、
ゾクゾクも、
クラクラも、
イガイガも、まったくないみたい。
ちぇ。
なんだかおかしいと思いつつ、
僕はそのこに、つきまとう。
電車を降り、
人混みのホームなどで、
いたずらに周りの人間を発熱させたりしながらも、
自分の影響を受けないその子に、執心しはじめる。
駅を降りて、
バスに乗って、
人気のないバス停で降り、
薄暗い道を帰るそのこの背後に、
僕は、つかず離れず、ふらりと漂う。
結局、家までついてきてしまった。
なにをやっているのだか。
我ながら、多少馬鹿らしくなってくる。
手洗い、うがいを丁寧に済ませ、
部屋でくつろいでいる様子の彼女。
飾り気のない部屋。
小難しそうな参考書の多い、机。
うん。いかにも受験生、って感じだね。
今なら油断していると思い、その首筋に冷たい息をかけてみる。
……やっぱり、なにも感じていないみたいだ。
みじろぎひとつ、しやしない。
完全に無視された形で、
僕はなんだか、
インフルエンザとしての自分に、自信が持てなくなってくる。
世間を賑わせちゃってる、凶悪なウイルスである自分が、
こんな女の子一人の体調も崩せないだなんて、
だらしがないというか……
それじゃ、お前の意味はなんなのだ?
なんて、部屋をぐるぐる漂いながら、
不毛な自問をはじめてみたり。
と、
くしゅん。
彼女が小さく、くしゃみした。
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「僕はインフルエンザで死んだ」
と、いう夢が元。
原型、あんまり留めてないかも。
で、
20行くらいで書き終わるんじゃないの?
とか思ってたら、全然まとまらないでやんの。
なんか、いっきに書いた方がいいんだけどさ。
疲れちゃった(苦笑)
勢いがあるウチに書いた方がいいのにね……。
……要約すると、数行の話な筈なんだけどなぁ(苦笑)
でも、久しぶりに書くと楽しいや、夢日記。
……誰か読んでくれるといいなイイナ。
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